『スウェイ』トーヴ・スティルケ(Album Review)

2018/05/09 18:10

『スウェイ』トーヴ・スティルケ(Album Review)
『スウェイ』トーヴ・スティルケ(Album Review)


 1992年11月19日生まれの25歳。スウェーデンの北部の都市ウメオで生まれ育ち、ミュージシャンだった父の影響を受け、シンガー・ソングライターを志した、トーヴ・スティルケ。
 2009年にオーディション番組『アメリカン・アイドル』のスウェーデン版『スウェディッシュ・アイドル』で3位を勝ち取り、翌2010年6月にリリースしたデビュー・シングル「Million Pieces」がスウェーデン・チャート最高18位、2ndシングル「White Light Moment」は最高5位をマークし、ゴールド認定の大ヒットとなった。両曲が収録されたデビュー・アルバム『Tove Styrke』も同チャート10位をマーク、こちらもプラチナ認定のヒットを記録し、ニューヨーク・ポスト紙の“2011年に知るべき10組みのアーティスト”に選ばれた。
 本作からは「Call My Name」(最高28位)もヒットし、2012年開催のスウェーデン版グラミー【Grammis】では<最優秀楽曲賞>にノミネートされるなど、デビューから“過ぎる”くらい順調にキャリアを築いたが、2ndアルバム『Kiddo』(2015年)は14位を記録したものの、セールス的には成功には至らず失速。ブリトニー・スピアーズの「Baby One More Time」をカバーしたことも話題にはなったが、ヒットからは遠ざかった。
 本作『Sway』は、その前作『Kiddo』から3年振りの新作で、久々のチャートインを果たした「Mistakes」など計6曲のシングルが収録された、8曲入りのミニ・アルバム。リアーナの「ステイfeat.ミッキー・エッコ」(2012年)やアイコナ・ポップの「オール・ナイト」(2013年)などを手掛けたElof Loelv、ブリトニー・スピアーズの「メイク・ミーfeat.G・イージー」他、エリー・ゴールディングやトーヴ・ローなどをプロデュースしたJoe Janiakが制作した、曲に遊び心を感じさせる北欧らしいポップ・チューンが並ぶ。
 囁き声のような妖艶さと、触れると溶けそうなミルキーボイスまで、声質を自在に操る魅惑的なタイトル・トラック、繰り返される中毒性の高いフレーズと、高らかに叫ぶフックを使い分けた「Say My Name」、歪んだオートチューンを用いつつ、広範なヴォーカル・スタイルを披露した「On The Low」など、歌い手としての実力の高さもアプローチしたトーヴ。機械的な音に同化してしまい、ボーカルも表情がないように思われがちだが、曲に浸れば優しさ、不安、欲望……など、様々な感情が入り乱れることが分かる。
 チャーリーXCXのスタイルをそのまま引き継いだ「Mistakes」や、フロア向けの「On a Level」といったスタンダードなエレクトロ・ポップより、レゲエのリズムを取り入れた、セピア色の雰囲気漂わす「Changed My Mind」や、リラックスしたい時に聴きたいチルアウト系のミディアム「I Lied」の方が、彼女の潜在的な可能性を掘り起こしている感じがして良かった。メランコリックな「liability」も曲自体は悪くないけど、どうにか詰め込んだ感じが何だか切ない。

Text: 本家 一成
◎リリース情報
『スウェイ』
トーヴ・スティルケ
2018/5/4 RELEASE

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