【米ビルボード・アルバム・チャート】リル・ウェイン堂々の1位、ロジック/シェールがTOP3デビュー
【米ビルボード・アルバム・チャート】リル・ウェイン堂々の1位、ロジック/シェールがTOP3デビュー

 リル・ウェイン『カーターV』が初登場1位を記録した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 今年6月、長らく続いていた所属レーベル<キャッシュ・マネー・レコード>との和解が成立し、ようやくリリースに至った本作『カーターV』で、華々しい復活劇を飾ったリル・ウェイン。その記録もすさまじく、4億3,300万視聴を記録し、 ストリーミングによるみなし売り上げが325,000枚、アルバムは141,000枚を売り上げ、計480,000ユニットを獲得。2018年にリリースされたアルバムとしては、ドレイクの『スコーピオン』(732,000ユニット)、トラヴィス・スコットの『アストロワールド』(537,000ユニット)に次ぐ、3番目に大きいユニット数を記録した。ストリーミング単体では、ドレイクの『スコーピオン』が初週で記録した、7億4,590万視聴に続く、2番目に高い数字。

 リル・ウェインは、1999年にリリースしたデビュー・アルバム『ザ・ブロック・イズ・ホット』(最高3位)から15枚のアルバム(コンピレーション含む)がTOP10入りしていて、No.1獲得は“カーター・シリーズ”の前作『カーターIV』(2011年)以来8年ぶり、4作目の快挙。R&B/ヒップホップ・チャート、ラップ・チャートでも同首位獲得を果たし、オーストラリア(6位)やイギリス(5位)、ニュージーランド(3位)などの主要国でもTOP10入りしている。今週はTOP10内に5枚の新作がランクインしているが、それらを大きく引き離しての1位獲得も、評価すべき点だろう。TOP10に5作以上が初登場しての首位獲得は、2017年11月14日付チャート以来、約1年振りとなる。

 2位には、ロジックの新作『YSIV』がデビューした。初動ユニット数は167,000で、そのうちアルバムの売上枚数が122,000枚、ストリーミングによるみなし売り上げが計42,000枚だった。ラップ・アーティストにしてはストリーミングの比率が少なく、セールスが高い。売上が伸びた理由として、公式ウェブサイトで販売されたパッケージ・セールスの好調が挙げられる。ロジックは、CDやLPの販売を「本作で最後にする」と公言していた。TOP10入りは、今年3月に初登場1位を記録したミックステープ『ボビー・タランティーノII』に次ぐ5作目で、スタジオ・アルバムとしては、2014年のデビュー作『アンダー・プレッシャー』から4作連続のランクイン。

 続いて3位には、シェールの『ダンシング・クイーン』が初登場。本作は通算26作目となるスタジオ・アルバムで、2013年発表の前作『クローサー・トゥ・ザ・トゥルース』が獲得した同3位に続く、自己最高位(ソロ)を更新した。1965年のデビュー以来、47枚ものアルバム(コンピレーションやライブ盤など含む)をリリースしてきているが、意外にもアルバム・チャートでの首位獲得は果たしていない。本作は、タイトルにもなっている代表曲「ダンシング・クイーン」含むアバのカバー・アルバムで、今年の夏に公開され、自身も出演した映画『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』にインスパイアされ制作したものだという。

 初動ユニットは153,000で、そのうちアルバムの実売が150,000枚と、そのほとんどがセールスによるものだった。1991年の集計以来、シェールにとっては最大の初週売上枚数となる。これまでの記録では、2003年リリースのベスト盤『ベスト・オブ・シェール』(最高4位)が獲得した122,000枚が最高だった。また、2018年に発売されたアルバムでは、女性ポップ・アーティストによる最大の初週セールスとなる。全てのポップ・アルバムでは、ジャスティン・ティンバーレイクの『マン・オブ・ザ・ウッズ』が獲得した242,000枚に次ぐ2番目の記録。2018年度(2017年12月~)では、テイラー・スウィフトの『レピュテーション』がいずれも最高。

 4位に初登場したのは、米ルイジアナ州出身のラッパー=ケヴィン・ゲイツのミックステープ『Luca Brasi 3』。初動ユニットは78,000で、そのうちストリーミングによる売上枚数が59,000枚、アルバムの実売は18,000枚と、どちらも好調だった。本作は、昨年9月に発売した『バイ・エニー・ミーンズ 2』(最高4位)から1年振りの新作で、同チャート2位、ラップ・チャートでは首位獲得を果たしたデビュー・アルバム『Islah』(2016年)から、3作目のTOP10入りとなる。

 初登場作品により、ドレイクの『スコーピオン』は先週の4位から5位に(56,000ユニット)、エミネムの『カミカゼ』は3位から6位に(50,000ユニット)、トラヴィス・スコットの『アストロワールド』は5位から7位に(49,000ユニット)、ポスト・マローンの『ビアボングズ&ベントレーズ』は6位から8位に(42,000ユニット)、それぞれランクダウンしたが、ポイントはさほど落ち込んではいない。

 9位には、故トム・ペティの発表音源を収録したボックスセット『アメリカン・トレジャー』が初登場。トム・ペティは、2017年10月2日に鎮痛剤のオーバードーズにより亡くなっていて、本作は死後初の作品となる。初動ユニットは34,000で、そのうちアルバムの売上枚数が32,000枚。セールスが大半を占めた。全米チャートでのTOP10入りは、通算13作目。そのうち、最後のスタジオ・アルバムとなった『ヒプノティック・アイ』(2014年)のみ首位獲得を果たしている。

Text:本家一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、10月13日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『カーターV』リル・ウェイン
2位『YSIV』ロジック
3位『ダンシング・クイーン』シェール
4位『Luca Brasi 3』ケヴィン・ゲイツ
5位『スコーピオン』ドレイク
6位『カミカゼ』エミネム
7位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
8位『ビアボングス&ベントレーズ』ポスト・マローン
9位『アメリカン・トレジャー』トム・ペティ
10位『?』エックスエックスエックステンタシオン