【深ヨミ】米津玄師『BOOTLEG』、前作から2年間の飛躍をCD売上から探る
【深ヨミ】米津玄師『BOOTLEG』、前作から2年間の飛躍をCD売上から探る

 米津玄師の2年ぶり、通算4作目となるアルバム『BOOTLEG』が、11月6日発表の週間アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”で堂々の首位を獲得。そして同作は、Billboard JAPANの総合アルバム・チャートを構成するセールス、ダウンロード、ルックアップの全指標で1位となり、11月13日付の“Hot Albums”で完全制覇を遂げた。

 『BOOTLEG』には、「LOSER」「ナンバーナイン」「orion」「ピースサイン」のシングル4曲に加え、約4年ぶりにハチとして制作した初音ミクとのコラボレーション楽曲「砂の惑星」のセルフカバー、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌「打上花火」のセルフカバー2曲を含む計14曲が収録されている。本作は初動3日間で102,331枚、その後の初週累計で162,816枚まで売上を伸ばした。これは、ハチ名義を含め自身のキャリアで初めて“Billboard JAPAN Top Albums Sales”1位を獲得した前作『Bremen』の初週累計であった5,3万枚を約3倍も上回る記録となった。

 収録曲でシングルカットされた作品は「LOSER」を除き映画やアニメのタイアップ曲となっており、総合ソング・チャート“JAPAN HOT100”でも度々上位に入り注目を集めていた。楽曲が発表される度に、リリース前からTwitterや動画再生回数での反響の大きさを窺わせ、ダウンロードのユニット数でも他を大きく引き離してきたことから、セールス以外にも“ヒット”の要因を打ち出し2017年の音楽シーンを彼が牽引してきたと言えるだろう。そしてそれを証明したのが、今回発売された『BOOTLEG』の売上枚数に反映されているとも言える。その中で実店舗の売上動向にも興味深い動きがあったため、SoundScan Japanの売上データから『Bremen』と『BOOTLEG』の実店舗/イーコマースの売上における割合を抽出した。

『Bremen』
2015/10/7 RELEASE
STR:45%
EC :55%

『BOOTLEG』
2017/11/1 RELEASE
STR:54%
EC :46%

※STR=実店舗 EC=イーコマース

 『Bremen』では5.3万枚の売上のうち半数以上がオンラインで購入されていたが、今作『BOOTLEG』では比率が逆転し半数以上の購買者が店舗に足を運んで商品を購入していることがわかる。これは、本作を販売する実店舗が増加し、東京をはじめとする大都市以外の地方でも店頭に並ぶようになったこととも繋がっており、前作から2年の間に発表した作品のTwitterや動画再生回数での話題性、タイアップやコラボレーションなどで外向的な活動によりコアなファン以外への訴求力を高めてきた結果がアルバムの売上に繋がったと言えるだろう。アルバムリリース日でもあった11月1日の大阪・フェスティバルホール公演を皮切りに、12月24日の広島・上野学園ホール公演まで15都市20公演で自身最大規模の全国ホールツアーを敢行中など年末まで話題も絶えない米津玄師。現代におけるネットカルチャーの広がりと呼吸を合わせ目覚ましい活躍を続ける彼に、これからもさらに音楽シーンを切り開いていってもらいたい。