エリザベートの息子、ルドルフの苦悩と愛と死を鮮烈に描く、英国ロイヤルのドラマティック・バレエがスクリーンに登場
エリザベートの息子、ルドルフの苦悩と愛と死を鮮烈に描く、英国ロイヤルのドラマティック・バレエがスクリーンに登場

 『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2018/19』の開幕を飾る、ハプスブルグ家をめぐる陰謀と愛欲に彩られたドラマティック・バレエ『うたかたの恋』が12月7日より全国公開される。
舞台写真(全6枚)

 1889年、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフが、17歳の愛人マリー・ヴェッツェラと心中したマイヤーリンク事件。英国バレエを代表する巨匠ケネス・マクミランは、映画化で有名なこの実話をリストの音楽にのせてバレエ化した。

 母エリザベート皇后に愛されず、政略結婚を強いられ、宮廷内の策略にも翻弄されてきた皇太子ルドルフは次から次へと愛人を作り、苦悩し病んでいく。バレエ作品には珍しく男性が主人公であり、演技力を要求されるルドルフ役は、男性ダンサーならいつかは演じてみたい難役。人間の暗部を描くのに長けたマクミランの手腕が発揮され、19世紀末の帝国の宮廷の人間模様がドラマティックにそして官能的に、陰影に富んで描かれる。

 超絶技巧で知られる人気者スティーヴン・マックレーが、怪我を克服し、愛欲と麻薬に溺れ苦悶する皇太子という役に並々ならぬ意欲で挑んだ。死によってのみ成就する永遠の愛に憧れ、ルドルフを大胆に挑発する少女マリー・ヴェッツェラには、演技力とテクニックを併せ持ったサラ・ラム。二人はすべてを焼き尽くすような鮮烈なデュエットを見せる。ルドルフを立ち直らせようと腐心する元愛人ラリッシュ伯爵夫人には演技派ラウラ・モレーラ。ロイヤル・バレエならではの演劇性がたっぷり味わえる重厚な人間ドラマとなっている。『うたかたの恋』は、12月7日よりTOHOシネマズ日比谷ほか、全国順次公開。

◎公開情報
『うたかたの恋』
(c) ROH, 2017. Photographed by Alice Pennefather.
2018年12月7日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか、全国順次公開