【深ヨミ】クイーン『ボヘミアン・ラプソディ』サントラ・映画のヒットとCDセールスの関係を調査
【深ヨミ】クイーン『ボヘミアン・ラプソディ』サントラ・映画のヒットとCDセールスの関係を調査

 12月10日付のBillboard JAPAN週間“Top Albums Sales”で、クイーン『ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)』が20,293枚を売り上げ3位を獲得した(集計期間2018年11月26日~2018年12月2日)。

 クイーン『ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)』は日本では2018年11月9日公開されたロックバンド・クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ」のサウンドトラックであり、クイーンの従来の楽曲と未発表音源が収録されている。日本では映画公開に先立ち、2018年10月19日に発売された。映画は公開週末から4週目週末まで興行収入が上がり続ける大ヒットとなり、そのサウンドトラックもBillboard JAPAN週間"Download Albums"で1位を獲得する等、媒体を問わない大ヒットとなっている。

 ここでは、クイーンの2018年のCDセールスの動向を、映画『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラの発売と、劇場公開によってどのような影響を受けたのかをSoundScanJapanの販売データを使用し検証してみる。

 今年に入ってからのクイーンの全アルバムの週別の販売推移が図1(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/70447/2)だ。『ボヘミアン・ラプソディ』のサウンドトラックが発売された42週以降、大きく増えているのが見てとれる。では、サントラだけが大きく売上げを伸ばしたのだろうか?今年に入ってからサントラが発売される前の41週までの動きを、より細かく見たのが図2(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/70447/3)だ。100枚刻みのグラフとなっているので、凹凸が大きいように見えるが、特にイベントなどの話題がなくても、クイーンのアルバムは、安定して300枚前後を売り上げていることが分かった。なお実店舗(図中水色)とeコマース(図中紺色)を比較すると44:56となり、若干eコマースの売上の方が多いことも分かった。

 続いて、『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラが発売された42週以降を細かく示したのが図3(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/70447/4)である。初週は2,952枚で2週目は1,677枚と一般的なCDのセールスの様に2週目に販売数が下がっている。しかし、3週目に1,761枚を売り上げ、劇場公開日(2018年11月9日)を含む発売4週目(45週)に4,383枚と前週の2倍以上のセールスを記録した。その後も12,055枚→18,840枚→20,293枚と、映画が話題になるのにつれて、5週連続で前週の販売枚数を超える結果を残している。

 また、『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラの実店舗とeコマースの販売比率だが、初週こそクイーンの他タイトルと同様eコマースのほうが高い結果となっているが、2週目以降は実店舗の販売枚数がeコマースを逆転し、8週経過時点の累計販売枚数で63:37と、これまでのクイーンの音楽CDの販売動向と異なる結果となっており、元からのクイーンのファンや映画でクイーンを知った層が映画をきっかけとして、実店舗に足を運んでいる事が見て取れる。

 ここで、『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラの発売以降のクイーンの他のタイトルに目を向けてみる。42週以降の『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラを除いたクイーンの全アルバムの週別販売推移が図4(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/70447/5)である。これは『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラを含まないので、既発のクイーンのCDの販売推移という事で、タイトル的には図2の延長上になるのだが、こちらも映画が話題となるとともに、販売枚数を大きく伸ばしており、48週単独では18,092枚・42週から48週の累計では61,959枚と、サントラ発売前は1週間の平均販売枚数が300枚強だった事を考えると、爆発的にセールスを伸ばしている事がわかる。また、実店舗とeコマースの販売比率についても44週までは、図2の41週迄と同様にeコマースの方が、高い比率となっている。しかしこちらも劇場公開のあった45週には実店舗も販売数を伸ばし、42週以降累計の比率が48:52と、サントラ発売前と比較すると実店舗が健闘している結果が見えており、サントラ購入時に追加で他のタイトルを購入している事が予想できる。

 映画の上映は今後も続き、映画を見ることにより再びクイーンを聞こうとする既存の音楽ファンや、クイーンの音楽に触れて興味を持った新しいファンはこれからも増えそうであり、まだまだクイーンのブームは続きそうである。