『ステイ・デンジャラス』YG(Album Review) 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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『ステイ・デンジャラス』YG(Album Review)

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『ステイ・デンジャラス』YG(Album Review)

『ステイ・デンジャラス』YG(Album Review)


 今年2月にNBAオールスター・イベントで「いよいよニュー・アルバムがリリースされる。タイトルは“ステイ・デンジャラス”だ!」と宣言していた、米カリフォルニア州コンプトン出身のラッパー、YG。本作『ステイ・デンジャラス』は、2016年リリースの2ndアルバム『Still Brazy』(全米6位/R&B、ラップ・チャート3位)以来約2年振り、3作目のスタジオ・アルバムとなる。同イベントで披露した先行シングル「Suu Whoop」はヒットこそしなかったものの、ストリート・ギャングたちが屯するゴリッゴリのPVは2,000万視聴を記録し、ファンから高い評価を獲得した。

 一方、5月末にリリースされた本作からの2ndシングル「Big Bank」は、最新の米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で28位まで上昇するヒットを記録。R&B/ヒップホップ・チャートでは13位まで上り詰め、アルバムのリリースを受けてTOP10入りも期待できそうなチャート・アクションをみせている。TOP30内にランクインしたのは、最高6位をマークしたジェレマイとのコラボ曲「ドント・テル・エーエム」(2014年)以来、およそ4年振り。

 同曲には、2チェインズ、ビッグ・ショーン、そして新作のリリースを控えているニッキー・ミナージュの3者が参加している。マリンバのバックビートを従えた、トロピカル感満載のフロア・トラックで、豪華ゲスト陣と夏っぽいサウンド、そしてビデオゲームの『Madden NFL 19』に起用されたことが、ヒットの要因かと思われる。6月に公開されたミュージック・ビデオも、4人それぞれの個性溢れるメイン・シーンが登場する、構成・色合い共にパーフェクトな出来栄え。プロデュースは、LAの売れっ子プロデューサー=DJマスタード。

 そのDJマスタードを中心に、マイク・ウィル・メイド・イットやプロダクションチーム・808マフィアのプロデューサー=TM88、レイ・シュリマーやミーク・ミルなどを手掛けるMP808など、人気プロデューサーたちが参加している。ゲストも、エイサップ・ロッキーやタイ・ダラー・サイン、ミーゴズのクエヴォ、先月新作をリリースしたヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲインなど、現ヒップホップ・シーンを担う面々がクレジットされている。昨年、G・イージーとレックス・オーラ、そしてYGをフィーチャーした「Hold On Me」で注目を集めた、同カリフォルニア出身のギャングスタ・ラッパー=モジーも参加している。

 オープニングらしいド派手な「10 Times」で幕を開け、前作にも参加したL.A出身のラッパー、ジェイ・305とのコラボ曲「Bulletproof」からエイサップ・ロッキー作「Handgun」へと繋ぐ。冒頭3曲は曲間を挟まず、テンポも統一されているため、まるでフロアにいるような感覚をおぼえる。その他にも、見事な高速ラップを披露した「Cant Get in Kanada」や、ヤングボーイ独特のハイトーンがアクセントになっている「666」、 イングランドのロック・バンド=ライト・セッド・フレッドの代表曲「I'm Too Sexy」(1991年)をサンプリングした「Too Cocky」など、男子受け必須の “アガる”タイトルが満載。

 タイ・ダラー・サインがボーカルを担当した「Power」や、クエヴォとコラボしたレトロなメロウ・チューン「Slay」、ニュージーランドのシンガー・ソングライター、マーロン・ウィリアムズのギターを起用したインタールード「Free the Homies」~ラストの「Bomptown Finest」など、ミディアムも程よく配置されていて、聴きやすい。全15曲収録されているが、1曲が2~3分という短さで、トータルタイムは50分程度で収まっている。ムダがないというか、計算されたアルバムだ。

 同週には強豪が新作をリリースしていないこともあり、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard200”では、デビュー・アルバム『My Krazy Life』(2014年)で獲得した2位を上回る、初のNo.1獲得も期待できるかもしれない。

Text:本家一成


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