フレデリック、全曲BPM120~140ライブで見せた“これまで”と“これから”を繋ぐ新たなフレデリズム
フレデリック、全曲BPM120~140ライブで見せた“これまで”と“これから”を繋ぐ新たなフレデリズム

 フレデリックが、11月16日に配信リリースした新曲「LIGHT」のリリース記念イベント【フレデリズムツアー特別公演-LIGHT LIVE ■=120~140-】を、11月20日東京・渋谷WWW Xにて開催した。

 今年4月には地元・神戸での初アリーナ公演を成功させ、数々のフェスでもメインステージを任されるようになったフレデリック。今まさに追い風に乗る彼らが今回のライブで打ち出したコンセプトは≪全曲BPM120~140≫。この一風変わったコンセプトには、新曲「LIGHT」をきっかけに、フレデリックの音楽をもっとよく知ってほしいという思いが込められているという。本文では、そんな彼らの挑戦的かつ音楽愛に満ちた特別な一夜をレポートする。

 ライブは、オールドスクールなディスコナンバー「ナイトステップ」からスタート。クラブ・ミュージックさながらの自然な繋ぎで、オーディエンスの踊りを止めることなく次から次へと曲を投下していく。<せかされず踊って>と今日のコンセプトともリンクする「スローリーダンス」、海外のインディー・ポップとも共鳴するダンスチューン 「CYNICALTURE」、三原健司(Vo./Gt.)と三原康司(Ba.)のハーモニーが美しいサイケデリック歌謡「うわさのケムリの女の子」など、最近のライブでは披露されていなかった曲の連続に、フロアからはイントロが始まるたびに歓声が上がった。

 軽く挨拶を挟み、続いては小気味良いリズムとユニークな節回しが心躍る「シャンデレラ」へ。この曲は、2015年リリースのミニ・アルバム『OWARASE NIGHT』に収録されながらも、今回がライブ初披露だという。赤頭隆児(Gt.)のファンキーなカッティングと、康司のダンサブルなベースライン、ソウルフルにこぶしを効かせる健司の歌と、それに負けないくらいの歌心溢れるドラムで魅せる高橋武(Dr.)。この日のライブの意図を実感する、フレデリックの魅力を再確認できるような一曲だった。

 ゆったりゆらゆらと身体を揺らした後は、「ディスコプール」「パラレルロール」さらに「シンセンス」と、アッパーな楽曲でフロアのテンションは一気に沸点へ。昨年の全国ツアーでも繰り出された「ディスコプール」から「パラレルロール」の繋ぎでは、リフが転調するにつれて歓声のボリュームも上昇。オーディエンスの抑えきれない興奮を物語っていた。

 MCでは、健司より新曲「LIGHT」について、そして今回のライブを開催するに至った経緯が語られた。「(「LIGHT」について)いろんな声をいただいてね、“フレデリックらしい”って言う人と、“フレデリックっぽくない”という人が分かれてたりしていて。そこでズレが生じているのは、もっとフレデリックの音楽をよく深く知ってほしいって意味では、ちょっと悲しいなと思って。今までは”フェスでみんなと楽しもう”という曲とは別に、また違う楽しみ方ができる曲をアルバム曲として入れていたんですけど、その曲をもっと光らせるためにこの『LIGHT』を作ろうって始まったんです。じゃあそこまで俺達が考えるんやったら、そういうライブをしたらいいんじゃないか、もうBPM120~140の曲ばっかりやるライブをやったらいいんじゃない、ってことで今日やらせてもらいました。もっとみんな戸惑うと思ってたんやけど、すごい楽しくやらせてもらって、ほんまに嬉しいです」

 続けて、「俺達の音楽で新しい楽しみ方してください」とライブは後半戦へ突入。今日披露された楽曲の中では最もテンポが遅い「真っ赤なCAR」、オリエンタルなシンセサウンドが夜の街を想起させる「NEON PICNIC」と、アーバンなナンバーが続く。最低限の音数で繰り広げられる濃厚なグルーヴに、手を挙げて楽しむ人、コップ片手にゆるりと踊る人、リズムに合わせて静かに頭を揺らす人などなど、オーディエンスはそれぞれ自分のスタイルで曲を楽しんでいる様子を見せていた。

