全英1位・全米2位デビューを果たしたザ・エックス・エックス『I See You』の“ポップ・アルバムとしての力強さ”(Album Review) 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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全英1位・全米2位デビューを果たしたザ・エックス・エックス『I See You』の“ポップ・アルバムとしての力強さ”(Album Review)

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全英1位・全米2位デビューを果たしたザ・エックス・エックス『I See You』の“ポップ・アルバムとしての力強さ”(Album Review)

全英1位・全米2位デビューを果たしたザ・エックス・エックス『I See You』の“ポップ・アルバムとしての力強さ”(Album Review)

 ロンドンの3人組バンド、ザ・エックス・エックス(先頃の12月に来日公演を行ったばかり)による約4年半ぶり3作目のアルバム『I See You』が、本国UKのナショナル・チャートで初登場1位、US・Billboard 200で初登場2位ほか、各国で軒並み目覚ましいチャート・アクションを見せている。先に20か国のiTunesチャートで1位を奪取しており、期待が高まっていた中での好成績だった。


 前作『Coexist』(2012)はUK1位・US5位を叩き出しており、またメンバーの一員であるジェイミー・エックス・エックスのソロ作『In Colour』(2015、バンド・メンバーのロミーとオリヴァーも参加)が高評価を得るという好ましい流れは出来ていたものの、新作『I See You』はザ・エックス・エックスという土壌に巻かれていた種子が一斉に芽吹き花を咲かせたような、ポップ・アルバムとしての力強く確かな息遣いを感じさせている。


 当初4人組でスタートしたザ・エックス・エックスは、デビュー時から独自の美学を堅持してきたバンドだった。繊細でセンシティヴな詩情を分かち合うオリヴァーとロミーの男女ヴォーカルがあり、音像も極めてミニマル。大きな声を張り上げるのではなく、あたかもか細い囁き声が他者の注意を引くようにして、存在感を高めていった。新作『I See You』において、その美学が何かにすり替えられたわけではない。先に触れたように、実直に育て上げられてきた美学が力強く花開いたのだ。そんなグループとしての物語と信頼感が、華々しいチャート・アクションの根拠を一部担っているところもあるだろう。


 2016年11月に発表された先行シングル「On Hold」は、冷め切ってしまった愛に思いを馳せる切ないナンバーであり、すれ違う男女の心情をロミーとオリヴァーがスイッチしながら歌い上げてゆく。無駄を削ぎ落としたトラックはしかしドラマティックに展開し、コーラス部にはホール&オーツによる80年代初頭のビルボードNo.1ヒット「I Can’t Go for That (No Can Do)」がヴォーカル・ループとして挿入されていた。ジェイミーの技ありなプロダクション含め、3人が完璧なトライアングルを形成した普遍的なラヴ・ソングだ。


 UKダブ/エレクトロの脈動を現代的に示して見せるアルバムの導入部「Dangerous」には邁進する覚悟と決意が刻みつけられ、「A Violent Noise」は叙情的でありながらもザ・エックス・エックスの潔癖なまでの主張が表れている。また、計算し尽くされたストリングス・アレンジが素晴らしいチェンバー・ポップ「Performance」や、美しいシンセ・リフレインに包まれながら進む「Brave for You」といったロミーの独壇場ヴォーカル曲も、それぞれリスナーにダイレクトに響く楽曲に仕上げられた。


 決意と覚悟、磨き抜かれた技術をもって、丸裸の人間性を突きつけリスナーを射抜く『I See You』(なんと直接的なタイトルだろう)は、リスナーそれぞれが“ポップ・ミュージックと向き合う時間”について考える機会ももたらしてくれる。だからなのか、配信版のアートワークには3人のシルエットが写り込んでいるけれども、CDのジャケット・アートワークはまるで鏡のように一面シルバーだ。これまで、ナイーヴな内省を続けてきたザ・エックス・エックスと同様に、リスナー一人一人が自分自身と出会い、深く見つめるためのポップ・ミュージックなのである。(Text:小池宏和)



◎リリース情報
アルバム『I See You』
2017/01/13 RELEASE
日本盤CD:2,590円(plus tax)
日本盤特典:ボーナストラック追加収録 / 歌詞対訳・解説書付き


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