ONE OK ROCKが初のフルオケ公演開催 さらなる進化の兆しを見た 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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ONE OK ROCKが初のフルオケ公演開催 さらなる進化の兆しを見た

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ONE OK ROCKが初のフルオケ公演開催 さらなる進化の兆しを見た

ONE OK ROCKが初のフルオケ公演開催 さらなる進化の兆しを見た


 2018年10月、ONE OK ROCKが自身初となるフルオーケストラを携えた東阪ツアーを開催した。
ライブ写真(全12枚)

 さいたまスーパーアリーナと大阪城ホールの2か所、それぞれ2公演が開催された【ONE OK ROCK with Orchestra Japan Tour 2018】は、バンドが国内で行う2018年最後のライブ。最新アルバム『Ambitions』を引っ提げたワールド・ツアーの完遂、自身初の東京ドーム公演、バンドに多大な影響を与えたELLEGARDENとの共演と、いくつものメモラブルな出来事が相次いだ2018年のタイムラインにおいて、(EUツアーを控えているものの国内では最後になる)その活動の締めくくりに相応しい、驚きと感動に満ちたツアーとなった。本稿では21日のさいたまスーパーアリーナ公演2日目の模様を中心に記述する。

 ストリングスとドラムがヴァースを奏で、サビで各セクションが一気にバーストする「Change」で幕開けた本公演。極彩色のライティングと神々しいサウンド・スケープの陶酔も束の間、すぐさま「Ending Story??」へとなだれ込み、ショーを加速させる。アルバム『人生×僕=』の本編1曲目を飾るこの曲は、アグレッシブなラウド・ロックにオーケストラルなデジタル・サウンドを融合させた、テン年代ポスト・ハードコアのトレンドを象徴するような1曲で、今回のアレンジの手法も「Change」のそれとはまた別趣向。一口にフルオーケストラ公演と言っても、バンドの音楽性は10年を超えるキャリアの中で当然のように変化してきたわけで、それぞれオーケストレーションのアプローチも様々である。とりわけエモ/ポップ・パンクを基調とした初期~中期の楽曲と、米ポップ・シーンと共振する近年のナンバーでは、ストリングスやホーンの鳴らし方も明瞭に違ってくるのだ。

 2017年から始まった『Ambitions』のツアーが今春の国内ドーム・ツアーで閉幕し、次なるアルバムのリリースも未発表。つまり今のONE OK ROCKは、2019年以降の新たな活動に向けたトライアルに打ち込むことができる状態。その結果、今回のツアーでは、なかなかライブでは披露されることのない楽曲も多数披露された。シングル『The Beginning』のカップリング曲である「欠落オートメーション」では、イントロの開始と共に悲鳴にも似た大歓声!

 「今日は最後までこの感じでやらせていただきます」とTaka。途中でカジュアルな服装に衣装変更した初日と違って、この日のメンバーは最初から最後まで、黒いスーツに黒いネクタイでビシっと決めたヴィジュアル。これは、2日目はフォーマルなマナーに則った、というよりも、ツアーを通して同じセットリストを一貫した今回、別の形で新鮮さを与えようという、彼らの粋なショーマンシップが感じられる演出だ。

 続いて「Cry out」。果てしないサウンド・スケープを描くこのアンセム・ナンバーも、この日はバンドの熱、オーケストラの熱、そしてオーディエンスの熱がせめぎ合い、螺旋状にどこまでも高まっていく様が目に見えるようで、いつにも増して一体感を強めていた印象。このオーケストラ公演でも、ONE OK ROCKは決してスマートに迎合する姿勢ではなく、ひたすら情熱的に自分たちの曲と、オーケストラと、オーディエンスと向き合っていたように思う。

 5thシングル「アンサイズニア」を余白たっぷりにアコースティック解釈した「アンサイズクリア」に始まり、「欲望に満ちた青年団」「カゲロウ」「Yes I am」と、Taka曰く「本当に久しくやってない曲」が続いた中盤は、ファン垂涎のセクションだっただろう。それはイントロが鳴った瞬間に沸き立ち、「知っている人はじゃんじゃん歌っちゃってください」というTakaの言葉に全力で応える、観客のロイヤルなリアクションが何よりも分かりやすく伝えていた。

 MCでTaka自身が話していた通り、ONE OK ROCKの古い曲には歌謡的なエッセンスが大いに散りばめられている。それらの複雑で起伏に富んだメロディとサウンドは、多彩な音色を擁するオーケストラ編成とも相性が良い。対して、音数をより洗練させ、R&Bやヒップホップといったビート・ミュージックに接近した若い楽曲は、そのアレンジにもきっと頭を捻らせたことだろう。今回のツアーに向けた準備期間は、「常にネクスト・ステージを目指し続ける」という命題のもと活動してきたONE OK ROCKにとって、自分たちの音楽のルーツと変遷を見つめ直し、じっくり音楽そのものと向き合う良い機会となったはずだ。

 シンセ・ポップ然としたサンプリング多用ナンバーからシンフォニック・ロックへと生まれ変わった「One Way Ticket」、ストリングスに触発されるように、Toruも泣きのギターを披露した「Pierce」、そして劇伴音楽を思わせるナラティブなインストゥルメンタルを挟んで、この日は初披露の新曲もパフォーマンス。ゴスペル調のコーラスが「Stand up!」「Feel!」と力強く歌いかけてくるこの新曲は、オーケストラ・アレンジとのシナジーもあって、この上ない多幸感をもたらし、終盤のクライマックスへと転じる。

 「I was King」~「The Beginning」~「Mighty Long Fall」といったラスト・スパートは、盛大なコール&レスポンス、あるいはシングアロング、さらにはサークル・モッシュまでを引き起こしたキラー・チューン3連打。バンドにとってもファンにとっても未知なフルオーケストラ公演にあって、ようやく自分たちのペースを思い出したか、それとも新曲の高揚を受けてか、フロアの観客もボルテージを最高潮に。そして本編ラスト、そんなクライマックスの感慨を、一つひとつの言葉と音を丁寧に噛み締めるようにプレイされた「Fight the night」は、文句なしに感動的な本編の幕切れだった。

 アンコールは「We are」からの「完全感覚Dreamer」。「もうそろそろ演奏するの飽きてきた曲でございます!」と紹介するほど、バンドが長きにわたって育ててきた代表曲も、この日限りの編成、この日限りのオーディエンスによって進化した。総勢53名からなるフルオーケストラとの化学反応も、目的ではなく手段であり、未来の青写真を描く作業の一つだったのだと強く実感するラストとなった。

 現在バンドの公式サイトでは、二つの謎のカウントダウンが表示されている。12月のEUツアーを経て2019年、ONE OK ROCKが起こすファースト・アクションに思いを馳せながら、そのカウントがゼロになる瞬間を待ちたい。

Photo by JulenPhoto / 橋本塁(SOUND SHOOTER)
Text by Takuto Ueda


<セットリスト>
01. Change
02. Ending Story??
03. 欠落オートメーション
04. Cry out
05. Decision
06. アンサイズクリア
07. 欲望に満ちた青年団
08. カゲロウ
09. Yes I am
10. One Way Ticket
11. Pierce
12. Instrumental
13. (新曲)
14. I was King
15. The Beginning
16. Mighty Long Fall
17. Fight the night
-En-
01. We are
02. 完全感覚Dreamer

◎公演情報
【ONE OK ROCK with Orchestra Japan Tour 2018】
2018/10/20 (土)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
2018/10/21 (日)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
2018/10/30 (火)大阪城ホール
2018/10/31 (水)大阪城ホール


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