<ライブレポート> 斉藤和義×立川談春 平安神宮で異例のコラボ 斉藤和義「断られると思っていた」 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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<ライブレポート> 斉藤和義×立川談春 平安神宮で異例のコラボ 斉藤和義「断られると思っていた」

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<ライブレポート> 斉藤和義×立川談春 平安神宮で異例のコラボ 斉藤和義「断られると思っていた」

<ライブレポート> 斉藤和義×立川談春 平安神宮で異例のコラボ 斉藤和義「断られると思っていた」


 2018年9月22日、京都・平安神宮で【平安神宮月夜の宴 ROOT66 京の二人会 斉藤和義×立川談春】が開催された。外拝殿である朱塗りの大極殿や左右対称に配され回廊で結ばれた楼閣が建ち並ぶ平安神宮には、約3500人が集結。中央のスペースに特設ステージが設けられ、2日後に迫る中秋の名月を彩る、秋らしい紅葉が活けられ、6つの炎がめらめらと灯されていた。開演前には、権禰宜が登場。ステージと客席にお祓いが行われ、静寂の中、緊張感が張り詰めていた。
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 そして、出囃子が流れ、盛大な拍手の中、斉藤和義と立川談春が登場した。

斉藤「晴れましたね~」

談春「これは僕らというより、お客様のおかげでね」

斉藤「あぁ・・」

(会場:笑)

談春「あのね、確かにね、ブリッジみたいな会話かもしれないけど、子供じゃないんだから、今言ったことに対して「あぁ」って。心は!(笑)」

―良くも悪くも2人の関係性が一瞬にしてわかる。

談春「お客様が緊張なさっているのがよくわかるんですよ。そうじゃなくたって何やるか分からないイベントなのに、いきなり権禰宜さん出てきてくださって、ここでお祓いですよ、お祓い。だから、今皆全く穢れがないわけですよ。」

斉藤「穢れていると思いますよ(笑)そんな急に綺麗にはならないと思います。」

(会場:笑)

談春「"ROCK"っていうのは子供なのか!」

―と早々2人のペースに巻き込まれていく。さらには、談春が現在撮影しているドラマの秘話も飛び出し、話は、2人の出会いの経緯へ。

 そもそも【ROOTS66】とは、1966年生まれ(丙午)の男性ミュージシャンが、2006年に当時40歳で厄年(数え年42歳)を迎えたのを機に集結したイベント。明治神宮への参拝・記者会見を経て、大阪城ホールを満員にするなど当初から話題に。そのイベントの打ち上げの席で「10年後にまた集まろう!」と宣言した通り、10年後には女性を含め参加人数を倍増して、再び【ROOTS66】を開催。斉藤和義は 2006年の開催当初から本イベントに参加。他には宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))、中川敬(SOUL FLOWER UNION)、奥野真哉(SOUL FLOWER UNION)、田島貴男(ORIGINAL LOVE)、スガシカオ、トータス松本(ウルフルズ)、吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)、増子直純(怒髪天)など、日本の音楽シーンでひと際強い個性を放つ面々が顔を並べている。

―いざ何をしようかというところで、

斉藤「打合せをさせてもらったときに、思いつきでふっと、落語と音楽と一緒にやれないもんですかね。ほら、落語の伝統もありますし、様式的にそんなことしちゃいけないんじゃないか、とよくわからずに言っちゃったら談春さんは、「是非是非」なことを言われて」

談春「今だから言えるけど、(私が)断ると思ってたんですよね」

斉藤「そうなんです。流派的にも、三味線じゃないと…とか和太鼓じゃないとちょっと…と言われるのかなと思ったら、さすが談志師匠のお弟子さん」

談春「やると決まればどれだけ打ち合せを重ね、どれだけ稽古をし…、だいたい稽古したの17分くらいでしたかね」

斉藤「ですね~。昨日初めてちょっと合わせてね、行けそうですね」

談春「行けそうですね、それじゃ、飲みましょう。なんて(笑)」

 そんな2人の会話から、コラボパフォーマンスが始まっていく。立川談春による演目「替わり目(かわりめ) 」は、酔っ払った男とその女房の話。斉藤和義の「男節」の歌詞が見事にマッチングした落語界・音楽界で最初で最後の驚異的なコラボレーションが目の前で繰り広げられた。時に、立川談春をいじる歌詞にも笑いが沸き、落語に馴染みのある人でも、非常に新鮮な時間となっただろう。

