THE BACK HORN「生きる」ことをサヴァイヴしてきた共鳴者たちとの20年「今日これからがまた俺達の出発です」 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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THE BACK HORN「生きる」ことをサヴァイヴしてきた共鳴者たちとの20年「今日これからがまた俺達の出発です」

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THE BACK HORN「生きる」ことをサヴァイヴしてきた共鳴者たちとの20年「今日これからがまた俺達の出発です」

THE BACK HORN「生きる」ことをサヴァイヴしてきた共鳴者たちとの20年「今日これからがまた俺達の出発です」


 結成20周年を迎え、全国ツアー【THE BACK HORN 20th Anniversary「ALL TIME BESTワンマンツアー」~KYO-MEI祭り~】を開催。日本中で爆発的な共鳴を生んできたTHE BACK HORNが、その最終公演として自身3度目の日本武道館公演を実現した。

 THE BACK HORNは、実に人間臭いバンドである。生きる。そのことについて常に真正面から立ち向かい、サヴァイヴし、キズナの重要性を共有し、それらを音楽へ昇華し、20年間にわたって共鳴者を増やし続けてきた。

 「人間ドラマっていうか、人間の生きる死ぬとか、感情っていう部分では、THE BACK HORNがずっとやってきたテーマ(松田晋二)」「本当は物凄くコミュニケーションしたい欲が強い俺達が殻から一歩出ようとするサバイバルみたいな、そのサバイバルの助けになるような歌が作りたい(菅波栄純)」「いつも自分のことばっか考えてることに気付いたんですけど、周りを見てみたら周りの人たちも浮き沈みはあるし、それとは関係なく、もっとデカい世間でも浮き沈みがある。それなのに自分のことばっかり考えてて「ちっぽけだなぁ」って思えて。そんな中で風が自分を包んでくれるのを感じて、そうして「よし、行こう」って一歩踏み出したぐらいの気持ちなんですけど。まだ「よし行くぞ!」っていう感じではないんだけど、「じゃあ、歩き出そうか」って動き出す(岡峰光舟)」「本気で光を掴まえようとしている人がいるのに、自分はすごく平和な東洋で生きてて闇を生み出したりしている。それに気付いたときに、そこに溺れに行っちゃ絶対にダメだなと思って。闇を生み出してもそれを絶対に光へ繋げなくちゃいけないとも思うし。それをやっていかなきゃ絶対にいけないと思う(山田将司)」

 これらは、過去20年のインタビューの中での「THE BACK HORNとは?」を物語る発言たち。この在り方はすべてTHE BACK HORNの楽曲に色濃く反映され、そのひとつひとつに聴き手は胸打たれ、自分を鼓舞し、誰かを思いやり、何があろうと「生きる」を選んでいくきっかけとなった。その20年間の生き様を改めて示すことになった2019年2月8日。2008年と2013年にも「生きる」ということをあらゆる角度から表現し、歌い叫び、弾き狂い、ファンと共に泣き笑った日本武道館にTHE BACK HORNはいた。20年も活動し、年齢も39歳や40歳になれば、キャリアを積んだことによる悠然としたステージ、ペース配分も熱量のサジ加減も熟知したライブにシフトしてもおかしくはない訳だが、彼らはそれを選ばず。今もなお、日々全力で爆発的に生き続ける難しさを痛感している同世代から見れば、涙を溢れさせずにはいられないほど、なんら変わらない、いや、もちろん、錬度の高さは凄まじい領域に突入している訳だが、それでも変わらず、生きることをサヴァイヴし、全身全霊で戦う男たちがそこにいた。

 この20年の歴史を表現した映像から始まった同公演は、バンド結成当初の気持ちを綴った楽曲であり、またここから物語が始まっていく意を込めたであろう「その先へ」をオープニングに、THE BACK HORNがロックシーンに欠かせない存在感を覚醒させた時代「コバルトブルー」と双璧を成したキラーチューン「ブラックホールバースデイ」、さらには2001年の記念すべきメジャーデビュー曲「サニー」と冒頭から狂乱必至のセットリストでお届けしたのだが、山田将司の魂そのもののような歌声と、それを体を捻らせながら搾り出す姿に目頭が熱くなる。この男が20年間、歌を届けるということとどれだけ真摯に対峙してきたか知っている身としては、なおさらだ。

