【かわさきジャズ2018】佐山雅弘氏の遺志を継いだ【ジャズ・トライアングル~The 3 Pianists~】、“人生は出会い”を体現する魂の演奏 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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【かわさきジャズ2018】佐山雅弘氏の遺志を継いだ【ジャズ・トライアングル~The 3 Pianists~】、“人生は出会い”を体現する魂の演奏

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【かわさきジャズ2018】佐山雅弘氏の遺志を継いだ【ジャズ・トライアングル~The 3 Pianists~】、“人生は出会い”を体現する魂の演奏

【かわさきジャズ2018】佐山雅弘氏の遺志を継いだ【ジャズ・トライアングル~The 3 Pianists~】、“人生は出会い”を体現する魂の演奏


 11月16日に神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールにて佐山雅弘の スペシャル・ピアノ・プロジェクト【ジャズ・トライアングル~The 3 pianists】が開催された。

 本公演が開催される2日前の11月14日、本公演をプロデュース、出演予定でもあり、会場となったミューザ川崎シンフォニーホールのホールアドバイザーも務めた佐山雅弘氏の訃報が届いた。だがこの日は故人の遺志を引き継ぎ愛息である佐山こうたと、故人と旧交が深かった国府弘子が出演し、公演はプログラムを一切変えることなく開催された。本稿でこの日の公演について記す前に、佐山雅弘氏のご冥福を心よりお祈りいたします。

 会場に入るとすぐ、360度全方位から見渡せるステージ上に置かれた3台のピアノが目に入る。暗転した会場を静寂が包むと、佐山雅弘のこれまでの軌跡を追った映像が流れ、その後登場した奥田弦、三舩優子、佐山こうたがピアノに腰掛けると「コンファーメーション」でライブが幕を開けた。弾むような3人のピアノの演奏から、踊っているかのような勢いのある奥田のソロ、流麗でしなやかな三舩のソロ、冷静と情熱の間を行き来するような佐山のソロ、と三者三様のソロ回しで序盤から互いを刺激し合いエネルギーを上昇させていく。

 代役を引き受けた佐山こうたは「お父さんが宿題をたくさん残して旅立ってしまったので…」と気丈に話しつつ「心強い方に来ていただきました」と、スペシャルゲストの国府弘子を呼び込んだ。佐山と国府が交代し、迫力のある「シング・シング・シング」が披露されると、国府は佐山雅弘について「佐山さんは面白いアイデアで仲間を集め、“ピアノのおもちゃ箱”をたくさん用意してくれました。佐山さんは楽しいことが本当に大好きだったので、彼が決めた演目を一切変えません。今日は皆さんめいっぱい楽しんでください!」と観客に向けて語った。

 中盤からは、クラシックで高い評価を受けながら同時にジャズやポピュラー音楽にも精通しており、今年で生誕120周年を迎えたジョージ・ガーシュウィン特集へ。ガーシュウィンの中でも人気の高い「サマータイム」、美しい旋律が印象的な「コンチェルトinF 第2楽章から」、佐山雅弘が大好きだったという「our love is here to stay」を、奥田、三舩、佐山、国府の4人が入れ替わりながら演奏。そして、三舩が「これから演奏する曲は、今までに何度も佐山さんと演奏してきた楽曲です。ピアノを通じて色んな事を佐山さんに残して頂いたんだなと、改めて思います」と語り、第一部のラストは「ラプソディー・イン・ブルー」で締めくくられた。

 休憩を挟んでからの第二部は、圧倒されっぱなしの時間だった。まずは、佐山こうたとヴァイオリニスト・石田泰尚による「ゴスペル・メドレー」と「群衆」、続いて三舩とサックス奏者・平野公崇による「モーニング・ブリス」と「プレリュード」、そして奥田とタップダンサー・HIDEBOHによる「チュニジアの夜」が間髪入れずに繰り広げられると、佐山雅弘が様々なアレンジを加えたという「魅惑のダンス」を全員で演奏。6人がそれぞれの呼吸を合わせながら、やがてすべての楽器とダンスが共鳴しあっていく熱演にぐっと引き込まれていった。そのステージの様子は、冒頭で国府が語った“ピアノのおもちゃ箱”という言葉が目の前で体現されているようだった。

 アンコールで再び演者全員が登場すると、奥田がそっと口を開き静かに語り始めた。「佐山さんとは、僕が4歳の頃に初めて出会いました。よく自分のコンサートが終わると、僕にステージでピアノを弾かせてくれたのですが、子どもの自分に対しても子どもとしてでなく仲間として誘ってくれているのが伝わってきてとても嬉しかったのを覚えています」と自身が幼き日の佐山雅弘との想い出を振り返る。続けて「今回の共演は、9年越しの念願でした。皆さんの前で演奏をすることは叶いませんでしたが、想いは受け継がれていくので、今は佐山さんと一緒に舞台に立っている気持でいっぱいです」と力強く語った。

 そして、佐山雅弘が最後の演目として選んでいたのは、演者全員によるオスカー・ピーターソンの「自由への賛歌」。彼が遺した音楽への想いは、仲間たちがバトンを受け取り色褪せずに受け継がれていくということ、そしてこの日のステージを、佐山雅弘は確かに誰よりも楽しんでいたのだろうと強く感じさせられた締めくくりだった。アンコールを終えると、佐山こうたが関係者や観客への深い感謝を述べ、「多くを語るよりも、音で皆さんとお父さんに伝えられていればいいなと思います。本当にありがとうございました。」と告げこの日のライブの幕を閉じた。


text:神人未稀

◎公演情報【佐山雅弘 スペシャル・ピアノ・プロジェクト ジャズ・トライアングル ~ The 3 Pianists】
2018年11月16日(金) ミューザ川崎シンフォニーホール
出演:奥田弦(Pf)、三舩優子(Pf)、佐山こうた(Pf)
スペシャル・ゲスト:国府弘子
ゲスト:HIDEBOH(タップダンス)、平野公崇(Sax) 、石田泰尚(Vn) 


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