2017年3月15日、アメリカの音楽史にその名を刻む3人のレジェンドが誕生日を迎える。

 1人目は、60年代アメリカにおけるヒッピー・ムーヴメント/カウンター・カルチャーを象徴する伝説のバンド、グレイトフル・デッドのベーシスト、フィル・レッシュの77歳の誕生日。2000年以降、デレク・トラックスや元ブラック・クロウズのクリス・ロビンソン、ガバメント・ミュールのウォーレン・へインズらアメリカン・ロック直系の継承者たちとのセッションも積極的におこなってきたレッシュだが、2015年に膀胱がんを患っていることを公表。予定されていたライブをキャンセルしてヘッズたちを心配させたが、手術は無事成功。数週間後には音楽活動を再開している。そして現在もヘッズの“聖地”サンフランシスコで自身が経営するライブレストラン「テラピン・クロスロード」を拠点に精力的にライブ活動をおこなっている。

 続いて2人目はソウル/ファンク・ミュージックの発展に絶大な貢献を果たしたスライ&ザ・ファミリー・ ストーンのリーダー、スライ・ストーン。今年で74歳を迎えたファンク界の伝説は、近年も訴訟問題、薬物依存、ホームレス同然の生活を送っているなど、相変わらず波瀾万丈なニュースばかりが続いてしまった。しかし今年【グラミー賞 特別功労賞生涯業績賞(Grammy Lifetime Achievement Award】を受賞。70代でも第一線で活躍を続けるレジェンドたちが数多くいる今こそ、これを追い風にファンク界きってスーパースターの再起にも期待したいところ。

 そして最後は、今年で70歳を迎えるライ・クーダー。スライドギターの名手として知られるライ・クーダーは、R&B、ブルース、カントリー、テックス・メックスなどアメリカに根付く多種多様な音楽を研究し、自身の音楽を通じてそれを世界中の音楽リスナーへと紹介してきた“ルーツ・ミュージックの探求者”だ。その深い造詣はアメリカ大陸にとどまらず、アフリカから日本・沖縄にまでおよんでいる。“音楽をめぐる旅”を続け、世界中の音楽家たちと共演をおこなう一方、80年代から『パリ、テキサス』(1984年)など数々の映画音楽も担当するなど、時代に流されない独自のスタンスで、現在まで良質な音楽を紡ぎ続けている。