故プリンス、初ソロ・シングルの共作者が権利をeBayで売却へ 
故プリンス、初ソロ・シングルの共作者が権利をeBayで売却へ 

 故プリンスが初めてリリースしたソロ・シングル「ソフト・アンド・ウェット」のコライティング・クレジットの権利がeBayで売りに出されていると、彼の故郷米ミネソタ州ミネアポリスの地元紙スター・トリビューンが伝えている。

 10代のプリンスが初めてデモ・テープをレコーディングした地元スタジオの元オーナーでレコード・プロデューサーのクリス・ムーンが、自身が所有しているこの楽曲の共作者としてのパーセンテージを49万ドル(約5,230万円)で売却しようとしている。

 「ソフト・アンド・ウェット」はプリンスの楽曲では数少ない共作者がいる作品で、作曲とパフォーマンスはプリンス、作詞はプリンスとムーンがクレジットされている。売値は即売価格で、購入希望者からのオファーも受け付けているとのことだ。「長年にわたって数え切れないほどこの曲を聴いて楽しんだ。儲けさせてもらったし、この曲を誇りに思っている。私に十分すぎるほどあらゆることをもたらしてくれたこの曲を、今度は私と同じくらい大切にし、所有することを楽しんでくれる別のプリンス・ファンにバトンを渡す時が来たと思う」とムーンはeBayの出品ページに書いている。

 今回売りに出されているのは楽曲の共作者としての権利のみで、約5,000万円支払ったところでプリンスの出版やライセンスの権利を入手できるわけではない。また、投資としてもあまり賢明とは言えないだろう。ストリーミングの台頭によりソングライティング印税の価値が下がっているうえ、そもそも「ソフト・アンド・ウェット」は大ヒットしたとは言い難い。1978年にリリースされたプリンスのデビュー・アルバム『フォー・ユー』に収録されているこの曲は全米チャート最高位が92位だった。

 そこはムーンも認めており、「この曲を購入する者は金銭的な目的ではしない方がいい」とスター・トリビューン紙に語っている。この楽曲で一番儲かったのは、1990年にMCハマーが出した「シーズ・ソフト・アンド・ウェット」という楽曲でサンプリングされた時だったと明かした上で、「プリンスにまつわる収集品で最もユニークなものの一つを所有できること(の意義)が大きい」と話している。ちなみにMCハマーの楽曲は全米No.1に21週君臨した大ヒットアルバム『プリーズ・ハマー・ドント・ハーテム』に収録されている。

 ムーンの元には数件問い合わせが来ているが、まだ売却には至っていないそうだ。