大塚 愛『LOVE IS BORN』音楽好きに体感してほしい核心的ポップミュージック120分「生まれてきてくれてありがとう」

Billboard JAPAN

 2017年1月スタートのフジテレビ系ドラマ『嫌われる勇気』主題歌「私」や、様々なコラボレーションでも注目を集めている大塚 愛。12月21日にライブBlu-ray/DVD『LOVE IS BORN ~13th Anniversary 2016~』をリリースしたばかりだが、今作が音楽好きであれば誰もに一度は観てほしい内容となっている。

大塚 愛 キュートなライブ写真一覧


<TIME 00:00~06:02 豪華な混合編成「夕暮れの太陽の空 笑顔になる♪」>


 今作には、デビュー日と誕生日を祝う毎年恒例のアニバーサリーライブ【LOVE IS BORN ~13th Anniversary 2016~】、その初日(9月11日)の日比谷野外大音楽堂にて行われた東京公演の模様が収録されている。13周年=13=B=Bee。“蜂のようにブンブンいくよ”というお馴染みのダジャ……ユーモアなコンセプトのもと開催された本公演は、阿部登(Band Master/Manipulator)、光永渉(dr)、野村卓史(key)、須藤優(b)、HU(cho,dance)といった豪華生バンド&エレクトロの混合編成で行われ、そんな刺激的な音の群れの中心「B(13)」と記されたモニュメントから現れたヒロイン・大塚 愛は、満面の笑みで客席を指差しながら1stアルバムのオープニングナンバーでもある「pretty voice」を爽快に披露。アレンジは同メンバーによって2016年仕様へと進化しており、小気味良い生のリズムとスペーシーな電子音に包まれながら「夕暮れの太陽の空 笑顔になる♪」と(実際にはやや曇り空であったが、ムードは快晴!)歌い上げ、間奏では自らもマイク片手にピアノの演奏まで担ってみせる。


<TIME 06:03~37:50 音楽をあらゆる方向へと振り切れさせられる才能>


 「LOVE IS BORN ~ 13th Anniversaryへようこそ!」続く曲は「チケット」。旅立つ際のワクワクと切なさにも似たサウンドを浴びながら、HUのふたりと合わせて満員のファンが両腕を振り続ける光景は美しく、そこから畳み掛けられる「泡ガール」もポップでありながら幻想的なエレクトロアレンジが胸を締め付けてくる、そんな大塚 愛の音楽性における両翼を同時表現したかのような世界観に野音は支配される。「よくぞ、よくぞ、晴れさせたな。まぁ晴れ! っていう感じじゃないけど、でも完全に降ると思ってたよ。凄い、ほんま並ならぬこの会場の人のパワーを凄いなって……もう完全に私は降ると思ってました。(でも)まさかの……ちょっと怨念が凄すぎて(笑)。ありがとうございます!」と彼女らしく感謝の言葉をファンに贈ると、今度は自らギターを歪ませながら真剣な眼差しで「ひとりじゃなーい! ひとりじゃなーい!」とエモーショナルな歌声を響かせる。そんなこれまた涙を誘った「9」の後は、自然と心地良さそうに歌い踊り出す大塚さんの姿がチャーミングだった「ビー玉」「ハニカミジェーン」と続き、野音という空間がドラマティックにエロティックに溶け合えるだけ溶け合った「One×Time」の心地良さは、まるで魔法だった。その快楽から目を覚ますと日が落ちており、青と黒のグラデーションの中で切なげに「今すぐ会いたい 今、会いたい」「HEARTくすぐる 忘れないあの夏」と歌われた「HEART」の涙腺破壊力も強烈。音楽をあらゆる方向へと振り切れさせられれる大塚 愛の才能に改めて惚れ惚れする時間帯だった。


