『ブルーム』トロイ・シヴァン(Album Review) 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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『ブルーム』トロイ・シヴァン(Album Review)

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『ブルーム』トロイ・シヴァン(Album Review)

『ブルーム』トロイ・シヴァン(Album Review)


 2015年にリリースしたデビュー・アルバム『ブルー・ネイバーフッド』 から、約3年を経てリリースされたトロイ・シヴァンの2ndアルバム『ブルーム』。本作からは、今年1月に発表した先行シングル「マイ・マイ・マイ!」が、米ビルボード・ダンス・クラブ・チャートでNo.1を獲得するスマッシュ・ヒットを記録。同曲は、セレーナ・ゴメスなどの人気シンガーに楽曲提供する、ヒットメイカーのリーランドと、マルーン5やDNCEなどを手掛けるオスカー・ゲレスが制作に参加した、フロアライクなエレクトロ・ポップ。日本のラジオ局でもヘヴィプレイされ、多くのファンを獲得した。

 その翌週には、 3曲目に収録された「ザ・グッド・サイド」を連続リリース。同曲は、英ロンドンの音楽プロデューサー=ジャム・シティによる制作・プロデュース曲で、「マイ・マイ・マイ!」とは対照的な、60~70年代風のフォーク・ソングに仕上がっている。サウンドのみならず、温かみのあるボーカルでも前曲の明確な違いを表現していて、反骨精神を歌った深みのある歌詞も胸に染みる。静と動、どちらの曲も自分色に染め上げられることが、トロイ・シヴァン最大の魅力であると改めて実感させられた。

 本作『ブルーム』は、まさに静と動が交互に展開するアルバム。何かの始まりを予感させる美しいオープニング・ナンバー「セヴンティーン」から「マイ・マイ・マイ!」へ、「ザ・グッド・サイド」から再びダンス・フロアに飛び出したくなるタイトル曲「ブルーム」に入れ替わり、聴き手を刺激させ、癒し、また刺激を受けさせてくれる。

 「セヴンティーン」には、前述のリーランドと、カナダの女性シンガーソングライター=アリー・エックスがソングライターとして参加。両者は、前作からのヒット「ユース」なども手掛けていて、 本作でもリーランドは7曲、アリーが計5曲の制作に携わっている。「ブルーム」には、スウェーデンのポップ・バンド=カーディガンズのピーター・スヴェンソンと、ピンク!やケイティ・ペリーの最新作に楽曲提供したオスカー・ホルターがクレジットされている。

 本作中、最も繊細で美しいピアノの弾き語りバラード「 ポストカード」には、オーストラリアのシンガーソングライター=ゴーディが、R&B色を強めたエレクトロ・ポップ「ダンス・トゥ・ディス」には、新作『スウィートナー』をリリースしたばかりのアリアナ・グランデが、デュエット・パートナーとして選ばれた。前者は、2人の見事に重なり合ったハーモニーが、後者はそれぞれ披露したラップ・パートが、曲の持ち味を出している。「ダンス・トゥ・ディス」には、スウェーデンの女性シンガー・ソングライター、ヌーニー・バオもソングライターとして参加している。

 「プラム」~「ホワット・ア・ヘヴンリー・ウェイ・トゥ・ダイ」は、少しクールダウンしたミッドテンポのアダルト・コンテンポラリー。どちらの曲もボーカルを強調し過ぎず、年齢を重ねたから醸し出せる色気を放っている。英ロンドン出身の女性ソングライター=アレックス・ホープが手掛けた「マイ・マイ・マイ!」路線のダンス・ポップ「ラッキー・ストライク」に移り、ラストは何かの終わりを告げるような物悲しい「アニマル」で幕を閉じる。良い意味で「解りやすい展開」も、本作のウリ。全10曲、トータル37分弱とやや短い印象を受けるが、妥協のない選曲と静と動のバランスが、充実感を感じさせてくれる。むしろ、このくらいコンパクトな方が聴きやすい。

 トロイ・シヴァンは南アフリカ出身・オーストラリア育ちの23歳。2015年9月に発表したEP盤『ワイルド』が全米5位に初登場、UKやアイルランドなど主要国でもTOP10入り、オーストラリアでは初のNo.1をマークした。その勢いを受け、前作『ブルー・ネイバーフッド』は、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard200”で最高7位をマークした他、母国オーストラリア(6位)やニュージーランド(3位)でもTOP10入りを果たした。また、ゲイであることをカミングアウトしたことも称賛され、国・人種を超えて多くのファンを獲得している。

 なお、2017年にリリースした、オランダのDJ/音楽プロデューサーのマーティン・ギャリックスとのコラボ曲「ゼア・フォー・ユー」は、本作に収録されていない。


Text: 本家 一成


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