 「NEON PICNIC」のアウトロがフェードアウトすると同時に、さざ波のようなシンバルの音色が静かに会場を包み込む。フロア中がその音に耳を澄ませる中、16分で刻まれたシーケンスがゆっくりとフェードイン。「LIGHT」のイントロが炸裂し、今日一番の歓声が上がった。

 この日のライブで一番印象的だったのは、この「LIGHT」で踊るオーディエンスの姿だ。ライブ初披露、しかも今までのフレデリックにはなかったエレクトロなダンス・ミュージックに、オーディエンスがどう応えるのか、ライブ前は全く想像がつかなかった。しかし、いざ曲が始まると、オーディエンスは新しい音楽に出会えたことを心から喜ぶような、晴れやかな表情で身体を揺らしていた。これは『踊る』というワードに常に真摯に向き合い、様々な角度から自分達なりのダンス・ミュージックを探求し続けてきた彼らだからこそ作れた光景だろう。この「LIGHT」には、フレデリックの“これまで”と“これから”を繋げる力がある。そして、ここからまた新たな<フレデリズム>が広がっていくのではないか――そんなことを予感させてくれる一幕だった。

 アンコールでは、この日唯一の表題曲「飄々とエモーション」を披露。会場中に響く500人のシンガロングと、それに応えるような渾身のライブ・パフォーマンスで、1時間超にわたるライブに幕を閉じた。

 過去も未来も全部持っていくと言わんばかりに、自身の魅力を炸裂させた今回の【LIGHT LIVE】。しかし、これはフレデリックのほんの一面に過ぎない。11月23日から始まった全国ツアーでは、この日とはまた違った面をたくさん見せてくれるだろう。あらゆるボーダーを超えることができるフレデリックの音楽が、ますます多くの人に届くことを期待している。

Photo:Satoshi Hata
Text:Mika Fuchii


◎公演情報
【フレデリズムツアー特別公演-LIGHT LIVE ■=120~140-】
2018年11月20日(火)
東京・渋谷WWW X
<セットリスト>
01.ナイトステップ
02.スローリーダンス
03.CYNICALTURE
04.うわさのケムリの女の子
05.シャンデレラ
06.ディスコプール
07.パラレルロール
08.シンセンス
09.真っ赤なCAR
10.NEON PICNIC
11.LIGHT
en.飄々とエモーション

◎配信リリース情報
「LIGHT」
2018/11/16 RELEASE

◎ツアー情報
【FREDERHYTHM TOUR 2018~飄々とインセプション~】
2018年11月23日(金・祝)神奈川・横浜Bay Hall ※SOLD OUT
2018年12月01日(土)新潟・新潟LOTS ※SOLD OUT
2018年12月02日(日)富山・富山MAIRO ※SOLD OUT
2018年12月07日(金)石川・金沢EIGHT HALL ※SOLD OUT
2018年12月15日(土)香川・高松festhalle ※SOLD OUT
2018年12月16日(日)広島・広島BLUE LIVE
2019年01月20日(日)岡山・岡山CRAZYMAMA KINGDOM ※SOLD OUT

【FREDERHYTHM TOUR 2019~飄々とイマジネーション~】
2019年01月26日(土)北海道・Zepp Sapporo
2019年02月02日(土)宮城・SENDAI GIGS
2019年02月08日(金)大阪・Zepp Osaka Bayside
2019年02月09日(土)大阪・Zepp Osaka Bayside
2019年02月13日(水)愛知・Zepp Nagoya
2019年02月14日(木)愛知・Zepp Nagoya
2019年02月17日(日)福岡・Zepp Fukuoka
2019年02月20日(水)東京・Zepp Tokyo
2019年02月21日(木)東京・Zepp Tokyo
2019年03月03日(日)沖縄・桜坂セントラル