コーネリアス、東京国際フォーラム公演レポート ライブ・バンドとビジュアル表現の融合における最先端を体感 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)
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コーネリアス、東京国際フォーラム公演レポート ライブ・バンドとビジュアル表現の融合における最先端を体感

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コーネリアス、東京国際フォーラム公演レポート ライブ・バンドとビジュアル表現の融合における最先端を体感

コーネリアス、東京国際フォーラム公演レポート ライブ・バンドとビジュアル表現の融合における最先端を体感


 2018年10月8日、東京国際フォーラム ホールAにて、コーネリアスの【Mellow Waves Tour 2018】東京公演が開催された。
ライブ写真(全6枚)

 コーネリアスのライブへ行くことは、単にそこで再現される音楽を聴きに行くだけでなく、映像効果やライティングも含めた極めてユニークなライブ/映像体験をしに行くということだ。現代のライブ・シーンでは、マーケットの広がりとともに、ビジュアル面の仕掛けや工夫の重要性が向上。そうした状況の中、既に10年以上前から映像と演奏が同期した、今で言うプロジェクション・マッピングの発想にも近いパフォーマンスを披露してきたコーネリアスはパイオニアのような存在だと言える。(しかも、会場の東京国際フォーラムは、後に映像作品化もされた2008年のコーネリアスのライブツアー【ULTIMATE SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW】の舞台であり、ファンにとっての聖地と言えるような場所でもある。)

 この日の公演でも、映像やライティングと演奏が同期する演出は徹底されていた。2017年のアルバム『Mellow Waves』(2017年)の収録曲である「あなたがいるなら」のイントロ部分をリアレンジしたオープニングの演出から、アーティストの持ち前の美意識とバンドの演奏スキルを活かしたパフォーマンスが繰り広げられる。ライブ本編では、最新作『Ripple Waves』(2018年)から『FANTASMA』(1997年)の時代に至るまで、キャリアの全時代に渡るナンバーがセットリストに選曲。その上で、ツアー・タイトルに掲げられた『Mellow Waves』の曲が要所要所に配置され、同作が携えていたサイケデリックでアンビエントな世界観が、ライブ全体を通して維持されていた。また、ライブ・パフォーマンス全体(ひいてはコーネリアス作品全体)が、“現代の日常生活/メディア体験におけるサイケデリア”というテーマで貫かれていることを実感するようなライブでもあった。

 昨年の『Mellow Waves』のリリース以降、約1年間に渡り、のべ40箇所以上でライブを披露してきたというバンド・メンバー――あらきゆうこ(ドラムス)、堀江博久(ギター/キーボード)、大野由美子(ベース/シンセサイザー)の精度の高い演奏も、ビジュアル効果と細かくシンクロしたパフォーマンスの説得力を支えていた。メンバー全員が腕利きで、他のバンドやプロジェクトにも引っ張りだこのミュージシャン達だが、それでもいわゆるスタジオ・ミュージシャン的なこなれ感が生まれず、あくまで“コーネリアス・バンド”の一員であるというフレッシュさが感じられるのは、それぞれが独立したアーティストとしての活動スタイルを持っていることに加えて、このバンドで求められるスタイルがあまりにユニークなせいもあるのだろう。その意味で、コーネリアス自体は小山田圭吾のソロ・プロジェクトだが、この日のライブはコーネリアス・バンドの晴れ舞台であった、という印象も強かった。

 音楽的にも、ポップやロック、パンク、ヘヴィ・メタル、ブラジル音楽、さらにはエレクトロニカやアンビエント風のノイズ・ミュージックまで、幅広いジャンルを横断して繰り広げられるコーネリアス・バンドの演奏。特にモノクロで波の変化を捉えた美しい映像とともに送られた「Surfing on Mind Wave pt 2」では、この日最大レベルの音響でのノイズ・アンサンブルが奏でられ、多くの観客を圧倒するとともに、陶酔的な効果をももたらしていた。

 本編大詰めでは、間奏のテルミンのソロが印象的な代表曲「STAR FRUITS SURF RIDER」と、『Mellow Waves』を象徴する「あなたがいるなら」の2曲を披露。後者は、メンバー全員の演奏のリズムが少しずつズレているという難曲で、2017年のツアー開始時から、その再現の難しさが指摘されていたが、この日のパフォーマンスは単にテクニカルである以上に、バンドのエモーションが表現されたものになっており、このツアーの達成点を観客もまた実感するような一幕となった。

 本編では、ライブ・バンドとビジュアル表現の融合における最先端とも言えるような圧巻のパフォーマンスを見せつけ、さらに最後にはロック・ミュージシャンとしての懐の深さでも観客を魅了したコーネリアスとバンド。もちろん音源やレコーディング作品の面での今後の展開にも期待は尽きないが、そのハイクオリティーなライブ体験についても、ぜひ何年も間を空けずに(今回のツアーまでは約10年の間隙があった)日本や世界のファンに届け続けて欲しい。

Photo:Ryo Tanahashi


◎公演概要
【Cornelius Mellow Waves Tour 2018】

〈東京公演〉
2018年10月8日(月)東京国際フォーラム ホールA※終了

〈今後の公演〉
岡山:2018年10月19日(金)岡山市立市民文化ホール
愛知:2018年10月21日(日)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
北海道:2018年10月24日(水)札幌市教育文化会館 大ホール
宮城:2018年10月27日(土)電力ホール
富山:2018年10月13日(土)【ヘリオス・グルーヴィーナイト vol.28】南砺市福野文化創造センター 円形劇場ヘリオス


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