ブラピ主演のNetflix『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』監督にインタビュー、『戦争が無駄であったという事実を伝えたかった』
ブラピ主演のNetflix『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』監督にインタビュー、『戦争が無駄であったという事実を伝えたかった』

 Netflixとブラッド・ピットが代表を務める制作会社プランBによる映画『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』が絶賛Netflixで配信中だが、全世界同時配信前にブラッドとともに来日したデヴィッド・ミショッド監督に作品について話を訊いた。

 本作は、実在のアメリカ陸軍将軍、スタンリー・マクリスタルをモデルにしたベストセラー作品から発想を得たオリジナル映画で、将軍グレン・マクマホンの栄光と衰退を描きながら、現代の戦争の裏側に迫る衝撃作だ。マクリスタルにあたるアフガニスタン駐留軍司令官グレンをブラッド・ピットが演じ、カッコいいブラピのイメージを破るほど徹底された役作りが話題になっている(特に短パンのランニング姿は必見だ!)。ミショッド監督は「マクリスタル自身は非常に徹底した人物だが、彼をそのまま本作で忠実に再現するつもりはなかった。グレンをまるで自分が第二次世界大戦で大活躍した偉大な軍人だと勘違いしたようなキャラクターに設定している。特定の人物のことを描いているではなく、戦争が無駄であったという事実を伝えたかったんだ」と語っている。

 本作では、グレン率いる一風変わった軍人チームが、アメリカ政府が望む方向性と反対の道に進んだ結果を、ユーモアを交えながら描かれる。監督は「戦争の不条理さ、滑稽さを映画の2/3で描き、残り1/3は戦争の恐ろしさと悲しみを描いている。軍上層部の虚栄心や野心によって踏まれた悲惨な出来事をきちんと描きたかった。政治がテーマであり、内容も複雑でかつ変わった作品でもあったため、ハリウッド大手スタジオからなかなか手が挙がらなかった」と、その踏み込んだ内容から映画化までに時間がかかったことを告白。そこへ手を差し伸べてくれたのが、大手動画配信サービスのNetflixだ。「Netflixはリスクを負ってくれるし、フィルムメーカーたちに自由を与えてくれる。映画はとにかくお金がかかるから、彼らからの金銭面での援助によって自分が描きたいストーリーに制限がなくなり、ここまで大胆な作品を作ることができた。数年前では考えられなかった。ぜひとも、機会があればまたNetflixと仕事がしたい」と監督は話す。

 Netflixと共同製作のプランBは近年、『ムーンライト』や『それでも夜は明ける』といった【アカデミー賞】作品賞受賞作品やNetflix初の【カンヌ国際映画祭】正式出品として話題の『Okja/オクジャ』などを手掛ける。「プランBは重要な作品を世に送り出してくれるし、その中心にブラッドがいる。エネルギーに溢れた彼らの近くにいると私もインスパイアされる。彼らと一緒に作り上げたクレイジーなグレンを誇りに思うし、彼を見ていると、まるでおもちゃ屋にいるような嬉しい気分だ」と、監督は述べる。今ハリウッドで最も勢いのある制作会社とも言えるプランBと、画期的な作品を発表し続けるNetflixが手掛けた作品なのだから、一見に価値ありだ。Netflix未加入者は1か月無料体験ができるので、この際、Netflixの世界に浸り、オリジナル作品の数々に出会ってみては?

Text: Mariko Ikitake
Photo: Yuma Totsuka


◎『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』予告編
https://youtu.be/F5hrt15YpEo

◎作品情報
『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』
Netflixにて配信中