<TIME 37:51~54:05 大塚 愛の野音におけるバラード弾き語りは凄い>


 「いやぁー、もってるね。結構雨の歌うたったけど、もってる。皆さん、ちょっと疲れてきたでしょ? 知ってるで、いっしょに歳重ねてきてるやろ? 知ってんねんで、みんなも歳取ってることを!」と笑いを誘いつつ、ここからはピアノでの弾き語りタイムへ。「どうせならと思って新曲を。新曲をやっちまおうかなと思ってるんですけど」と、ほろ苦いラブソング「モノクロ」をお届けする。かつて恋をしていた人との再会、もう恋をしていたふたりはモノクロ、けれども大好きだったその人の笑顔はあの日のまま……そこで生まれるリアルな心情を爆発させるように歌い上げていく姿に、夏の終わりを告げる鈴虫の鳴く声も相まってか震えてしまう。続けて夏を見送るべく披露した「夏空」やかつてこの場で初披露した「ポケット」もそうだが、やはり大塚 愛の野音におけるバラード弾き語りは凄い。いつか『LOVE IS BORN ~ 野音弾き語りバラードコレクション』をリリースして頂きたいと思うぐらい、この威力や魅力をまだ知らない人たちへも届けたい音楽である。


<TIME 54:06~01:17:15 新たな【LOVE IS BORN】の形に歓んで呼応したみんなへ>


 そんな弾き語りブロックからの流れで自ら「君フェチ」のイントロダクションを弾き終えると、HUのふたりと妖艶でキュートな動きを見せながら「猫のようにじゃれてみせる」などエロティカルなキラーフレーズを連発。野音に集った老若男女を片っ端から骨抜きにしてみせると、今度は前衛的なコンテンポラリーダンスをキメキメで踊りながら、完全なるクラブミュージックへと変貌を遂げた「CHU-LIP」を披露し、みんなでダンシング! そこからチョップを象った光の映像演出と共にテクノポップバージョンの「妄想チョップ」、いよいよ降り出してしまった雨の中で狂乱的にオーディエンスもスタッフも一丸となってはしゃぎ倒したエレクトリック・ロック仕様の「ポンポン」、青い光に彩られた会場中から「もう1つ食べたいわ! もう1つ食べたいわ!」「もう1杯飲みたいわ! もう1杯飲みたいなぁ!」とシンガロングが巻き起こった「フレンジャー」とノンストップで畳み掛けていき、本編最後に抜いた伝家の宝刀「さくらんぼ」も野音がライヴでなくレイヴ会場に生まれ変わるほどのアレンジでお届け。誰もがその享楽的なダンスミュージックに身を預けながら、日本人であれば誰もが耳なじみのあるキャッチーなフレーズたちを次々とコール&レスポンス、そして大声で幸福感溢れるシンガロングを生み出していく光景は圧巻。ひとつの音楽的チャレンジ、新たな【LOVE IS BORN】の形に歓んで呼応してくれたみんなへと、最後は大好きな大塚 愛からの投げキッスがプレゼントされた。


<TIME 01:17:16~01:31:40 期待値がグンと高まる核心的ポップミュージック>


 鳴り止まない「もう1回!」コールを受けて再登場した彼女は、手作りの「aio」キャップを被ったファンを発見。気軽に「何? その帽子! 作ったん? 自分で。えー、すごーい! ちょっとかぶってみてもいい?」と声をかけ、その借りたキャップをステージ上で試着するという自然体過ぎる立ち振る舞いに歓声が上がる。そして「今ですね、次のアルバムを絶賛制作中でございます」との報告に更なる喜びの声と拍手が。「その中から今日は2曲、聴いて頂こうかなと思うんですが……」「やっぱり和。日本に住んでいるという、その和を今一度楽しく。そして私は東京に出てきてから14年になりますけど、もうちょっと経ったら(東京が)第二の故郷として認定されるかなっていう。そうなってきた訳でね、東京を愛していこうかなと思っている訳であります」と語り、和装で「TOKYO散歩」なる新曲を。さらに「娘を生んで、娘といっしょに過ごして、本当に娘の力をいっぱい感じるようになってきてですね、娘の目線で物事を見れたりとか、もう一度自分の中に本当はあったはずなのにいつの間にか大人になって忘れてしまったかのような感情、いろんなワガママ、思った限りの欲情、そういうのを全面に出した可愛らしい歌になってる」と「HEY!BEAR」なる新曲を立て続けに披露。いずれも2017年の大塚 愛への期待値がグンと高まる、ここ数年の活動の先に見据えていると思われるひとつの完成形を匂わせる、新たな核心的ポップミュージック。イチ早くライブBlu-ray/DVD『LOVE IS BORN ~13th Anniversary 2016~』で聴くことが出来るので、新アルバムのリリースを待ちきれない人はぜひチェックしてみてほしい。


