佐藤竹善20thイベントに鈴木雅之、中山美穂ら集結 18年ぶり「世界中の誰よりもきっと」も披露
佐藤竹善20thイベントに鈴木雅之、中山美穂ら集結 18年ぶり「世界中の誰よりもきっと」も披露

 佐藤竹善が1997年から開催しているライブイベント【Cross your fingers】第20回目が、大阪のフェスティバルホールにて開催された。
佐藤竹善20thイベント写真(全12枚)

 ライブは、盟友であるピアニストの塩谷哲とのSALT & SUGAR による「風」で幕を開ける。この曲は、昨年亡くなったはしだのりひこのカバーで、彼に捧げられた。最初のMCで佐藤は、元々FM802で担当していた番組『MIDNIGHT FINGERS』のイベントとして自身の誕生日5月5日に開催していた事や、世代やジャンルを超えた面子が参加する事など丁寧にイベントについて説明。ここ10年は佐藤と塩谷とパーカッショニストの大儀見元を中心に演奏している事についても触れ、その3人でビートルズの「Blackbird」を披露した。

 3曲目で「急遽、素晴らしいゲストを!」と紹介されて登場したのはカナダはトロントの世界的アカペラグループ「COUNTERMEASURE」。素敵なスーツと素敵なドレスに身を包んだ男性6人女性7人からなる彼らは、佐藤がボーカルを務めるバンド、Sing Like Talkingの代表曲「Spirit Of Love」を含む3曲を、美しい声で聴かせてくれた。

 続いても海外から、オーストラリア出身のサラ・オレインが登場。シドニー大学を首席で卒業したという彼女はヴァイオリンを弾きながら、Sing Like Talkingとフィーチャリングした「闇に咲く花 ~The Catastrophe~」を披露。この楽曲はバッハをモチーフにしており、読売テレビ系のドラマ『ブラックリベンジ』の主題歌として書き下ろされたものだ。また、ディズニー映画『ポカホンタス』からの楽曲「Color of the Wind」も披露した。

 そして、このイベントが始動した頃には、まだ生まれていなかったという若きピアニストの岩城直也も登場。東京音楽大学を首席で卒業という経歴を持つ彼は、少年時代から塩谷に憧れているというエピソードも明かされた。佐藤は今年4月に28歳という若さで亡くなったスウェーデン出身のDJアヴィーチーについて話し、彼が携わった楽曲「Hey Brother」を岩城と披露。その後、岩城自身のピアノソロも披露された。

 初登場のビッグゲストとして、「知らない人はいませんもんね!」と佐藤に紹介されたのは中山美穂。フェスティバルホールのステージに上がるのは19年ぶりであり、ステージで歌声を披露するのは18年ぶりだという。佐藤は、実は20数年前に塩谷を通して電話で話した事があるというエピソードを笑いながら話す。そして、中山の代表曲「世界中の誰よりきっと」を披露。そのまま、中山は「You’re my only shining star」と「ただ泣きたくなるの」を歌ったが、緊張しすぎて曲順を間違えるハプニングも。それでも誠実に歌い上げる中山に「お帰りなさい!」など大きな歓声が寄せられた。

 カナダ、オーストラリアと今年はグローバルな面子が多い中、続いて、アメリカ出身のDr.Capitalも登場。南カルフォルニア大学で教壇に立つ彼は、その大学に留学してきたアンジェラ・アキと共作した「赤いライフジャケット」を披露。コテコテの関西弁を話す彼のMCに、場内は笑い声に包まれた。 

 オルケスタ・デ・ラ・ルスに共に在籍していた塩谷と大儀見のセッションの後は、「ここからはカフェインが強くなりますよ!」という佐藤の愉快な紹介によりスターダスト☆レビューの根本要が登場。アコギ1本でムーディーに歌い出すと思いきや、根本は「喋らずに歌い出すの無理だった!」と御愛嬌たっぷりな姿を見せた。仕切り直して、歌われたのは名曲「夢伝説」、圧倒的な声量に観客は聴き惚れ、自然に手拍子が起きる。自身が最初に聴いた時に衝撃を受けたというスティーヴィー・ワンダーの「You Are The Sunshine Of My Life」を披露。また、佐藤と「You’ve Got A Friend」も披露した。

 これまた「カフェインが3倍増しになりますよ!」という佐藤の愉快な紹介により、彼の憧れの存在でもあるラブソングの王様こと鈴木雅之が登場。ジャケットからラメ入りのベストをちらりと見せただけでも、場内は大きな歓声に包まれる。デビュー前から佐藤を知っているエピソードなど話が尽きない中、披露されたのは佐藤が作詞作曲を担当した「キミの街にゆくよ」。この曲は青森放送「東北新幹線全線開業キャンペーン」イメージソングでもあり、鈴木が青森出身の佐藤に楽曲制作を依頼したという。「ディナーショー的な雰囲気で!」と言って、鈴木ソロで歌われたのは代表曲の「恋人」。曲途中で観客と握手したり、観客に一輪の薔薇を贈るなど、本当にディナーショー的なサービスを交えた雰囲気で歌われた。シャネルズ1980年のデビュー曲「ランナウェイ」とラッツ&スター1983年のデビュー曲「め組の人」をコール&レスポンスとして一節歌うと、観客から大きなレスポンスが返ってくる。改めて、どれだけ鈴木が時代を経ても歌い継がれる曲を歌ってきた事が伝わってきた。そして、鈴木ソロとしての1986年のデビュー曲「ガラス越しに消えた夏」も歌われた。

 最後に再度SALT & SUGARが登場。佐藤は、2002年のイベントに出演して、昨年亡くなったブルースハーモニカ奏者の妹尾隆一郎に捧げる楽曲として、自身もブルースハーモニカを演奏して、エルトン・ジョンの「Piano Man」を披露。1曲目に歌われたはしだのりひこの「風」といい、佐藤がミュージシャンの先輩方に心から敬意を表している事を感じられた一幕であった。最後は、「最初と最後は、日本の素晴らしい楽曲を!」と言って、「川の流れのように」が披露され、本編は〆られた。

 アンコールでは先に会場を出たCOUNTERMEASURE以外の全員が集まり、佐藤もコーラスで参加していたラッツ&スターの「夢で逢えたら」を披露。作詞作曲を担当した大瀧詠一は2013年に亡くなっているが、歌う前に佐藤によって「大瀧詠一さんへのトリビュートの意味を込めて」と、その想いも語られた。音楽への愛しかない素敵なイベントは約4時間にも渡って催され、最後まで別れを惜しむ観客の拍手が鳴りやまなかった。

 なお、このライブの模様の一部が、主催であるFM COCOLO/FM802により、5/21~5/24 FM COCOLO「AFTERNOON DELIGHT」で放送される。その臨場感を味わえる貴重な機会になりそうだ。

◎放送情報
FM COCOLO/FM802
『AFTERNOON DELIGHT』
2018年5月21日(月)~5月24日(木)
14:00~17:00

◎公演情報
【佐藤 竹善 Presents Cross your fingers 20】
2018年4月30日(月・祝)
大阪・フェスティバルホール