RAMMELLS、ミニアルバム再現ライブにて“お洒落”を“熱さ”でぶち壊す
RAMMELLS、ミニアルバム再現ライブにて“お洒落”を“熱さ”でぶち壊す

 4人組オルタナティヴ・ロックバンドのRAMMELLSが、2018年8月11日に渋谷eggmanで開催したミニアルバム『take the sensor』の再現ライブのオフィシャル・レポートが到着した。
ライブ写真(全7枚)

 この日のライブは今年7月にリリースした同アルバムの購入者を対象にしたもので、会場に訪れた観客は勿論アルバムをじっくり聞き込んだファンばかり。客同士の会話を耳にしたが、スタジオで緻密に作られたあの作品がライブではどう表現されるのか、誰もがそこに興味津々でいるようだ。

 開演時間の13:00ジャストに客電が消えSEが流れる中、メンバーがステージに登場。真田徹(G)が爪弾くアドリブっぽいフレーズが、そのまま1曲目「Sensor」のイントロに繋がって行く。アルバムでは逆再生音からの導入だった部分をきっちりとライブ・ヴァージョンにアレンジしている辺りは流石だ。アルバムのリード曲であり全体のテーマも示唆しているこのナンバーは、RAMMELLSの持ち味であるブラックミュージックを基調に置きつつ、シューゲイザーを髣髴させるギターサウンドが織り交ざったキラーチューン。黒田秋子(Vo、Key)が伸びやかに奏でるサビの歌メロのみならず、ギターフレーズ、ベースライン、ドラムのビートまで、全てが印象に残る曲だ。ライブで披露された回数はまだ多くないはずだが、レコード音源とはまた違う“厚み”のあるサウンドと歌でのっけから聴衆を引き込んでいく。

 「Sensor」のアウトロギターの余韻が残る中でクラップ音が鳴り始めると、黒田が『どうもありがとう!RAMMELLSです。CDと参加券をゲットしてここに来てくれた、ハッピーでラッキーなみんなにこの曲を贈ります』と短いMCを挟む。その途中でサウンドが変わったことに気づきステージに目をやると、彦坂玄(Dr)はPADを使いリズムを刻み、村山努(B)は何とベースを肩から下ろしてシンセ・ベースを演奏し始める。アルバムの中でもその軽快なアレンジで耳を引いた「FINE」がスタート。ある種のディスコサウウンド的な要素のあったこの曲だが、このライブ・ヴァージョンの音色になることによって所謂“80'S”色が加味され、ダンスチューンとしてのパワーが増したように感じられた。続く「YOU」でも村山はシンセ・ベースを使っており、真田の放つシューゲイザーっぽいギターとの絡みは何とも言えない良いマッチングを醸し出している。どうやら今回の“再現ライブ”は単にCDの音をなぞるのではなく、ライブならではの”うまみ”を加味するという意向のようだ。

 『この曲は2年前からライブでもやってるんで知ってる人も多いんじゃないかな。色んな人のそれぞれの価値観、言葉、理想があるのは当たり前だけれども、そんな中で誰かが窮屈な思いをする世の中は絶対に違うと思う。誰がどこにいたって伸び伸び生きて行けますようにと思って作った歌です』と言う黒田のMCに続いて演奏されたのは「blah blah」。ずっと音源化したかったと語っていた愛着のあるナンバーらしく、演奏する側のその伸び伸びとしたプレイが聴く側にもしっかりと伝わる好演奏だったと思う。

 6曲収録のミニアルバムで構成されているこの日の企画ということで、ステージはあっという間に終盤を迎える。5曲目に演奏された「Night out」はアルバムのもうひとつのリード曲とも言えるナンバーで、とにかくサビのメロディーが秀逸。これまでRAMMELLSが発表してきた中でも、No.1の破壊力ではないかと個人的には思っている曲だ。ライブでも幾度か聴いていたが、この日の演奏は間違いなくベストな出来で、同じフレーズでも頭サビと後半でしっかりと表情を変えて歌い上げる黒田のボーカル力の進歩には舌を巻いた。当然リスナーにもそれは伝わったようで、曲終わりでの歓声と拍手は一段とボルテージの高いものであった。

 本編最後は「愛のパラリア」。何度も繰り返される謎の“愛のパラリア”というフレーズ。“パラリア”とはいったい何なのか?そんなことを考えている間にも身体は自然に揺れ出している恐るべき中毒性を持つこの曲。この日のライブでは黒田がキーボード演奏をせずにハンドマイクでステージ前方で歌ったり、後半にコーラスフレーズを組み込み、観客と一緒に歌うという新しい試みも導入されており、これから先のライブでも盛り上がり必至の定番曲になりそうな予兆を感じさせてくれた。

 鳴り止まない拍手の中、アンコールでステージに上がったメンバーから12月に行われるワンマン・ライブの開催が発表されると、観客からはひときわ大きい歓声が。そして何度も何度も黒田の口から出る『ありがとう』という感謝の言葉の後に、バンドを結成して一番最初に作ったという“大切な曲”「Blue」を演奏してステージは幕を閉じた。

 ロック、ソウル、JAZZ、ファンク、R&B…様々なジャンルの要素を融合させて創り出されているRAMMELLSサウンドはデビュー前から耳の早いリスナーから評判を得ていたが、これまでやもするとライブよりもレコーディング音源が評価されているバンドという印象があったのは確かだろう。但し、この日のライブはそれを覆す演奏力とステージ運びのレベルアップを見せてくれるものであった。何よりも強く確信したのは彼らの本質は“お洒落”なものなんかでは無く、むしろそれらをぶち壊す“熱さ”だという事だ。この後も引き続きRAMMELLSの動向に注目して行きたい。

TEXT:甲斐幹人
PHOTO:ToshiSENDA

◎リリース情報
ミニアルバム『take the sensor』
201/07/11 RELEASE
<CD>CRCP-40556 / 1,667円(tax out.)

◎ライブ情報
【RAMMELLS 2nd oneman live「on your mark」】
2018年12月13日(木)大阪・LIVE SPACE CONPASS
2018年12月21日(金)東京・TSUTAYA O-nest
※チケット情報は後日発表