【深ヨミ】安室奈美恵 映像作品の売上動向を検証
【深ヨミ】安室奈美恵 映像作品の売上動向を検証

 安室奈美恵『namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~』が合計約110万枚を売上げSoundScanJapanタイトル別映像チャートの1位から5位を独占した。(第35週:集計期間2018年8月27日~2018年9月2日)
グラフ画像

 『namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~』は2018年9月16日に引退を控えた彼女の最後の映像作品であり、8月29日に発売された。予約段階でミリオン超えと話題になっていたが、百万枚を軽く上回り人気の高さを裏付けた。同チャートを詳しく見てみると、上位200件中17件を彼女の作品が占めていることがわかった。これは新譜の発売時に過去作が売れる現象なのか、SoundScanJapanのデータを使って調べてみた。

 グラフ1(http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/67493/2)に2018年初頭から現在までの過去作の売上推移を示す。まず第1週目の売上が高く、その後は目立って売上が増加する週が3回ほどあった後、第34週からまた大きく上昇し始めている。どの作品もほぼ同じように推移しているのは興味深い。

 目立って売上が増加しているのは第8週、第18週、第23週。これらはいずれもファイナルツアーとして大規模な会場でライブを行なった週にあたる。第8週は福岡ヤフオク!ドーム、第18週、第23週は東京ドームだ。このタイミングで過去の映像作品を買っているのはライブに行った人たちだと考えられる。ライブに行けなかった人が買うのなら、この時期に合わせる必要性はあまりない。ライブを観た人が過去のライブ映像を購入しているという仮説が正しければ、ライブの満足度が高かったことが推測され、だからこそ引退を惜しむ気持もひとしおだろう。また、露出をきっかけに売上が増加しているとすれば、第34週、35週については新譜が出たからというだけではなく、テレビ出演の影響もありそうだ。

 ここで、映像以外の作品についても調べてみた。安室奈美恵名義のアルバム、シングル、映像それぞれの合計を算出して比較したところ、グラフ2(http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/67493/3)に示す通り、概ね同じような推移を示した。第8週、18週、23週に増加がみられるが、アルバム、シングルは映像よりも多少複雑な動きをしていることからライブの影響が映像よりも低いと考えられる。

 多くの人に惜しまれながら引退する彼女はまだいくつかテレビやイベントへの出演といった露出が続く。これらが売上にどのように影響するのか注目したい。