【米ビルボード・アルバム・チャート】アンドレア・ボチェッリ初の全米首位、Jojiが3位初登場
【米ビルボード・アルバム・チャート】アンドレア・ボチェッリ初の全米首位、Jojiが3位初登場

 イタリアのテノール歌手=アンドレア・ボチェッリの新作『Si~君に捧げる愛の歌』が、自身初のNo.1デビューを飾った、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 1994年のデビュー作『Il Mare Calmo della Sera(夕暮れの静かな海)』以降、コンピレーション・アルバム、ライブ盤含め計26枚のアルバムが同チャートにランクインしているアンドレア・ボチェッリだが、意外にも全米(Billboard 200)での首位獲得は、本作が初となる。これまでの最高位は、2009年リリースのホリデー・アルバム『マイ・クリスマス』と、2013年の14thアルバム『情熱のラヴ・ソング』がもつ2位で、前者は5週連続で2位を獲得したが、最終的に1位には到達しなかった。

 “Billboard 200”初のランクインとなった『ロマンツァ』(1997年 / 35位)からは20年10か月の快挙達成で、歴代3番目に長い期間を経ての全米首位獲得となった。上位には、2016年1月に死去したデイヴィッド・ボウイの『ブラックスター』(43年9か月)と、1970年の『スウィート・ベイビー・ジェームス』(最高3位)から2015年の『ビフォア・ディス・ワールド』まで、45年4か月をかけて1位獲得を果たした、ジェームス・テイラーの2組がいる。

 初週126,000ユニットを獲得して1位に初登場した本作は、内訳123,000枚がアルバムの実売と、そのほとんどがセールス・ポイントによるものだった。売り上げが好調だった理由として、今年から来年にかけて行われるツアーのチケット償還が挙げられる。昨今では、この手法により高セールスを記録するアルバムが増えている。特に、ロックやカントリー、ベテラン・アーティストの作品で多くみられる傾向。

 本作は、クラシック・アルバム・チャートと、クラシック・クロスオーバー・チャートの2つのチャートでも1位を獲得し、クラシック・アルバムとしてはジョシュ・グローバンのクリスマス・アルバム『ノエル~クリスマス・コレクション』(2008年1月5日付チャート)以来の全米首位獲得。全英(UK)アルバム・チャートでも初の首位獲得を果たしていて、イギリスでクラシック・アルバムがNo.1デビューしたのは、映画『タイタニック』(1998年)以来およそ21年ぶりとなる。

 アメリカで英語以外のアルバムが1位を獲得するのは、今年の9月8日付チャートでNo.1デビューした韓国のボーイズ・グループ=BTS (防弾少年団)の『Love Yourself 結 ‘Answer'』以来2か月ぶりのことだが、全米チャートで英語以外のアルバムが首位を獲得すること自体珍しく、1年に3枚(もう1枚はBTSの『Love Yourself 轉 ‘Tear'』)がNo.1に輝いたことはチャート史上初。なお、その前に1位を獲得したのはイル・ディーヴォの『アンコール』(2006年2月11日付)だった。

 初登場から3週連続で首位をキープした、レディー・ガガとブラッドリー・クーパーによる『アリー/ スター誕生』のサウンドトラックは2位にダウンしたが、4週目となる今週も93,000ユニットと高い数字を維持している。

 3位に初登場したのは、米ニューヨークのマスメディア企業<88rising>所属のJoji(ジョージ)によるデビュー・アルバム『バラーズ1』。初動ユニットは57,000で、そのうちアルバム・セールスが34,000枚と、ヒップホップ系のアーティストとしては、ストリーミングより売上が勝るという珍しい結果となった。ジョージは、2017年に“ピンク・ガイ”名義で『ピンク・シーズン』というアルバムをリリースしているが、本作の最高位は70位で、それをはるかに上回る自己最高位更新・初のTOP10入りとなった。<88rising>のメンバーでも、今まで同チャートでTOP10入りしたアーティストはいない。

 続いて4位に初登場したのは、カナダのR&B/ヒップホップ・シンガー=トリー・レーンズの『ラブ・ミー・ナウ?』。初動ユニットは54,000で、そのうちアルバムの売上が5,000枚、ストリーミングによるみなし売り上げが48,000ユニットと、前者とは対照的な結果となった。週間6,250万視聴を記録し、今週のストリーミング・チャートでは1位に輝いている。本作は、今年3月に最高3位をマークした『メモリーズ・ドント・ダイ』からわずか8か月でリリースされた3枚目のスタジオ・アルバムで、2016年のデビュー・アルバム『アイ・トールド・ユー』(最高4位)から3作連続のTOP5入りを果たしている。

 以下、リル・ウェインの『カーターV』、リル・ベイビー&ガンナの『ドリップ・ハーダー』、ドレイクの『スコーピオン』、フューチャー&ジュース・ワールドによる『ワールド・オン・ドラッグス』、トラヴィス・スコットの『アストロワールド』、ポスト・マローンの『ビアボングズ&ベントレーズ』と、ラップ勢が5位以下を占めた。

Text:本家一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、11月9日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『Si~君に捧げる愛の歌』アンドレア・ボチェッリ
2位『アリー/スター誕生』サウンドトラック
3位『バラーズ1』ジョージ
4位『ラブ・ミー・ナウ?』トリー・レーンズ
5位『カーターV』リル・ウェイン
6位『ドリップ・ハーダー』リル・ベイビー&ガンナ
7位『スコーピオン』ドレイク
8位『ワールド・オン・ドラッグス』フューチャー&ジュース・ワールド
9位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
10位『ビアボングズ&ベントレーズ』ポスト・マローン