バーシア来日直前インタビュー ~幸せと自信に満ちた9年ぶりの新作『バタフライズ』を語る
バーシア来日直前インタビュー ~幸せと自信に満ちた9年ぶりの新作『バタフライズ』を語る

 90年代の女性ヴォーカル・ブームを代表するバーシアが、待望のニュー・アルバムを携え2018年11月5日~8日にかけて来日公演を開催する。この来日を直前に控えたバーシア本人にインタビューを敢行。ジャズ、ラテン、ボサノヴァなどを絶妙にブレンドしたスタイリッシュなサウンドとクリアーな美声で世界中のファンを魅了し続けるバーシアに、今年5月にリリースされた9年ぶりとなる新作『バタフライズ』を軸に質問を投げかけた。

――ライブ盤があったとはいえ、『It's That Girl Again』からの9年は些か長いブランクでした。そんなに時間がかかったのは何故でしょうか?

バーシア:最後のスタジオ・アルバムをリリースした後に、3曲の新曲が入ったライブ盤『From Newport to London: Greatest Hits Live ... and More』は発売して、その2つのアルバムをプロモーションするためのツアーにたくさんの時間を費やしたわ。でもあなたの言う通り、新作『Butterflies』をリリースするまでにはずいぶんと長い時間がかかってしまったわね。ゆっくりと制作していったということもあるけれど、自分がプロデュースする作品を丁寧に作り上げているということでもあるの。私にとって、作品を作るということは私のハート全てを注入することで、とてもエモーショナルなプロセスなの。

――『It's That Girl Again』は少し余計な力が入っていた印象を受けましたが、新作『Butterflies』は自然体のバーシアを感じます。ご自身ではどうお考えですか?

バーシア:『It's That Girl Again』をレコーディングしていた時は、私生活においてとても苦しい時期だった。また歌を歌おうと思うことが難しくてね。そのアルバムをリリースする前に、マット・ビアンコと一緒に『MATT'S MOOD』という作品を作ったんだけど、そのアルバムとツアーのおかげで、私はもう一度歌おうと思えることができて、曲も書けるようになったの。だからきっと『Butterflies』は、以前よりもっと幸せで自信に満ちているように聴こえるのかもしれないわね。そして、それは人生において自分が今いる場所を反映していると思うの。

――タイトル曲はもちろん、「Liang and Zhu」の歌詞にも"Butterfly"が登場しますが、このアルバムでは、蝶は何を象徴していますか?

バーシア:このアルバムにおける“蝶”は“繰り返されるもの”のモチーフになっているわ。蝶は美しいけれど、すぐに過ぎ去ってしまう、簡単に掴めない、ロマンチックで壊れやすいものを象徴しているの。これ以外にこの新作を表す最適な言葉は見つからないと思うわ。

――「Show Time」では Mark Reillyをフィーチャーしていますね。

バーシア:Mark Rileyはこの曲の共著者で、お互いの歌声が補完しあっていると思っているの。マット・ビアンコのアルバム2作でそれを証明できているんじゃないかしら。これからもコラボレーションし続けたいと思うわ。

――日本では以前から、あなたのヴォーカル・ハーモニーやスキャットに注目が集まりました。他のシンガーがやらないような、何か特別な工夫を凝らしていますか?

バーシア:ハハ…;) 特別な工夫は無いわ!それぞれのアルバムに違った色を出すためのハーモニーやバックコーラスをレコーディングすることが大好きなの。囁きや繊細なヴォーカル、それからオペラのような歌声まで。様々な雰囲気を作り出すヴォーカルでリスナーのみなさんに驚きを与えることが好きよ。時々すごく複雑なときもあるけれど。これは他のアーティストの作品を聴く時に気にしている部分でもあるわ。

――数年前に『TIME AND TIDE』のExpanded Editionが発売なりました。ご自身としては、あの頃とは何が一番変化、成長していると思いますか?

バーシア:『TIME AND TIDE』以降、自分自身の英語の知識が確実に向上したわ。これによって、より面白く正直な歌詞が書けるようになったと思うの。それに、更に経験を積んだことで歌うこと、曲を書くことにもっと自信を持てるようになったと思っているわ。

――近年は世界の音楽シーンでは、80年代サウンドへの回帰が堅調です。その中の一人として、あなたはこの動きをどう捉えていますか?

バーシア:これまで流行りを気にしたことは一度も無かったし、それが私たちを冒険させ続けてくれている理由だと思うわ。昔の曲でも今の時代と繋がりを感じたり、今でも人の心に響くことってあるわよね。私たちは流行りのサウンドを真似ることは決してしないし、80年代に作った曲が現代のアレンジとも上手く組み合わさる理由なんじゃないかと思うわ。新しい音楽を夢中になって聴いたりもするけれど、自分の曲を作るときには実際に楽器の音を使うようにしているの。それが私たちにとって芸術的に美しいものだと思っているから。今のトレンドに関わらずね。

――日本公演の抱負をお願いします。どんなステージにしたいですか?

バーシア:また日本で公演ができることをとても楽しみにしているわ。最新作からの曲はもちろん、これまでのアルバムからの曲も披露するつもりよ。私の大切な友人たちでもあり、素晴らしいミュージシャンのバンドメンバーと一緒に歌うわ。彼らは私にとってとても重要な存在なの。

――これまでに何度も日本にいらっしゃっていますが、ライブ以外で楽しみにしていることはありますか?

バーシア:日本の全てが大好きよ。日本のファンのみなさんには感謝しているわ。それと、日本の文化に興味があるから、いつかプライベートで日本に来て、この素晴らしい国を探索したいと思っているの。この夢を2020年のオリンピックの年に実現できたらと願っているわ。

取材:金澤寿和

◎公演概要
【バーシア】

ビルボードライブ東京
2018年11月5日(月)- 6日(火)
1stステージ 開場17:30 開演19:00
2ndステージ 開場20:45 開演21:30

ビルボードライブ大阪
2018年11月8日(木)
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30

詳細:http://www.billboard-live.com/