ディープ・パープルのスティーブ・モーズ最新インタビュー「成長したというよりは進化している」
ディープ・パープルのスティーブ・モーズ最新インタビュー「成長したというよりは進化している」

 ディープ・パープル(DP)は現在、2017年4月にリリースした通算20枚目となるスタジオ・アルバム『インフィニット』をひっさげ、ヨーロッパ・北米・南米で少なくとも65公演を開催する【ザ・ロング・グッドバイ・ツアー】を敢行中だ。

 “長いお別れ”と題されたツアーと最新アルバムは、もしかしたら最後になるのではとファンの間で憶測を呼んでいる。今年2月に米ビルボードのインタビューに応じたベースのロジャー・グローヴァーは、メンバーは誰も止まりたいとは思っていないが全員高齢になっているのも確かだと認めつつ、「ドアは閉まりかけているけれど、まだ閉まってはいない」と可能な限りバンド活動を続ける意思があることを強調していた。

 創立メンバーのリッチー・ブラックモアが1993年にツアー途中でいきなりバンドを去り、その1年後に加入したギターのスティーブ・モーズにとっても長い道のりだった。彼が初参加したスタジオ・アルバムは1996年の『紫の証 / Purpendicular』で、実は今やブラックモアよりも長くDPのギタリストを務めている。とはいえ、いまだにブラックモアの復活を望むファンの声も根強く、本人も「懐かしいから」との理由に最後に一度だけ一緒にプレイしたいと発言したことからも“ラスト・ツアー”で現メンバーとの共演が実現するのか気になるところだ。米ビルボードがモーズに話を聞いた。

◎DPにとってこれが最後のレコードになるかもしれません。初参加だった『紫の証』からどのように音楽的に成長したと思いますか?

自分たちは成長したというよりは進化しているような気がする。歌詞は常に良くなっているし、自分のギタープレイも音楽や曲に敏感になっている。自分が前より馴染んでいるのかな。そして今は素晴らしいプロデューサー、ボブ・エズリン(ピンク・フロイド、アリス・クーパー、キッスなどを手がけている)がついてくれているし。以前はバンドとロジャー(・グローヴァー)だけだったからさ。

でも『紫の証 』は自分とバンドが初めて一緒にやったアルバムだったから、先入観や期待が一切なかった。自然体だったから最高だった。偶然にも、あれとこの最後のレコードが自分で一番気に入ってるんだ。この2枚は極端だ。『紫の証』では期待がなく、表向きはバンドメンバー以外の影響もなかった。『インフィニット』では自分たちにとって最高のプロデューサーがついてくれた。

◎以前あなたはボブ・エズリンがあなたのソロ演奏の“普段のスタイル”が気に入らなかったと話していたことがありましたが、変えるのは難しかったですか?

ボブは有能な男だ。彼は全ての音楽をその曲に合ったものにしたがった。だから俺が普段のスタイルでプレイすると、「違う、それは君のソロ・アルバムみたいだろ。もっとメロディックか、もっとシンプルなやつをくれよ」って言われた。軍隊の軍曹みたいに俺を普段とは違う方向へ行かせようとした。俺に厳しく当たるんだけど、彼は驚くほど素晴らしいコンピューターのような頭脳の持ち主なんだ。彼は何もかも覚えていて、音楽的な直感も鋭い。だから我慢したんだ(笑)。

◎リッチー・ブラックモアが最後にもう一度だけバンドでプレイしたいと話していることについてはどう思っていますか?

彼はDPの創立メンバーの一人だ。ファンは喜ぶだろうね。関係者全員にとっていい終わり方ができて、悪い感情を忘れられたらいいなと思うんだ。精神的な壁さえ乗り越えられたら、みんなすごく楽しめると思う。俺は音楽のファンで、ミュージシャンだ。政治家じゃない。

大抵の人は威圧感を感じるだろうね。自分よりも目立つ演奏をして、自分の前に立って注目を奪うような人物がやってきたら。でも、それを多くの人が見たいんじゃないかって思うんだ。

メンバー間で良くない言動がたくさんあったことは事実で、とにかく悪化した関係を打破しなければ始まらない。それさえできれば、みんな最高に楽しめると思う。ただ、それをどうやればいいのか分からない。とにかく、自分としては、ディープ・パープルの過去、現在、そして未来の(笑)メンバー全員がウェルカムだよ。