追悼:リンキン・パークのチェスター・ベニントン 米ビルボードとの最後のインタビュー未公開部分を掲載
追悼:リンキン・パークのチェスター・ベニントン 米ビルボードとの最後のインタビュー未公開部分を掲載

 リンキン・パークのチェスター・ベニントンが2017年7月20日(現地時間)に死去した。享年41歳、死因は自殺と報じられている。

 車好きでもあったベニントンは、米ビルボード誌の2017年3月27日号で新しいメルセデスAMG G63の試乗に絡めた特集記事に登場していた。彼の突然の死を悼み、車に焦点を当てていた当時の記事には入りきらなかったインタビュー内容をピックアップする。音楽に対する姿勢をまっすぐに語り、子供時代の大失敗や家族についてユーモアを交えながら物語る彼の言葉からは、生前の彼の人となりが浮かび上がる。

<ロック・ミュージシャンとして年齢を重ねることについて>
 そういうことに集中するから問題になってしまうんじゃないかな。でも俺らはあまりそれについて考えないんだ。自分たちが時流についていけてるのは、この音楽体験に目的地を設定していないからなんだ。これは旅だと捉えている。つまり、俺らは“ロック島”に立ち寄って、そこに取り残されてしまったわけじゃない。そこからまた乗船して、風が吹いた方へ身を任せるんだ。その度に新しい場所、新しい目的地に到着する。俺らはどんなサウンドや曲を作るかに関して怖いもの知らずだから、人々の好みや興味のあることに柔軟に対応できているんじゃないかと思ってる。

<大家族を持つことについて>
 最近バンドがiHeartRadioの番組作成者リスニング・パーティーみたいなのに出席したんだ。様々なプラットフォームの番組作成者が一堂に会して、様々なアーティストの新曲をかけるんだ。自分たちがいたその場所はちょっとした劇場でさ。数百人集まってたかな。で、「ヘヴィー」を演奏することになっていたからマイク(・シノダ)がすごく興奮してて。あれだけの大人数を前にこの曲を披露するのが初めてだったから、実質曲のデビューみたいなもんだった。あいつは、「こんなにたくさんの人の前でこれを演奏したことないからちょっと緊張するな」って言ってたけど、俺は、「いや、自分にとっては別に普通のことだけど、子どもたちといる時はこんなもんだし」って言ったんだ。(鉄板焼きレストランの)ベニハナって知ってる?(家族で行くと)テーブル丸ごとにシェフ2人がついてくれるんだ。「特別な日ですか?」って聞かれるんだけど、「いや、ただの火曜日だよ」ってね。

<車で彼に起きた最も恥ずかしい出来事について>
 自分で運転できるようになる前、俺はスイマーだったんだ。子どもの頃、トゥーソンに競泳大会に行かなきゃならなくて、両親が行けなかったから他の子の親に連れて行ってもらわなければならなかった。で、トゥーソンからフェニックスへの帰り道、30分くらい経った頃かな、おしっこがしたくなってしまった。でも恥ずかしくて言えなかった。当時の自分は、今みたいに自信がなくて、11歳くらいの怖がりの少年だったんだ。しかもたしかその子の親は俺を連れて帰るのが面倒だったみたいで、機嫌が悪かったんだよね。だから、「車を止めてもらえますか?」って言えなかった。で、10分後、すごくおしっこがしたくなった。20分後、汗をかいていた。結局俺はその場で漏らしてしまった。車の後部座席でおしっこを垂れ流してしまったんだ。そして何も言わなかった。車から降りる時に「ありがとう」とだけ言った以外にはね。この話の教訓は、いいから車を止めてくださいって言え、ってことだな。「自分は他人の車の後部座席で漏らしてしまって何も言わなかった」ってことを終生抱え込むようなことはするなってこと。

<ラジオに合わせて歌うことと、恥ずかしいけれど好きな曲について>
 歌詞を全部知ってる場合……いや、2つしか歌詞が分からなくても、俺は声を張り上げて歌うんだ。妻には、「お願いだからやめてもらえる?」って言われるよ、すごく大きな声で歌うから。隅っこで静かに「ラララ」ってやるんじゃなくて、とにかく大騒ぎするんだよ。フロントガラスやハンドルに唾が飛びまくるみたいな、そんな感じ。

 恥ずかしいけれど好きな曲?マイリー・サイラスの「パーティー・イン・ザ・USA」だな。だってすごくいい曲だし。でもマイリー・サイラスだから、まあ、分かるだろ?特に彼女が、「あたしが大好きなブリトニーの歌がかかってる」って歌うところで、俺はこっちで、「イエー、ブリトニー!」ってやるんだよ。