 続いては、斉藤和義のソロステージ。エキセントリックなイントロが印象的な「やさしくなりたい」を披露。ブルーの照明がステージ・境内にまで広がり、なお一層この曲の世界観が浮き彫りになっていくようだ。MCでは、客席にライトが当たり、改めて人の多さに驚きを見せた。「落語は詳しくないんですが…」、斉藤は20歳の時、演目「宿替え」で落語と出会ったと言う。 これは長屋の慌てものが引越しをする際のドタバタを描いた作品で、これを観た斉藤は「家が見えた」と感銘を受けた当時の思いを語った。そして、12~13年前に談春の落語を拝見したそう。「楽しいんですよ、俺」とそっと話すと、ほぐれつつあった会場の緊張が一気にほどけ、すかさず「ずっと好きだった」や「月影」を投入。チューニング中、落語を初めてみた人を尋ねる、「談春さんを初めて見る落語家さんになるわけですよね。ラッキーですよ。同い年ですけど、20年とかしたら、ここ(平安神宮)で祭られるような…(笑)」と笑いを誘いながらも、談春へのリスペクトの気持ちが伝わってきた。後半からは「ベリーベリーストロング」では力強く、「歌うたいのバラッド」は色んな虫達の鳴き声の音色も混ざり合い、哀愁あるステージで締めくくった。

 最後は、立川談春の落語のステージ。演目は「紺屋高尾」。観客の背筋が伸び切った状態を察した談春は、途中、自身もやってみたかったというコール&レスポンス。「京都ー!」、「平安神宮ー!」というコールに会場も「イエーイ!」と応える。普段の寄席では絶対に見れない光景だ(笑)。そんなやり取りがあったかと思えば、するりと話の筋が戻っていく。「落語なんて緊張して聴くもんじゃないんだよ」そんな風に言われたが彼の仕草、リズム、ベテランを超越した表現力、己で創作された音の数々…ぐいぐいと引き込まれていったのが実感できた。本作は、花魁の最高位である高尾太夫と、一介の紺屋の職人・久蔵との純愛をテーマに据えた名品。久蔵の真っ直ぐな想いが、愛と笑いと涙で綴られていった。気づけばあっという間50分、圧巻の伝統芸能を魅せ付けてくれた。

 この大胆で画期的な企画は同い年というだけでできただろうか。ジャンルを超えた彼らを突き動かした何かが、そこにはあった。観客もそのなにかを心に焼き付け、会場を後にしたのではないか、少なくとも筆者にはそう感じられた一夜だった。

 尚、この模様の一部は後日FM COCOLOでオンエア予定となっている。

撮影:渡邉一生

<セットリスト>
01.コラボレーション(立川談春 演目「替わり目」+斉藤「男節」) / 斉藤和義×立川談春
02.やさしくなりたい / 斉藤和義
03.Are you readay? / 斉藤和義
04.ずっと好きだった / 斉藤和義
05.進めなまけもの / 斉藤和義
06.月影 / 斉藤和義
07.ベリーベリーストロング / 斉藤和義
08.歌うたいのバラッド / 斉藤和義
09.紺屋高尾 / 立川談春

◎公演情報
【平安神宮月夜の宴 ROOT66 京の二人会 斉藤和義×立川談春】
京都・平安神宮特設ステージ
2018年9月22日(土) 
出演:斉藤和義 / 立川談春
主催:FM COCOLO
後援:FM802
協力:ぴあ
いけばな:笹岡隆甫(華道「未生流笹岡」家元)


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