クリス・ウー、ソロ・デビューAL収録曲が米iTunesチャート上位を独占するもニールセンが調査中
クリス・ウー、ソロ・デビューAL収録曲が米iTunesチャート上位を独占するもニールセンが調査中

 クリス・ウー(ウー・イーファン)のソロ・デビュー・アルバム『Antares』(アンタレス)が2018年11月2日にリリースされた際、あっと言う間に収録曲が米国のiTunesソング・チャートで上位7位までを独占した。翌日にリリースされたアリアナ・グランデの「サンキュー、ネクスト」はどうにか上位に食い込んだものの、1位はウーに阻まれる形となった。

 中国系カナダ人である彼は元EXOのメンバーで、中国では俳優としても活躍している国民的スーパースターだ。米国でも映画に出演しており、4月にユニバーサル・ミュージック・グループとグローバル契約を交わしたことから欧米での知名度も上昇しつつある。とはいえ、まださほど知られていない外国人アーティストの楽曲が米国のiTunesのセールス・チャートを独占できたのは、ウー側が何かしらの不正を行ったからではないかと疑問視する意見がネットや米音楽業界で相次ぎ、米ビルボードにデータを提供しているニールセンが調査に乗り出す事態となっている。

 中国では展開していないSpotifyにおいて、ウーの月間聴取者数が約100万人と比較的低いことも不正疑惑が深まった理由の一つだ。『Antares』の人気曲も好調だが群を抜いてというほどでもなく、たとえば約1か月前に先行リリースされた「Deserve feat. Travis Scott」は2,400万回近く再生されているが、アリアナの「サンキュー、ネクスト」はすでに2,900万回を突破している。

 アリアナのマネージャーであるスクーター・ブラウンもウーの好調ぶりを疑問視したひとりで、ボットを使ってセールスを押し上げているのではないかといぶかるツイートを11月4日に投稿した。だが彼はその後このツイートを削除し、11月7日に今度はインスタグラムを通じ、ウー本人と直接やり取りする機会があり、双方のチームが説明を受けたことを明かした。ブラウンはウー側の事情に理解を示した上で、不正の“噂”は事実ではないと強調している。

 ブラウンの投稿によると、『Antares』は中国国内ではウーの誕生日である11月6日まで発売されなかったため、現地のファンが米iTunesに殺到したことが今回の騒動の原因であるとしている。よって、6日に中国で発売された途端にアクセスが激減し、彼の楽曲が米iTunesセールス・チャート上位からも姿を消したとのことだ。

 11月7日にユニバーサル・ミュージック・チャイナも声明を発表し、Sixth Toneの翻訳によると、『Antares』のチャート・パフォーマンスは“本物で有効である”としている。また、楽曲のランキングが後退した時に噂されていたような、同アルバムが米iTunesから削除されたという事実はないと明言している。7日の時点で『Antares』は米iTunesで聴くことができ、「We Alive」はセールス・チャートで116位となっていた。

 米ビルボードのデータ・プロバイダーであるニールセンの担当者は声明で、「今週報告されているクリス・ウーの売上高について、精度と合法性を期すために米ビルボードとニールセン・ミュージックは緊密に連携している。われわれはデータをストリーミング、ラジオ、小売を含む複数のソースから入手することにより、セールスや再生情報の精度を確認すると同時に、異常も検知することができる。毎週の通常検証過程において異常が認められた場合同様、問題を解決すべくパートナーと連携し、チャートが最終決定される前に不規則または過剰な販売パターンを除外することもある」と発表している。

 ウーの『Antares』については現在精査中で、最新米ビルボード・チャートの結果がどうなるかは不明だ。最新チャート週は現地時間の11月8日が最終日で、アルバム・チャート“Billboard 200”は11日、ソング・チャート“Hot 100”は12日にそれぞれ発表される。

◎スクーター・ブラウンによる投稿
https://www.instagram.com/p/Bp4P0l6gZYk