カルヴィン・ハリス、5thALで前4作とは違う新境地へ(Album Review)
カルヴィン・ハリス、5thALで前4作とは違う新境地へ(Album Review)

 「サマー」や「ブレイム」などの大ヒット曲を輩出した前作『モーション』(2014年10月)から、およそ3年半ぶりとなるカルヴィン・ハリスの通算5作目のスタジオ・アルバム、『ファンク・ウェーヴ・バウンシズ Vol. 1』が、6月30日にリリースされた。

 本作からは、ノスタルジックな80年代風のディスコの「スライド feat. フランク・オーシャン&ミーゴス」、ザップ&ロジャーを意識したトークボックス起用の「ヒートストローク feat. ヤング・サグ、ファレル・ウィリアムス&アリアナ・グランデ」、80年代風のエレクトロ・ファンク「ローリン feat. フューチャー&カリード」、そして、ゲストで参加したファレル・プロデュースによる浮遊感漂うヒップホップ・チューン「フィールズ feat. ファレル・ウィリアムス、ケイティ・ペリー&ビッグ・ショーン」の4曲が、先行シングルとしてリリースされている。

 先行曲からもお分かりの通り、前4作とは全く違う、新境地を開いたナンバーが目白押しの本作。カルヴィンの代名詞であるEDMは封印し、80年代ディスコ~ファンクや、90年代初期のR&B、ヒップホップをリメイクしたようなナンバーが中心の内容に仕上がっている。

 「キャッシュ・アウト feat. スクールボーイ・Q、パーティネクストドア&D.R.A.M」や「プレアーズ・アップ feat. トラヴィス・スコット&A-トラック」は、まさに90年代初期のフロアをよみがえらせる、横ノリのヒップホップ・チューン。スヌープ・ドッグが参加した「ホリデイ feat. スヌープ・ドッグ、ジョン・レジェンド&テイクオフ」も、自身の代表作『ドギースタイル』(1993年)を再現したようなナンバーだ。

 ニッキー・ミナージュがキュートに歌う、ラテン調の夏らしいナンバー「スカート・オン・ミー」や、ケラーニの個性的な声質がアクセントになっているミッド・チューン「フェイキング・イット feat. ケラーニ&リル・ヨッティー」、トロント出身の女性シンガーソングライター、ジェシー・レイエズの気だるいボーカルに癒される、レゲエ調の「ハード・トゥ・ラヴ」など、女性陣が参加した楽曲のクオリティも高い。

 制作は、カルヴィン・ハリスを中心に、ゲスト・ミュージシャンとして参加したメンバーたちが、それぞれの楽曲を手掛けている。その他には、リアーナの「ニーデド・ミー」や、ドレイクの「フェイク・ラブ」などを手掛けた人気急上昇中のトラックメイカー、スターラなどが参加している。トータル37分40秒、全10曲とコンパクトにまとめたところも、聞きやすい。

 カルヴィン・ハリスは、今年8月に開催される<サマーソニック2017>に出演予定。本作からのナンバーも披露されるだろう。