ヒップホップ感が増した完成度の高いリミックス / 「フィネスfeat.カーディ・B」ブルーノ・マーズ(Song Review)
ヒップホップ感が増した完成度の高いリミックス / 「フィネスfeat.カーディ・B」ブルーノ・マーズ(Song Review)

 2017年の年間アルバム・チャートで2位にランクインした大ヒット作『24K・マジック』から、5曲目のシングル「フィネス」のリミックスを2018年1月4日にリリースしたブルーノ・マーズ。リミックス・バージョンには、全米No.1ヒット「ボダック・イエロー」で大ブレイクした、米ブロンクス出身のフィーメール・ラッパー=カーディ・Bがフィーチャリング・ゲストとして参加している。

 本作『24K・マジック』は、ファンクやディスコなど、80年代の音をカバーに近い形でリメイクしたアルバム。新曲「フィネス」も、まさにエイティーズ・テイスト満載のナンバーで、カーディ・Bのラップが加わることにより、ロクサーヌ・シャンテやソルト・ン・ペパなどがヒットさせた、80年代後期~90年代前期のヒップホップに近い仕上がりになっている。ブルーノ・マーズのボーカル・パートは、ニュージャック・スウィング時代のボビー・ブラウンや、マイケル・ジャクソンの「リメンバー・ザ・タイム」(1991年)まんま。とはいえ、ブルーノ唯一無二の声質でオリジナリティを発揮させているため、モノマネ感は一切ない。

 1月3日に公開されたミュージック・ビデオも、ニュージャック色が濃く出ている。カーディ・Bは、カラフルなキャップとジャケットにショートパンツ、ルーズソックス(風?)と厚底スニーカーという、初期のTLCを彷彿させるストリート・ファッションで、ブルーノはストライプのダボダボなロンTに金のネックレスを合わせて、軽やかなダンスを披露。ここまで完成度の高いリメイクだと、流行の最先端にすら見えてくる。1周まわってカッコイイ的な……?ちなみに、このビデオはブルーノ自身が監督を務めているそうで、本人のお気に入りである人気コメディー・シリーズ『イン・リヴィング・カラー』(1990~1994年放送)をオマージュした内容になっているとのこと。平野ノラのネタで、荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」(1985年)やボディコン・ファッションが再ヒットしているが、アメリカもブルーノ効果でバブル時代の再ブレイクか(?)。

 ここ最近は、ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキーの「デスパシートfeat.ジャスティン・ビーバー)」や、エド・シーランの「パーフェクトwithビヨンセ」など、アルバムに収録されたオリジナル・バージョンではなく、人気アーティストが参加したリミックス・バージョンとしてシングル・リリースするケースが増えている。それによって、ダウンロード数やストリーミングが増加し、チャートで上位ランクインが望めるから、というのも理由として挙げられるだろう。

 本作『24K・マジック』からは、タイトル曲が全米4位、2ndシングル「ザッツ・ホワット・アイ・ライク」が1位に輝く大ヒットを記録している。新曲「フィネスfeat.カーディ・B」で、3曲目のTOP10入り、もしくは2曲目のNo.1獲得に期待したい。ブルーノ・マーズは、日本時間1月29日に開催される【第60回グラミー賞】で7部門にノミネートされていて、主要3部門のうち、いずれかを受賞するのではないかと予想されている。また、4月11日~15日の4日間(13日はオフ)、さいたまスーパーアリーナで来日公演が行われるため、上半期は日本でも彼の名前を目にする機会が増えるだろう。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
「フィネスfeat.カーディ・B」
ブルーノ・マーズ
2018/1/4 RELEASE
デジタル配信