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フレデリックが、ワンマンツアー【FREDERHYTHM TOUR 2019~飄々とイマジネーション~】のZepp Tokyo公演を、2月20日、21日の2日間に渡り開催した。
初日となる2月20日は、約2年4か月ぶりとなるフルアルバム『フレデリズム2』の発売日であり、バンドの核である三原健司(Vo./Gt.)&三原康司(Ba.)の誕生日。本稿では、終始ピースフルな高揚感に包まれ、またいつにも増してエモーショナルなライブとなった同日の模様をレポートする。
オープニングを飾るのは、赤頭隆児(Gt.)のエッジーなカッティングが印象的な「シンセンス」。「Zepp Tokyo、遊ぼうぜ!」と勢い良く煽ると、 超満員のフロアは大きくバウンス。続けて、リズミカルなクラップがこだました「かなしいうれしい」、レーザーが激しく入り乱れる「KITAKU BEATS」でより一層ギアを上げていく。さらに「シンクロック」から曲間0秒で「TOGENKYO」のリフが繰り出されると、会場からは大きな声援が上がった。2018年、数々の大舞台を経験してきた彼らならではのタフなパフォーマンスは、ライブハウス最大級のキャパを誇るZepp Tokyoのステージですら小さく見えた。
中盤では、昨年11月に行われたBPM120-140限定ライブ【LIGHT LIVE】を彷彿とさせるゆったりとしたナンバーを連投。「ここからはあなた達が主役です。身体揺らしてこうぜ」と放たれた「真っ赤なCAR」「NEON PICNIC」、そして、ここ最近のフレデリックの鍵となる楽曲「LIGHT」で、新たなダンス・ミュージックの形を表現していく。この日、後半戦で披露される「リリリピート」や「オドループ」がよりダンサブルに進化したように思えたのは、こうしたアッパーではないダンス・ミュージックも、フレデリックを構成する大切な要素として提示するようになったことが影響しているのかもしれない。
ここで、この日初めてのMCパートへ。「今日は何の日ですか?」と健司が煽ると、誰からともなく「HAPPY BIRTHDAY」合唱のプレゼントが。思いがけない展開にほくほく顔の三原兄弟。兄・健司は「今日は『フレデリズム2』の発売日です」とジョークをかましつつ、「三原兄弟29歳になりました!ありがとうございます!」と挨拶。弟・康司も、「誕生日って『一体何のために生まれたんかな』って考える日だと思うけど、言うたらこうやってライブで音楽を伝えたり、CDをリリースしたり、まさにこういう日なんやなあと。むしろ、みんな生まれてくれてありがとうって感じです」と応援してくれるリスナーに感謝を伝えた。
また、他のメンバーのMCももちろん誕生日ネタ。赤頭は2人にあげたプレゼントについて語り、高橋武(Dr.)は三原兄弟28歳最後のライブとなった福岡公演を振り返りつつ、29歳最初のライブである本公演への意気込みを語った。話の締めでは、「いつも康司君は良い曲書いてくれるし、健司君は良い歌歌ってくれるけど、俺のドラムも2人から来てるんだよってことが言いたかった。いつもありがとう!」と二人へのリスペクトを告白。その熱い言葉に会場が湧くと、赤頭は「俺もう一回喋ろうかな?」と笑いを誘った。
「武ちゃんの良い言葉を塗り替えるようなみんなの熱、もらって帰っていいですか?」と、ライブは後半戦へ。その言葉に応えるようにたくさんのクラップが鳴り響いた「リリリピート」、疾走感溢れるロックナンバー「エンドレスメーデー」、さらに「バジルの宴」では、オーディエンスの度肝を抜くようなダークでアバンギャルドな一幕もあり。ラストに向けて、あらゆる側面から会場のテンションを盛り上げていく。
そして突入した「オドループ」。しかしその演奏中、思わず感極まる健司。演奏後、「もう良いこと言うなや……ずーっと我慢しとったのに……」と絞り出すような声で話し出すと、フロアから温かい拍手と歓声が。「やめなさいやめなさい(笑)」と照れ隠しをしてみせた後、「みなさんの“そういうところが嫌いです。でも嫌いになれない”です」と、新曲「スキライズム」へ。これまでのエモーショナルな流れと相反する曲の軽やかさが、本曲の持つ二面性と絶妙にマッチ。この“憎めない矛盾”こそ、フレデリックの真骨頂なのだと感じられるシーンだった。ラストは、「29年間生きて今日が一番です。本当にありがとうございました!」と、メンバー全員晴れやかな表情で、ステージを去っていった。
アンコールのMCでは、「音楽業界の中で、ロックスターやポップスター、それぞれで1位を獲る人がいますが、 俺達は“フレデリズム”という別の国を作り上げて、好き勝手やってやろうと。その内に、気付いたら世間も巻き込んでる、そんなバンドになりたくて、『フレデリズム』を作ろうと決心しました。その第2弾『フレデリズム2』。本当にみんなに聴いてもらいたい、届けていきたいと思ってます。頑張っていきますので、2019年のフレデリックもよろしくお願いします!」と今後の活動への意気込みを語った。
終盤戦はそんな『フレデリズム2』より、パーカッションが軽快な新アンセム「逃避行」、そしてツアーの表題曲である「飄々とエモーション」を披露。これから進むべき道を切り開いていくような力強いナンバーで、この日のライブは締めくくられた。
和洋折衷あらゆるジャンルを先入観抜きに取り入れ、自分達のものにしてきたフレデリック――いよいよそんな文言もいらなくなるのではと思うほど、絶対的な存在になりつつあることを体感できたライブだった。先日19日には、バンド史上最長となる全国ツアーの日程が発表されたばかり。“現在過去未来 掻っ攫って”と歌うバンドが、このツアーでどのようなライブを繰り広げ、そして1年後の横浜アリーナ公演へと繋げていくのか。彼らの掲げる“フレデリズム”の進化に、これからも目が離せない。
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