 「昔の曲たちを今歌ってみると、明らかに今のモードとは違うかもしれないけど、自分のあらゆる感情を呼び起こして、それを表現していくっていう覚悟はもう出来てるから。人と人の繋がりを歌った曲もあれば、個人的な鬱憤を吐き出すような曲もあるけど、その全部を表現し続けていきたいと思ってるし。それは決してラクではないと思うけど、俺はやっぱりそれをやる。THE BACK HORNのボーカルとしてそれはやっていかなくちゃいけないと自分で思ってる」(THE BACK HORN『あなたが待ってる』インタビュー(https://bit.ly/2GUlXOZ)より)この日の彼の歌は、まさにこの言葉を体現していた。20年前と10年前も、10年前と5年前も、5年前と今も歌声は変わる。歌い方も変わる。それが変わっていくのは、人間である以上あたりまえのことだ。だから若かりし時代の曲から遠ざかり、それを思い出にしてまうアーティストもいる。が、彼はTHE BACK HORNの20年間を歌った。わりと決死の覚悟でそれに臨んでいたと思う。それでも、この日披露した全21曲、あらゆる時代の、あらゆる年代の、あらゆる状況の、あらゆる葛藤の、あらゆる鼓舞の、あらゆる「生きる」を色褪せさせることなく、想い薄れさせることなく、剥き出しの命で響かせたのである。

 そんなTHE BACK HORNの中核となる歌の威力を絶え間なく倍加させたのは、武道館に集いしオーディエンス=共鳴者たちの振り上げた拳であり、松田晋二のドラムであり、岡峰光舟のベースであり、菅波栄純のギターであり、その拳もドラムもベースもギターも幾度となく「声」としてシンガロングした一体感。それが最も顕著だったのは、やはり本編クライマックス「コバルトブルー」「刃」の畳み掛けだっただろう。これまで何百回と耳にしてきた「コバルトブルー」のイントロが鳴り出した瞬間、そこにいるすべての人々の血肉が湧き踊っていることが実感できる大歓声。「これをロックと言わずに何をロックと呼ぶのだろう」そう思わせる光景と音楽、それを何千回と生み出してきた20年の歴史も想起し、ボロボロ涙が止まらなくなったのは自分だけじゃないはずだ。ただひたすらに生きた証を刻むよ 今―――THE BACK HORNとその共鳴者による叫びが武道館に炸裂し、会場はこの日最大の熱気に包まれる。そして「刃」のシンガロング! 山田将司、菅波栄純、岡峰光舟、松田晋二が大きく口を開いて一斉にこちらに向けて雄叫びをあげ、それに呼応するように地響きのような大合唱を聴かせるオーディエンス。思わず笑みが溢れてしまうほど「生きる」を実感しながら俺達は一つになった。

 松田晋二「最高です、武道館。どうもありがとうございます! これから21年目以降もまだまだみんなの心に届く音楽を作っていきたいと思います。結成した当初は「続ける」ことはそんなに考えていなくて、そのときそのときの自分たちがやりたい音楽……「なんで生きてんだろう?」とか「なんで悲しみって生まれるんだろう?」とかそんな10代の、20代前半の想い、そういう気持ちをただ曲にして、ひょっとしたら自分たちが救われていたかもしれません。だけど、それでみんなが、同じような気持ちを持った人たちがどんどんどんどん集まってきてくれて、それから10年経って、20年経って、ちょっといろんなことが変わってきたり、ちょっと前向きになれたり、いろんな力が出たり、俺たちもこのバンドに救われてきたし、音楽に救われてきたし、みんなと一緒に成長してこれたと思います。これからももっともっとみんなの何か心の一歩先とか、みんなの心の満たされない何かを作れる、そんな音楽をこれからも目指していきたいと思います。今日これからがまた俺達の出発です。今日は本当に、武道館、ありがとうございました!」

 そんなリーダーの純粋すぎる名スピーチと共に突入したアンコール、その最後に山田将司が叫んだ「また生きて会おうぜ!」―――かつて20代の未熟者だった俺に人生はサバイバルであると教えてくれたのは、同じく20代の未熟者ながら「生きる」未来を必死に音楽で見出だそうとしていた彼らであり、その碧さは20周年を迎えた今も変わらぬままだった。その喜びにまたまた生命力を満たされ、俺達はまだ見ぬ日常を生きていくのである。

取材&テキスト:平賀哲雄
Photo by AZUSA TAKADA

◎ライブ【THE BACK HORN 20th Anniversary「ALL TIME BESTワンマンツアー」~KYO-MEI祭り~】
2019年02月08日(金)日本武道館 セットリスト:
01.その先へ
02.ブラックホールバースデイ
03.サニー
04.罠
05.ジョーカー
06.ひとり言
07.悪人
08.雷電
09.コワレモノ
10.初めての呼吸で
11.ヘッドフォンチルドレン
12.美しい名前
13.未来
14.Running Away
15.グローリア
16.シンフォニア
17.コバルトブルー
18.刃
En1.冬のミルク
En2.ハナレバナレ
En3.無限の荒野


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