パティ・スミス、故サム・シェパードを追悼「私たちは話す必要がなく、それが真の友情の証」
パティ・スミス、故サム・シェパードを追悼「私たちは話す必要がなく、それが真の友情の証」

 【ピュリッツァー賞】受賞の劇作家で俳優のサム・シェパードが、2017年7月27日に死去したことを受け、パティ・スミスがザ・ニューヨーカー誌に心を打つ追悼文を寄稿した。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の合併症のため息を引き取ったシェパードとスミスは友人同士であり、共同執筆者であり、そしてかつては恋人関係にもあった。

 “My Buddy”(私の親友)と題された寄稿文でスミスは、シェパードの鋭い文筆の才や、彼が感じていたアメリカ西部の風景への愛、そして彼が荷物をまとめて旅に出るきっかけとなったクリエイティブな焦燥感について触れている。最終的に彼は病のせいでケンタッキー州の自宅にとどまることを余儀なくされたが、「勇敢に精神的なスタミナを奮い起こして」最後の原稿を書き上げたと彼女は綴っている。また、二人がまだ若かった頃にペアで入れたタトゥーについても明かしている。彼は手に三日月を、彼女は膝に稲妻を入れたそうだ。

 シェパードの原稿を手伝った時のことについて彼女は、「私たちには日課があった。目覚める。その日の準備をする。コーヒーと軽食を取る。執筆作業に取り掛かる。そして休憩に入って、外でアディロンダック・チェアに腰掛けて田園風景を眺める。その時私たちは話す必要がなく、それが真の友情の証だった。いつだって沈黙が気まずくなかった。歓迎すべき形の沈黙とは会話の延長だからだ。私たちは本当に長い間知り合いだった。私たちの行ないは、若気の至りを表現するいくつかの言葉で捉えられたり片付けられるようなものではなかった。私たちは友達同士で、良きにつけ悪しきにつけ、お互いに自分らしくいられた。時の経過はそれを強化するだけだった」と振り返っている。


◎“My Buddy”全文(英語)
https://goo.gl/5Juy8Q