Sweet William×Jinmenusagi『la blanka』、HIPHOPシーン注目の2人による共作は必聴の1枚(Album Review) 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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Sweet William×Jinmenusagi『la blanka』、HIPHOPシーン注目の2人による共作は必聴の1枚(Album Review)

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Sweet William×Jinmenusagi『la blanka』、HIPHOPシーン注目の2人による共作は必聴の1枚(Album Review)

Sweet William×Jinmenusagi『la blanka』、HIPHOPシーン注目の2人による共作は必聴の1枚(Album Review)


 Sweet William×Jinmenusagi、今の音楽シーンを語るにはその名を避けられない2人による『la blanka』が9月26日にリリースされた。これまでにも楽曲参加やフィーチャリングでの共演は多数あるSweet WilliamとJinmenusagiだが、初の共作アルバムとなった本作は、2人が高め合ってきた相性の良さが存分に発揮され、かつ今までにはなかった新しい作品に仕上がっている。

 プロデューサー/ビートメイカーであるSweet Williamは、クリエイター集団“Pitch Odd Mansion”の一員として活躍しており、2017年にラッパーの唾奇とWネームでリリースした『Jasmine』ではヒップホップシーンに衝撃を与えた。また、最近では青葉市子とのコラボ楽曲「からかひ」も話題となった。ラッパーのJinmenusagiは、ネット上に楽曲をアップしながら活動を開始し、2012年の1stアルバム『SELF GHOST』以降、2017年までコラボレーションアルバムを含め8枚の作品をリリース。同年にAIのアルバム『和と洋』とツアーへの参加を果たしている。作品のレビューにバイオグラフィーを羅列することは不要かもしれないけれど、敢えて書き連ねてみると2017年が2人それぞれターニング・ポイントの年であったこと、そして今年が飛躍に繋がる大事な1年であることが改めて見て取れる。そんなタイミングで2人がタッグを組むことだけでも「間違いない!」と心躍ったが、本作はそんな期待値すら優に超えてしまう1枚だった。

 アルバムの世界観を構築するSweet Williamのビートは、しなやかで心地良いメロディから唐突に有機的で重みのあるビートへと1曲の中でも変則的に流れを変え、ヒップホップの90's~現行トラップを行き来しつつ、ジャズやソウルなど多くのエッセンスを盛り込みながら唯一無二のサウンドとなっていく。何といってもその絶妙なポップ・センスにヒップホップファン以外も心掴まれてしまうのだろう。ジャジーなピアノと重ためのビートでどこかノスタルジックな要素も感じさせる「朝を待つ」は必聴だ。

 一方で、Sweet Williamのビートの波を泳ぐかのようにJinmenusagiが時にメロウに、時には伸縮自在のフローでスキルフルなラップを乗せる。1曲ずつがまるで別人のように聴こえてしまうほどJinmenusagiの表現力は変幻自在だ。先行曲として公開されYouTubeでミュージック・ビデオも上がっていた「so goo」で甘美なメロディに合わせて大人の色気を感じさせる歌声にも聴き入ってしまう。

 また同アルバムは、WONKやMERLOWを擁する“EPISTROPH”と“Pitch Odd Mansion”の共同リリースとなっており、WONKによる「energy equal」のリミックスも収録されている。原曲よりも刺激的な印象を持たせる演奏が、Jinmenusagiの言葉の説得力をさらに高めている。

 アルバムタイトルの『la blanka』=白は、何色にも染まることができるし、始まりを想起させる。音楽ネタや言葉のチョイスにしても、ヒップホップというジャンルや枠に捉われず柔軟に吸収してしまうスタイルはSweet WilliamとJinmenusagiの両者に共通する部分だろう。また、白は黒さを引き立たせたり嘘がない色でもあり、まさに2人を象徴しているようだと思う。言葉のチョイスといえば、Jinmenusagiが放つ言葉の独特な語感は彼の魅力の一つでもあるが、「cheat」の「シャバのパワーバランスが揺らぐ」という1フレーズが頭から離れなくなってしまった。生い立ちや価値観など様々なカルチャーが交差するヒップホップシーンの中で、今後このアルバムが新たな基盤になっていくんじゃないだろうか。繊細で敏感なアンテナを持つリスナーには是非彼らの音楽をキャッチしてもらいたい。

 なお、『la blanka』を携えたリリース・ライブが11月22日に東京・渋谷WWWXにて開催されることが決定している。このライブを見逃す手はないだろう。

text:神人未稀


◎リリース情報
Sweet William × Jinmenusagi
『la blanka』
EPST-010 2,300円(tax out)
レーベル:EPISTROPH
[track rist]:
1.it’s me
2.cheat
3.yale
4.so goo
5.opium feat. Jin Dogg
6.classic slice
7.energy equal
8.朝を待つ
9.energy equal(WONK Remix)

◎ライブ情報
【la blanka】
2018年11月22日(木・祝前日)
東京・渋谷WWWX
OPEN 18:30 / START 19:30
「la blanka」Relase Live 特設ページ:
http://epistroph.tokyo/la-blanka-release-live


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