<ライブレポート>安藤裕子、ホーン隊を迎え自身の“ポップシーン”を体現 15周年記念ライブも発表 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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<ライブレポート>安藤裕子、ホーン隊を迎え自身の“ポップシーン”を体現 15周年記念ライブも発表

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<ライブレポート>安藤裕子、ホーン隊を迎え自身の“ポップシーン”を体現 15周年記念ライブも発表

<ライブレポート>安藤裕子、ホーン隊を迎え自身の“ポップシーン”を体現 15周年記念ライブも発表


 安藤裕子が、【安藤裕子 Premium Live 2017-2018 ~ゆく年くる年~】の東京公演を1月8日、東京・なかのZERO 大ホールにて開催した。
安藤裕子 ライブ写真(全7枚)

 メジャーレーベルを離れ、自身の楽曲制作をしばらく行っていなかった期間中の2017年6月に『夜明け前』と題したプレミアムライブを開催した安藤裕子は、自分の曲を歌うことさえ迷っていると話していた。ライブの最後に「だけど、歌うことしかできないんです。出口はないけど…自分の歌に立ち返らなきゃ…」と静かに振り絞った彼女の声を思い出しながらこの日の会場へ向かったのだった。

 バンドメンバーは、山本隆二(Key)、名越由貴夫(Gt)、沖山優司(Ba)、伊藤大地(Dr)、酒井由里絵(Cho)に、川崎 太一朗(Tp)、後関好宏(Sax)のホーン隊を迎えた自身初の編成。音源では安藤の声だけを重ねて収録されていた楽曲「Sleep Tight Mr.Hollow」のバンドアレンジでの演奏が始まると、円錐状の幕の中で安藤のシルエットが踊り始め、子守歌を歌うかのような優しい歌声がすっと入ってくる。かと思えば続く「森のくまさん」では、天幕の中からスキップで安藤裕子が登場し、嬉々とした表情で声を弾ませて歌うことの幸せを存分に感じている様子が伝わってきた。その瞬間、きっと彼女の夜は明け始め、何かが吹っ切れたのだろうと思った。自分に対してなのか、音楽に対してなのか、届けたい相手なのか。分からないけど、何かが。そこから「のうぜんかつら」「雨唄」と往年の楽曲が紡がれていくのだが、こんなに軽やかで楽しそうに歌う彼女は久しぶりに見たかもしれないと思うほどに晴れ晴れしかった。
 
 前回ストリングスを交えて行った6月のライブでの内省的な印象と全く違った景色が見えたのは、ホーン隊を迎えた影響が大きいのだろう。“(ホーンは)安藤裕子のポップな部分を担っている”と安藤自身が語るように、多々ある楽曲の中でも“陽”の印象が強い。「ホーンセクション入れたい曲を考えていたら、ほぼ全編2人が(川崎と後関)参加する勢いになっちゃって…(笑)」という安藤の意向で組まれたセットリストの中から、1番演奏したかったという「あなたと私にできる事」が披露されるとイントロからすっと伸びる管の音が楽曲を引き立てていく。そこから、「今日のライブの裏テーマが“人魚姫”だったんです。大人の女の人の黄昏る気持ちを歌っているんだけど、黄昏だけで終わらせたくなくて、戦う女性をイメージしました。自分の中で自分を奮いたたせなきゃとどこかで思っているんですよね」と語りマーチングバンド風にアレンジされた「人魚姫」も披露。自分を飾ることのない言葉は、とても力強いものだと感じさせられた。

 その後、「星とワルツ」をピアノの演奏のみで歌い上げると、幻想的なライトの演出がとても印象的だった新曲「泡の起源」を披露。続く「New World」の後には「今の2曲(「泡の起源」と「New World」)は恋の歌なんですが、上手く言葉で説明できなくて…恋沙汰が得意じゃないんですね、私。だけどね、次の曲はリアリティがあると思う」と告げ「愛の季節」を演奏。この曲も恋を歌っているのだが、曲中の<寂しいとか 何が好きか そんなことは忘れちゃったから 楽しいとか 嬉しいとか それなんだかいいだとか 伝えたくて>というフレーズが、迷い立ち止まっていた彼女が音楽に対して見つけた答えの一つな気がして胸がいっぱいになった。また、「世界を変えるつもりはない」では情感を爆発させるようなオリジナルの歌唱に比べ、一言ずつ丁寧に歌いあげる姿が印象的で、伊藤のダイナミックなドラムを軸にしながら後半に向かってエナジーが上昇するバンドの音の中を泳ぐように彼女は踊っていた。

 アンコールでは、楽曲制作を休んでいた時期に作られた「雨とぱんつ」、他アーティストからの楽曲提供により制作されたアルバム『頂き物』に収録された自作曲「アメリカンリバー」を披露。歌い終わった安藤の口から「15周年記念ライブを開催します!」と発表されると会場からは大きな拍手が沸き起こり、ラストはUNICORNのカヴァー「雪が降る街」で締めくくられた。

 半年前には「心に迷いがあると自分の曲と向き合えないんです」と打ち明けていた安藤裕子。カバー1曲を除いた全編が自身の楽曲で構成されたライブは、繊細な彼女の想いが素直に反映されていたし、何より彼女の音楽は、憂いを纏いながらも熱量がとても高く生命力に溢れている。このライブで、時に苦しみ佇みながらも彼女が曲を綴り歌を歌い続ける本質的な動機、そして安藤裕子の“表現者”としての原点と今を確かに見た気がする。

 なお、デビュー15周年を記念したライブ【安藤裕子 15周年 LIVE~長くなるでしょうからお夕飯はお早めに~】は5月26日、東京・昭和女子大学人見記念講堂にて開催される。

text:神人未稀
LIVE photo:Aki Ishii


◎公演情報
【安藤裕子 Premium Live 2017-2018 ~ゆく年くる年~】
2017年12月15日(金)
大阪・森ノ宮ピロティホール
OPEN 18:30 / START 19:00
2018年1月8日(月・祝)
東京・なかのZERO
OPEN 17:30 / START 18:00

◎公演情報
【安藤裕子 15周年 LIVE ~長くなるでしょうからお夕飯はお早めに~】
2018年5月26日(土)東京・昭和女子大学 人見記念講堂
OPEN 17:00 / START 17:30


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