【米ビルボード・アルバム・チャート】ケーン・ブラウン自身初の首位、イマジン・ドラゴンズ/トリッピー・レッド/故リル・ピープらTOP5デビュー
【米ビルボード・アルバム・チャート】ケーン・ブラウン自身初の首位、イマジン・ドラゴンズ/トリッピー・レッド/故リル・ピープらTOP5デビュー

 カントリー・シンガー、ケーン・ブラウンの新作『エクスペリメント』がNo.1デビューを果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 本作は、2016年12月リリースのデビュー・アルバム『ケーン・ブラウン』から2年ぶり、2作目のスタジオ・アルバムで、ケーンにとって“Billboard 200”では初の首位獲得となる。同時に、カントリー・アルバム・チャートでは2作連続の1位に輝いた。

 初動ユニットは124,000で、そのうちアルバムの売上枚数が105,000枚、ストリーミングによるみなし売上は2万枚程度だった。カントリー・シンガーとして、2018年で1位を獲得したのは、ジェイソン・アルディーンの『リアビュー・タウン』(4月28日付)、キャリー・アンダーウッドの『クライ・プリティ』(9月29日付)に続く3組目。なお、2017年はルーク・ブライアン、ケニー・チェズニー、シャナイア・トゥエイン、トーマス・レットの4組が首位獲得を果たしている。

 初動ユニット数としては、その『クライ・プリティ』の266,000ユニット、『リアビュー・タウン』の183,000ユニット、首位は獲得していないが、5月13日付で2位にデビューした、キース・アーバンの『グラフィティ・U』が獲得した145,000ユニットに次ぐ、4番目の記録。なお、ケーン・ブラウンは2016年3月にリリーしたEP盤『チャプター1』も9位にランクインしていて、TOP10入は本作で3枚目となる。

 アルバムのヒットは、カントリー・ソング・チャートで5位まで上昇した先行シングル「ルース・イット」と、本作には収録されていないが、ソング・チャート“Hot 100”で最高6位をマークした、カミラ・カベロの「ネバー・ビー・ザ・セイム」のリミックスにフィーチャーされたことが挙げられる。ケーン・ブラウンは、タトゥーにキャップと、カントリー・シンガーとは思えない風貌も人気の理由で、本作のアート・ワークも横に剃り込みが入ったヘア・スタイルが、R&Bアーティストのアルバムかと錯覚させられる。

 続いて2位には、ロック・バンドのイマジン・ドラゴンズが初登場。本作『オリジンズ』は、「ビリーヴァー」や「サンダー」といったTOP10ヒットを輩出した前作『エヴォルヴ』(2017年)から1年半ぶり、4作目のスタジオ・アルバムで、同2位を記録したデビュー・アルバム『ナイト・ヴィジョンズ』(2012年)から4作連続のTOP3入りを果たした。

 初動ユニットは91,000で、アルバムの売上が61,000枚、ストリーミングによるみなし売上が3万枚と、ロック・バンドにしては視聴回数によるポイントが高い。本作からの先行シングル「ナチュラル」が、Hot 100チャート最高13位、ロック・チャート1位の大ヒットを記録したことが、アルバムのストリーミング上昇につながった。なお、前作『エヴォルヴ』の初動ユニットは146,000(2017年7月15日付)で、数字的には伸び悩んだことがわかる。

 今週は、TOP3全てが初登場作品。3位には、米オハイオ州の若手ラッパー=トリッピー・レッドの新作『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー3』がデビューした。初動ユニットは84,000で、アルバムの売上が11,000枚、ストリーミングによる売上枚数が72,000枚と、上位2者とは対照的な結果となった。今週のストリーミング・チャートでは、初登場1位を獲得している。

 本作は、2017年5月リリースの『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー』(64位)、2017年10月の『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー2』(34位)に続くミックステープ第三弾で、今年の8月25日付チャートで4位に初登場したデビュー・アルバム『ライフズ・ア・トリップ』を超える、自己最高位を更新。シングル・ヒットはないが、アルバム・チャートでは快挙を達成した。

 TOP3以下、4位にも新作が初登場。トリッピー・レッドとは僅差の81,000ユニットを獲得して、故リル・ピープの遺作『Come Over When You’re Sober, Pt. 2』がデビューし、こちらもアルバム・チャート自己最高位を更新した。リル・ピープは、1年前の2017年11月15日、オーバードーズにより21歳の若さで急死した、米ニューヨーク・ロングアイランド出身のラッパー。生前リリースしたデビュー作『Come Over When You’re Sober, Pt. 1』は最高位が38位だったため、自身初のTOP10入りということになる。

 初登場作品ではないが、6位にはビートルズの『ホワイト・アルバム』がリエントリーした。本作は、1968年の11月22日にリリースされた通算9作目のダブル・アルバムとして発売された作品で、同年~翌69年の春にかけて、通算9週の首位獲得(非連続)を果たしている。今週再登場したのは、リリース50周年を記念したリマスターによる特別盤がリリースされたため。週間ユニットは63,000で、そのうち52,000枚がアルバムの純粋な売上枚数だった。

 今週で2018年度(2017年12月~2018年11月迄)のチャート集計が終わり、次週からは2019年度の集計がはじまる。2018年の年間チャートは12月上旬に発表予定。

Text:本家一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、11月23日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『エクスペリメント』ケーン・ブラウン
2位『オリジンズ』イマジン・ドラゴンズ
3位『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー3』トリッピー・レッド
4位『Come Over When You’re Sober, Pt. 2』リル・ピープ
5位『アリー/スター誕生』サウンドトラック
6位『ホワイト・アルバム』ビートルズ
7位『ボヘミアン・ラプソディ』サウンドトラック
8位『ノット・オール・ヒーローズ・ウェア・ケイプス』メトロ・ブーミン
9位『スコーピオン』ドレイク
10位『アストロワールド』トラヴィス・スコット