元宝塚・雪組トップ娘役、咲妃みゆ、フルオケを従え初のコンサート開催
元宝塚・雪組トップ娘役、咲妃みゆ、フルオケを従え初のコンサート開催

 元宝塚歌劇団・雪組トップ娘役の咲妃(さきひ)みゆが、5月13日に舞浜アンフィシアターで初にして壮大なコンサートを開催した。

 本公演は咲妃が2017年7月に宝塚歌劇団を退団して以来、初のコンサートとなるステージ。歌手としての本格的な第一歩を祝う1,800名の観衆を前に、堂々たるパフォーマンスを披露し、満場の喝采を浴びた。

 コンサートは2部構成となっており、伴奏はオーケストラが奏でた。1部はこの日のために作られた新曲「First Bloom」からスタート。舞台中央のジョーゼットのカーテンに、咲妃のシルエットが映し出された。2曲目のディズニー映画『塔の上のラプンツェル』の「自由への扉」のイントロでカーテンが上がり、いよいよ本人が登場するという演出だ。鮮やかなグリーンのドレスに身を包んだ咲妃は、まさに優雅なプリンセスそのもので、観衆の目は釘付けになった。

 その後も、舞浜という場所柄、そして咲妃みゆ本人が幼少時から大好きだったこともあり、ディズニー映画の曲が、エピソードを交えながら数曲演奏された。美しく澄んだ歌声と、その曲の主人公になりきる咲妃の迫真のパフォーマンスと、トークパートでのふわりとした素のキャラクターを感じさせるギャップに、客席は優しい雰囲気に包まれた。

 今回の音楽監督にして、全編曲を手がけたのは、ピアニストの大嵜(おおさき)慶子。咲妃の長所をしっかりと理解し、その魅力を生かしてオーケストラを操る大嵜の巧みなリーダーシップにより、深みのあるサウンドで彩られたステージが作られた。新曲の「First Bloom」およびそのボーカル入りバージョン「Sing for you」は、大嵜作曲となっている。

 2部は、『世界から愛をこめて』とタイトルされたコーナー。咲妃がこれまで出会ったさまざまな世界中の曲の中から特別に思い入れのある曲、そしてオーケストラと一緒に演奏することでその魅力がより引き立つ曲が選曲された。英語の発音も得意ということで、英語での歌唱はアンコールまで入れて4曲。宝塚時代の思い出の曲、「Over the rainbow(オズの魔法使いより)」、2部のラストを飾った「You raise me up(ケルティック・ウーマン)」、アンコールで演奏された「Heal the world(マイケル・ジャクソン)」など。日本の曲からは「花は咲く」「手紙~拝啓 十五の君へ~」などが、本人の思い出とともに披露された。

 中でも白眉となったのは、オリジナル新曲の演奏だ。音楽プロデューサーの武部聡志が、咲妃のためにオリジナル曲をプレゼントし、そこに咲妃みゆ本人が人生初となる作詞に挑戦したものだ。悩みぬいたというタイトルも「明日(あす)を信じて」に決定し、いよいよ初披露。素晴しい楽曲と、咲妃らしく丁寧に言葉を紡いだ歌詞に、波のような感動を呼んでいた。

 2部の衣装は、1部とは対照的に、黒を基調としたスマートなドレス、そしてアンコールでは、本人がデザイン監修を手がけたTシャツで登場。それぞれに違った魅力を見せた。

 シンガーとしての実力と、トークで見せたキャラクターのふんわりとしてキュートな存在感。宝塚歌劇団という空間から“自由への扉”を開けて外の世界に飛び出した咲妃みゆの記念すべきファースト・コンサートは、大成功のうちに幕を閉じ、今後の活躍に向けて大いに期待の高まる内容のステージとなった。

 6月には朗読劇【ラヴ・レターズ】への出演(風間俊介氏との二人劇)、また、8月からは、退団後の初舞台として、東宝ミュージカル【GHOST】にモリー役での出演が決定している。

◎セットリスト
咲妃みゆオーケストラコンサート【First Bloom】

<第1部:空と海のファンタジー>
1.First Bloom(新曲:作曲/大嵜慶子)
2.自由への扉
3.Part of your world
4.どこまでも
5.Colors of the wind
6.Let it go
7.First Bloom~Sing for you(新曲:作詞・作曲/大嵜慶子)

<第2部:世界から愛をこめて>
8.A Lover's Concerto
9.Over the rainbow
10.花は咲く
11.明日(あす)を信じて(新曲:作詞/咲妃みゆ、作曲/武部聡志)
12.Top of the world
13.手紙~拝啓 十五の君へ~
14.You raise me up

<ENCORE>
15.Heal the world
16.Smile