『ヴィダ』ルイス・フォンシ(Album Review) 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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『ヴィダ』ルイス・フォンシ(Album Review)

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『ヴィダ』ルイス・フォンシ(Album Review)

『ヴィダ』ルイス・フォンシ(Album Review)


 2017年1月に発売したダディー・ヤンキーとのデュエット曲「Despacito」が、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で歴代最長となる16週連続のNo.1をマークし、全世界にその名を知らしめたプエルトリコ出身のラテン・シンガー=ルイス・フォンシ。この曲は、同年4月にリリースされたジャスティン・ビーバー参加のリミックスにより大ブレイクし、モンスター・ヒットにつなげた。YouTubeの公式チャンネルに公開したミュージック・ビデオの再生回数も、歴代最高の59億回というとんでもない記録を樹立している。

 本作『ヴィダ』は、その「Despacito」の原曲、そしてジャスティンとのリミックスいずれも収録した、ルイス・フォンシ通算10作目となるスタジオ・アルバム。米ラテン・チャート最高2位をマークした前作『8』(2014年)から5年ぶりの新作ということもあり、注目が高まっている。

 アルバムは、発売1週間前にリリースされた先行シングル「Sola」で始まる。オープニング曲だけに、「Despacito」のようなフロアライクでど派手なナンバーを予想していたが、割と単調なスパニッシュ・メロウという意外な幕開けに驚愕。アダルト・コンテンポラリー寄りの哀愁漂う好曲ではあるが、レゲトンやラテン・ポップを期待していた方にはちょっと物足りないかもしれない。が、ご安心を。次曲「Apaga La Luz」では、一気にテンションを押し上げてくれる。

 盛り上がりの最高潮は、7曲目に収録されたデミ・ロヴァートとのデュエット曲「Echame La Culpa」だろう。腰を動かさずにはいられないフロア向けのレゲトン・トラック、そして、デミの突き抜けるパワフルなボーカルが、盛り上がりに花を添える。通算17億回もの再生回数を記録したミュージック・ビデオでも、39歳とは思えないハードなダンスを披露し、「Despacito」以上のインパクトを放っている(そしてデミが過去最高に可愛い)。この曲は、米ラテン・チャートで3位まで上昇し、フランス(3位)、スイス(2位)でもTOP3入り、スペインではNo.1に輝くヒットを記録した。

 ビジュアル、パフォーマンス共に抜群のインパクトを放つ、UKのフィーメール・ラッパー=ステフロン・ドンとのコラボ曲「Calypso」も、レゲトンの真骨頂というべくテンションの高いナンバー。アルバムには、コロンビアの女性シンガー、カロル・Gとデュエットしたリミックス・バージョンも収録されていて、どちらもフィーチャリング・アーティストのキャラがしっかり際立っている。同プエルトリコ出身のレゲトン・シンガー=オスナをゲストに迎えた「Imposible」は、「Despacito」の続編的な要素満載で“狙った感”否めないが、ダディー・ヤンキーとはまた違う、オスナのソフトなボーカルが良いアクセントになっていて、聴き心地良い。

 対して、「Sola」と同調のテンションを少し落ち着かせたラテン・ポップ「Poco A Poco」、感情を振り絞って歌う熱傷系バラード「Dime Que No Te Iras」、色気たっぷりのファルセットが印象的な「Tanto Para Nada」、おセンチ系のメロウ・チューン「Le Pido Al Cielo」~「Ahi Estas Tu」など、スロウも充実している。テンション“マックス”なアルバムではないが、メロウ・チューンも程よく配分されているため、幅広い層に支持してもらえる作品に仕上がっている。ルイス・フォンシのキャリア史上、最もシングル・ヒットが詰まったアルバムだけに、自身最高のセールスも期待できるかもしれない。

 もの凄い余談だが、彼の伸長が170センチという意外性。ビデオでみると、もっと大きい感じがするのにねぇ……。


Text:本家一成


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