WONK擁するレーベルブランド「epistroph」の初イベントが表参道で開催 音楽・ファッション・カルチャーが交錯する刺激的な一夜をレポート
WONK擁するレーベルブランド「epistroph」の初イベントが表参道で開催 音楽・ファッション・カルチャーが交錯する刺激的な一夜をレポート

 2月5日、WONK擁するレーベルブランド「epistroph」による初のイベントが表参道WALL&WALLにて行われた。

イベント写真

「epistroph」は音楽とファッションを軸に、ハイクオリティなライフスタイルを提案する事を目的に設立されたレーベルブランド。今回は、東京を中心に活動するエクスペリメンタル・ソウルバンド、WONKによるライブセットに加え、『Numero TOKYO - Emporio Armani / 菅原小春』ファッションムービーの音楽制作を手がけた新進気鋭の音楽家、常田大希のソロプロジェクトや、ビートメーカー、DJらを迎えた一夜限りのパフォーマンスと、「epistroph」、「VLANK CONCEPT WEAR」、「KONYA」の3ブランドによる新作コレクションの展示・販売が行われた。そんなあらゆるカルチャーの垣根を超えたイベントからWONKのステージを中心にレポートする。

ファッションと音楽の併合ともいえるこのイベント、表参道という土地柄もあってか20代を中心に多くの人が集まっていた。 FAME、Aru-2、CRAM、Licaxxxとシーンを牽引するDJ、ビートメーカーがフロアを盛り上げる間にもオーディエンスが増え、みな思い思いに時間を楽しんでいた。

 そんな中、Srv.Vinciのメンバーであり、 音楽制作など多方面で活躍している常田大希によるソロプロジェクト Daiki Tsuneta Millennium Paradeのパフォーマンスが始まった。常田がキーボード、石若駿がドラムの前に座り、常田がゆったりとキーボードを弾き始めたかと思うと、2人のクールな佇まいに反して、お互いのプレイを激しくぶつけ合うようなステージが繰り広げられる。その緊迫した空気にオーディエンスは目が釘付けになった。ステージに2人しかいないとは思えない、迫力のあるパフォーマンスを見ることができた。

 WONKのステージが始まる頃にはキャパシティ400人の会場のメインフロアが後ろの方まで人で埋め尽くされていた。圧巻のライブパフォーマンスで“世界水準のサウンド”と評され話題となっている今注目の若手バンドWONK。そんな彼らのステージを楽しみに来たのであろう人々の期待が、会場の会話や笑い声から伝わってきた。

キーボードのAyatake EZAKIとベースのKan INOUE、ドラムのHikaru ARATA、サポートメンバーの安藤康平(Sax)、最後にボーカルKento NAGATSUKAがステージに姿を現し、Kentoの「皆さんWONKです。今日はよろしくお願いします」という挨拶でWONKのライブが幕を開けた。

冒頭は新曲を演奏した後、2曲目はEP『From the Inheritance』より「Feelin’ You(Y.N.K.)」を披露。曲が始まった途端に客席から歓声が上がった。後ろで演奏するメンバーを信頼しているからか、メンバーの方にはあまり目を向けず、歌う言葉の一つ一つを届けるように客席をしっかりと見つめるKento。 曲が終わりに近づいたころHikaruのドラム演奏にスポットが当たり、そのスキルフルなプレイを惜しげもなく披露して会場を沸かせた。

 「1914」ではメンバーが楽しげな表情を見せ、続いてはダリル・ホール・アンド・オーツの「I Can't Go For That」のカバーを披露した。間奏に入るとKentoがステージの袖に移動し、楽器隊にステージを譲る。ここでインストバンドさながらのセッションが始まり、Ayatake、Kan、Hikaruの3人で迫力のある演奏を繰り広げた。さらに安藤のサックスの音が鳴り響き、情熱的な演奏に観客からは拍手と歓声が上がった。

ここでゲストボーカルとしてKANDYTOWN の Dianが登場。WONKの曲の中でも特にヒップホップの要素が強い「New Shit」をダブルボーカルで歌った。独特のグルーヴの中にも緊張感がある演奏に、オーディエンスはステージをじっと見つめながらも体を揺らしていた。

最後はアルバム『Sphere』 から「savior」を演奏。アルバムのしっとりとしたイメージを覆すほどボリュームのあるドラムの音に加え、安藤のフルートの音色が会場全体に響き渡る。音が止まると会場は大きな拍手に包まれ、メンバーはステージを後にした。

 約50分のステージでKentoからいくつかのコメントはあったもののMCに時間を割くことはなく、演奏だけで魅了されたボリュームたっぷりなライブだった。WONKはKentoがボーカルとしてバンドの中心にいながらも、曲や場面によってメンバーに主役を譲る姿が印象的で、その都度、メンバーそれぞれが最高のフォーマンスをしていると感じた。今のシーンにおいて絶大な注目を集めているWONK。その実力に今後のさらなる活躍を期待させる彼らのライブは、音楽の温かさをも感じさせた。

 3月16日にはビルボードライブ東京にて、LUCKY TAPESとWONKの公演が予定されている。東京のインディシーンにおいて大きな注目を集めている2バンドの貴重な共演、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

Text:片庭智美


◎セットリスト
1.Intro
2.New Track #A
3.Feelin’ You(Y.N.K)
4.Common
5.1914
6.New Track #B
7.I Can‘t Go For That
8.New Shit feat.Dian
9.J Dilla Medley
10.savior

◎公演情報
【LUCKY TAPES×WONK】
2017年3月16日(木)
ビルボードライブ東京
1st 開場17:30 開演18:30
2nd 開場20:45 開演21:30