スイスに響いたタモリ【世界音楽放浪記 vol.01】

Billboard JAPAN

 NHKワールドJAPAN『J-MELO』でチーフプロデューサーを務めるなど、世界中の音楽に触れてきた原田悦志(NHK)が綴る音楽体験記、連載スタート。

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皆さんは「音楽とのファーストコンタクト」を覚えているだろうか?
 ここ十数年、世界中で日本関連カルチャーイベントの会場を訪れると、日本音楽へのファーストコンタクトは、「ドラゴンボール」「セーラームーン」「NARUTO」などのアニソンだという答えが、どの国や地域に行っても多かった。
 音楽との出会い方は千差万別。約40年前、こんな経験をした子供たちもいた。
 1977年、9歳だった私は、前年に引き続き、スイスのジュネーブにある大学の、小学生向けサマープログラムに参加していた。私のクラスで東アジアから来たのは、隣に座っていた中国人だけ。他には、レバノン、ルーマニアなど、非英語圏の子供たちばかりだった。 
 ある週末、他のクラスの日本人留学生も一緒に、泊りがけで遠足に行くことになった。バスの中でイタリア人の先生が、私たちに聞いた。

「日本の歌を聴かせてほしい。何かカセットテープはないか?」

 その時、I先輩が一本のテープを持っていた。それは「タモリ」だった。ご存知の方もいるかもしれないが、全編、タモリさんのパロディで構成された名盤である。バスにハナモゲラ語が響き、全員がソバヤを合唱。世界中から集まった子供たちが初体験する日本の音楽が、タモリさんとなった瞬間だった。
 海外に行くときは、自分のお気に入りの曲を、世界中の人々に直に聴かせてはいかがだろうか?それが、彼らにとっての「初めての日本音楽」になって、そこから何かが生まれるかもしれないのだから。Text:原田悦志


原田悦志:NHK放送総局ラジオセンター チーフ・ディレクター、明大・武蔵大講師、慶大アートセンター訪問研究員。2018年5月まで日本の音楽を世界に伝える『J-MELO』(NHKワールドJAPAN)のプロデューサーを務めるなど、多数の音楽番組の制作に携わるかたわら、国内外で行われているイベントやフェスを通じ、多種多様な音楽に触れる機会多数。

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