新国立劇場、来シーズンのオペラ・ラインアップは『神々の黄昏』で開幕、細川俊夫『松風』も
新国立劇場、来シーズンのオペラ・ラインアップは『神々の黄昏』で開幕、細川俊夫『松風』も

 新国立劇場開場20周年記念となる2017/2018シーズン。オペラハウスは「ニーベルングの指環」の掉尾を飾る『神々の黄昏』、祝祭的傑作『フィデリオ』など新制作が3演目、『アイーダ』『こうもり』『薔薇の騎士』などの華やかなレパートリーに加え、細川俊夫『松風』を加えた7演目の充実のラインアップだ。

 長年バイロイトで活躍してきた飯守泰次郎オペラ芸術監督の最後のシーズンの開幕を飾るのは、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」第3日『神々の黄昏』。新国立劇場が3シーズンにわたり新制作上演している「指環」四部作がいよいよここに完結する。これまでの3作品と同様、ドイツの名演出家ゲッツ・フリードリヒによるプロダクションで上演。ジークフリートには世界最高峰のヘルデン・テノールのステファン・グールドが登場する。この新国立の「指環」シリーズでは、主要テノール四役出演という偉業への挑戦が話題となっている。ブリュンヒルデには圧倒的ワーグナー・ソプラノのペトラ・ラング、ヴァルトラウテには名メゾ・ソプラノとして絶大な人気を誇るヴァルトラウト・マイヤーが新国立劇場に初登場となる。

 また、開場20周年記念シリーズでは、ベートーヴェンの唯一のオペラ『フィデリオ』が選ばれた。リヒャルト・ワーグナーのひ孫であり、バイロイト音楽祭総監督を務めるカタリーナ・ワーグナーを演出に迎え、新制作で上演する。レオノーレはリカルダ・メルベート、フロレスタンにはステファン・グールドが登場。日本のグールドファンには嬉しいシリーズとなるだろう。

 そして最も注目の演目は、細川俊夫の『松風』の日本初演だ。能の古典『松風』をもとに若手作家ハンナ・デュブゲンがドイツ語台本を書き下ろし、現代を代表する作曲家として世界で高く評価される細川によって1幕5場のオペラに仕立てられた。本作は、2011年5月に世界有数の振付家サシャ・ヴァルツの演出によって、ベルギー王立モネ劇場で世界初演され絶賛。この初演プロダクションが、遂に日本で初お目見えとなる。音楽と舞踊、声楽が一体となったコレオグラフィック・オペラという様式を確立した、サシャ・ヴァルツ演出『松風』。見逃せない公演となりそうだ。

 他、新国立劇場の人気レパートリーを世界から最も旬の歌手を迎えて上演する。『ばらの騎士』ではオクタヴィアン役として人気絶頂のダニエラ・シンドラムが初登場、『愛の妙薬』では世界最高のアディーナ役の1人であるルーシー・クロウ、『アイーダ』のイム・セギョンおよびラダメスのナジミディン・マヴリャーノフ、『トスカ』のキャサリン・ネーグルスタッドが登場する。現在受付中のセット券は各種割引にも対応。10演目通しはもちろん、4~6演目のコンパクトなものまでヴァリエーションが揃っている。一般受付は3月末まで。

『神々の黄昏』フィンランド国立歌劇場公演よりPhoto: Stefan Bremer