<TIME 01:31:41~「生まれてきてくれてありがとう」>


 「さぁ皆さん、鈴虫がビンビン鳴いております。そろそろ終わりの時間になりました」と言いながら、少しでもたくさんファンとのコミュニケーションタイムを過ごすべくひとりひとりの話に耳を傾けていく大塚さん。その中で「誕生日おめでとうございます!」と言われ、「あ、忘れてた!」と同ライブの趣旨を最後の最後で思い出すまさかの展開。「同じ歳ぐらいの人だったら分かってくれると思うんやけど、もう自分の歳が分からなくなってくる(笑)。「誕生日いつやっけ?」みたいな。子供を生んだからかもしれないですけど、子供の誕生日のほうがすごく大事な日に思えちゃって、子供の誕生日が近づいてくると「なんかせな!」ってなるんですけど、自分の誕生日は早く寝たい!」と笑いを誘いつつも、「こんなにたくさんの人に祝福してもらえる、本当に有り難いこと。毎年毎年、本当にありがとうございます」と感謝の言葉を告げた上で【LOVE IS BORN】を「みんなの誕生日を一斉に祝う会でもある、ということにしませんか?」と提案。そして「生まれた子供は本当に宝物なんです。つまり自分も親にとってとっても宝物なんです。誰ひとり無駄な命はございません。ということを本当に強く感じています。本当に皆さん生まれてきてくれてありがとう」と、今日という素晴らしい日を祝して恒例の「Birthday Song」を歌おうとするのだが、ここでサプライズ!


 バンドメンバーとオーディエンスによる「HAPPY BIRTHDAY TO YOU」の大合唱、そして豪華バースデーケーキのプレゼント! なかなか火が消えないアクシデントがありつつも、それすらもスッコケコントに昇華しながらみんなと笑顔で記念撮影まで楽しんだ。そして「この素敵な夜に乾杯!」と満を持しての「Birthday Song」へ。より軽快なポップチューンへと進化した同曲をみんなで幸福感いっぱいに歌い上げていく。カメラマンにまでマイクを直接向けて歌ってもらう大塚さん。そんなハッピーの限りを堪能した後は「さぁみんなで笑顔になって帰ろうぜぇぇ!」と、アーバンかつ疾走感溢れるアレンジが施された「SMILY」を披露。みんなと文字通りスマイリーな顔を合わせながら、楽しげに手を振り合いながら「今までにない 幸せ者になる」「笑って笑って 君と明日 会いたい」と、今このシチュエーションにピッタリなフレーズばかりを歌い響かせて、今年もたくさんの愛を生みまくった宴を締め括った。


 「生まれてきてくれてありがとう」と彼女は言ったが、ここまで音楽的にもエンターテインメント的にもコミュニケーション的にも有意義で幸せな【LOVE IS BORN】を生んでくれたこと、あの場に居合わせたひとりとして「ありがとう」と伝えたい。そしてあの場に居合わせられなかったすべての音楽好きにも『LOVE IS BORN ~13th Anniversary 2016~』、音楽本来の魅力が全部詰まっているこの約120分をぜひ体感してほしい。


取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:田中聖太郎


◎リリース情報
ライブBlu-ray/DVD『LOVE IS BORN ~13th Anniversary 2016~』
2016/12/21 RELEASE
<Blu-ray>AVXD-92421 5,800円(tax out.)
<DVD>AVBD-92420 4,800円(tax out.)
<CD>AVCD-93549~50 2,800円(tax in.)
初回盤のみ:特殊クリアジャケット仕様
収録内容:
01.pretty voice
02.チケット
03.泡ガール
04.9
05.ビー玉
06.ハニカミジェーン
07.One×Time
08.HEART
09.モノクロ(新曲)
10.夏空
11.君フェチ
12.CHU-LIP
13.妄想チョップ
14.ポンポン
15.フレンジャー
16.さくらんぼ
En1.TOKYO散歩(新曲)
En2.HEY!BEAR (新曲)
En3.Birthday Song
En4.SMILY
特典:大塚 愛 オーディオコメンタリー(副音声)
※CDには特典は付きません。

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