【米ビルボード・ソング・チャート】ジョナス・ブラザーズ自身初の首位獲得、カーディ&ブルーノ遂にTOP3入り
【米ビルボード・ソング・チャート】ジョナス・ブラザーズ自身初の首位獲得、カーディ&ブルーノ遂にTOP3入り

 ジョナス・ブラザーズの「サッカー」が初登場1位を記録した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

 2013年の解散からおよそ6年ぶりに再結成した、ケヴィン、ジョー、ニックのジョナス家3兄弟から成るポップ・トリオ=ジョナス・ブラザーズ。「サッカー」は再結成後初となるシングルで、彼らにとって初の全米1位獲得という、見事な復帰劇を果たした。なお、アルバム・チャートでは、3rdアルバム『ア・リトル・ビット・ロンガー』(2008年)、4thアルバム『ラインズ・ヴァインズ・アンド・トライング・タイムズ』(2009年)の2作が1位を記録している。

 デジタル・ソング・セールス・チャート(週間88,000ダウンロード)、ストリーミング・チャート(4,370万視聴)でも、同1位にデビュー。なお、彼らが一時解散する2013年までは、ストリーミング・ポイントが集計に加算されていなかったため、ストリーミング・チャートでのランクインはこれが初となる。エアプレイ・チャートでは、週間2,260万回を記録して46位に初登場した。

 Hot 100での記録を振り返ると、これまでの最高位は2008年にリリースした「バーニン・アップ」の5位で、その他、2009年リリースの「トゥナイト」が8位をマークし、計2曲がTOP10入りしている(サッカーで3曲目)。初めてチャートインしたのは、2007年の「イヤー・3000」(31位)で、初ランクインから初の1位獲得までの期間としては、およそ12年1か月。最後にランクインした「ポム・ポムズ」(2013年)からは、6年ぶりの首位復帰となった。休止していた期間には、ジョー、ニックがそれぞれソロ活動をしていたが、ジョーはDNCEとしてリリースした「ケーキ・バイ・ザ・オーシャン」(2015年)が9位に、ニックは2014年リリースの「ジェラス」が7位をそれぞれ記録し、ソロとしてもTOP10入りを果たしている。

 なお、初ランクインから初の1位獲得までの期間では、ダフト・パンクが「アラウンド・ザ・ワールド」(1997年8月)~ザ・ウィークエンドの「スターボーイfeat.ダフト・パンク」(2017年1月)で記録した20年や、サンタナが「ジンゴ」(1969年10月)~「スムースfeat.ロブ・トーマス」(1999年10月)で記録した30年などの長期記録がある。

 いわゆるボーイズ・グループとしての首位獲得は、B2Kの「Bump, Bump, Bump」が2003年2月1日付チャートで記録して以来、約16年ぶりの快挙。意外ではあるが、2010年代にヒット曲を連発したワン・ダイレクションも、首位獲得は果たしていない(TOP10入りは6曲)。それ以前には、インシンクやバックストリート・ボーイズ、98ディグリーズなどがチャートを賑わせていたが、ここ最近はボーイズ・グループの活躍が低迷していたため、彼らの復帰はメディアでも大きく取り上げられている。なお、“男性トリオ”や“男性グループ”などで振り分けると、ラップ・トリオのミーゴスが2017年に「バッド・アンド・ブージー」で1位を獲得している。

 2019年に入ってからは、「サッカー」と今週2位にランクインしているアリアナ・グランデの「7 rings」の2曲が初登場で1位を記録。また、2018年ではアリアナの「thank u, next」(今週11位)や、【グラミー賞】で話題をさらったチャイルディッシュ・ガンビーノの「ディス・イズ・アメリカ」、ドレイクは「ゴッズ・プラン」と「ナイス・フォー・ホワット」の2曲をNo.1デビューさている。以前までのHot 100チャートは、下位から上昇して1位に到達するというケースがほとんどだったが、ストリーミングがポイント化されるようになってからは、注目の新曲として1週間に大量視聴されれば、初登場1位も容易になった。

 また、ここ数年は1曲が5週以上首位をキープすることがほとんどだったが、2019年はおよそ3か月間で計5曲が1位を獲得するという、入れ替わりの速さも注目されている。また、前年は計34週間続けてヒップホップ勢が首位占めるという、異例のチャートアクションが話題となったが、今年は3か月間で計4曲のポップ・ソングがNo.1に輝いている。今年は、ポップやロック、女性アーティストが盛り返すかもしれない。

 前週の14位から3位にジャンプアップしたのは、カーディ・Bとブルーノ・マーズによるタッグ・ソング「プリーズ・ミー」。今週一気にポイントが上昇したのは、3月1日にミュージック・ビデオが公開されたため。同ビデオのストリーミング・ポイントが加算され、先週より86%アップの週間4,530万視聴を記録。ストリーミング・チャートでは2位まで浮上した。なお、1位の「サッカー」が4,370万視聴、2位の「プリーズ・ミー」が4,530万視聴という矛盾点については、「サッカー」が獲得したストリーミングのほとんどが、有料サイトや広告付のサイトによる視聴だったため。ストリーミングの集計は、どこから視聴されたかでポイントの比重が異なる。

 「プリーズ・ミー」は、3月2日付チャートで初登場した5位を上回る、最高位を更新。カーディ・Bは5曲目、ブルーノ・マーズにとっては10曲目となるTOP3入りとなった。なお、前年両者がヒットさせた「フィネス」の最高位も3位で、これを上回るかにも注目が集まる。週間28,000ダウンロードを記録し、デジタル・ソング・セールス・チャートでは11位から3位に、5,290万回を記録して、エアプレイ・チャートでは14位から11位にそれぞれ上昇している。R&B/ヒップホップ・チャート、ラップ・チャートでは、いずれもトップに立った。

 今週10位をキープしているトラヴィス・スコットの「シッコ・モード」は、通算31週目のTOP10入りとなった。この記録は、マーク・ロンソンの「アップタウン・ファンクfeat.ブルーノ・マーズ」(2015年)と並ぶ歴代3位タイで、次週10位をキープできれば、リアン・ライムスの「ハウ・ドゥ・アイ・リヴ」(1997年)、ザ・チェインスモーカーズの「クローサーfeat.ホールジー」(2016年)と並ぶ、歴代2位に浮上する。エド・シーランの「シェイプ・オブ・ユー」(2017年)と、先月最高記録を更新したマルーン5の「ガールズ・ライク・ユーfeat.カーディ・B」が記録した33週が、歴代最高記録。

 今週のアルバム・チャートで4位に初登場した、2チェインズの新作『Rap or Go to the League』からは、75位にデビューした「ホイップ」など計3曲、アルバム・チャート5位にデビューしたリル・スカイズの新作『シェルビー』からは、39位に「I」がそれぞれ初登場した。

Text:本家一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、3月15日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「サッカー」ジョナス・ブラザーズ
2位「7 rings」アリアナ・グランデ
3位「プリーズ・ミー」カーディ・B&ブルーノ・マーズ
4位「サンフラワー」ポスト・マローン&スウェイ・リー
5位「ウィズアウト・ミー」ホールジー
6位「シャロウ」レディー・ガガ&ブラッドリー・クーパー
7位「Wow.」ポスト・マローン
8位「ハピアー」マシュメロ&バスティル
9位「ミドル・チャイルド」J.コール
10位「シッコ・モード」トラヴィス・スコット