“ミーゴス流トラップ”&豪華ゲストとのコラボを存分に堪能できる全24曲 / 『カルチャーII』(Album Review)
“ミーゴス流トラップ”&豪華ゲストとのコラボを存分に堪能できる全24曲 / 『カルチャーII』(Album Review)

 米ビルボード・ソング・チャート(HOT100)で3週間No.1をマークした「バッド・アンド・ブージー feat.リル・ウージー・ヴァート」収録の2ndアルバム『カルチャー』に続く、通算3作目のスタジオ・アルバム『カルチャーII』を2018年1月26日にリリースした、米アトランタ出身のヒップホップトリオ=ミーゴズ。

 本作からは、メンバーのオフセットと婚約したばかりのカーディ・Bと、女帝=ニッキー・ミナージュの2大フィーメール・ラッパーが参加した1stシングル「モータースポーツ」(2017年10月27日発売)が大ヒット中。この曲は、「バッド・アンド・ブージー」やカーディ・Bのブレイク曲「ボーダック・イエロー」(全米1位)と同路線のトラップ・ソングで、ミーゴズ、ニッキー、カーディが入れ替わりながら放つ、ヤバめのリリックが話題になっている。

 「モーター・スポーツ」の他にも、デビュー作『ヤング・リッチ・ネイション』から、ミーゴズの作品に参加しているオラナブルC.N.O.T.E.プロデュースによるナンバー「スーパースターズ」や「トゥ・マッチ・ジュエリー」、高速ラップを披露する「ムーヴィン・トゥー・ファスト」、ドレイクとタッグを組んだ「ウォーク・イット・トーク・イット」など、独特の世界観に浸れる“ミーゴス流トラップ”が満載。

 ドレイクの他には、グッチ・メインや21サヴェージ、2チェインズ、ポスト・マローン、トラヴィス・スコットにタイ・ダラー・サイン&ビッグ・ショーン……と、ここ最近のヒップホップ・シーンで大活躍する面々を集成したような、ゲスト陣の豪華さも聴きどころのひとつ。前述のオラナブルC.N.O.T.E.以外にも、メトロ・ブーミンやマイク・ディーン、マーダー・ビーツにカニエ・ウェストと、プロデューサー陣も豪華絢爛。

 その中でも、ファレル・ウィリアムスが手掛けた2ndシングル「スティア・フライ」は、これまでのミーゴスとは全く違うタイプのファンク・チューンに仕上がった。同曲は、ファンク・ユニット=ザ・モホークスの「ザ・チャンプ」(1968年)がサンプリングされていて、60年代後期~70年代前期のJB'sやスライなどを彷彿させる。その他にも、エキゾチックなバックサウンドがループする「オート・パイロット」や、トロピカルハウス的要素含む「ギャング・ギャング」、90年代のジャジー・ヒップホップをリメイクした「メイド・マン」など、ミーゴズっぽさが良い意味で抜けた、新しいチャレンジも追求している。

 本作は、イントロ・アウトロ含め全24曲、106分の大ボリューム。80分前後が限界だったCD販売は無視したも同然(?)の、ダウンロード、ストリーミング時代を象徴する作品といえる。それだけに、同じような曲が続き中だるみするような箇所もあるが、アルバムを1枚トータルで聴くというよりは、「好きな時に好きな曲だけを流して聴けばいい」という意図があるのかもしれない。

 前作『カルチャー』は、「バッド・アンド・ブージー」の大ヒットを受け、米アルバム・チャート(Billboard200)/R&B・ラップ両チャートで1位を獲得し、2017年の年間チャートでは8位にランクインする大ヒットとなった。本作『カルチャーII』からは何曲のヒットが生まれ、アルバムがどこまで数字を伸ばすのか。チャート・アクションにも注目したい。年内には、メンバーのソロ・アルバムも期待できるカモ(?)。

 ミーゴズは、2月26には、東京・新木場STUDIO COASTで来日公演も決定していて、本作『カルチャー?』からのナンバーも披露されるだろう。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『カルチャーII』
ミーゴズ
2018/1/26 RELEASE