ドアーズの初期ライブ音源を収録した『ロンドン・フォグ1966』がリリース、ロビー・クリーガーが当時を振り返る
ドアーズの初期ライブ音源を収録した『ロンドン・フォグ1966』がリリース、ロビー・クリーガーが当時を振り返る

 デビュー・アルバム発売から50周年の2017年を目前に、ドアーズの初期ライブ音源を収めた限定盤『ロンドン・フォグ1966』がリリースされた。(日本盤は2017年2月8日発売)

 18,000枚限定の『ロンドン・フォグ1966』には、ブルースのカバー、「ストレインジ・デイズ」や「ユー・メイク・ミー・リアル」の初期バージョンなど7曲が収録されている。これらの楽曲はドアーズがロサンゼルスのサンセット・ストリップにあったクラブ、ロンドン・フォグで活動していた頃に録音されたもので、バンドはその後、ウィスキー・ア・ゴーゴーに拠点を移し、刺激的なライブ・アクトとして名声を不動のものにする。

 結成したばかりのドアーズが経験を積んだロンドン・フォグで録音された音源は、ギタリストのロビー・クリーガーとドラマーのジョン・デンズモアにとっても新しい発見だったそうだ。「自分が聴いたことあるドアーズの音源の中で最も古い。ワクワクするね」とクリーガーが米ビルボードに話した。

 「俺らは当然まだ駆け出しだった。結成してまだ6か月から8か月くらいだったかな。もしかしたら1年くらい経っていたかもしれない。俺たちのサウンドをまだ見つけられてなかった。まだカバーばかり演っていて、レイ(マンザレク)はたくさん歌っていて、ジム(モリソン)はまだ少しシャイで自分の殻を破ってなかった。でも聴けば俺たちだって分かる」と彼は説明する。

 ドアーズ・ファンにとっては嬉しいことに、もしかしたら近い将来、この頃の音源をもっと聴けるかもしれない。「まだ見つかってないのが結構ある筈なんだ」と、いずれドアーズのクラシックとなる「ハートに火をつけて/Light My Fire」や「ジ・エンド」などの初期バージョンが入ったテープの存在を明かした。「あの晩のステージの半分しかまだ聴けてないんだよ。(残りの録音は)今探している最中なんだ。見つかっていないテープの方にクールな曲がほとんど入ってるから見つかるといいな。(スタジオで)レコーディングする前の演奏が聴けたら、曲がどれだけ変わったのかが分かって面白そうだよね」とクリーガーは話した。

 例えば「ハートに火をつけて」の場合、バッハの影響が感じられるイントロ部分はもともと曲の中盤にしかなく、1967年にリリースされたバージョンのように最初、中盤、最後に含まれてはいなかった。

 ロンドン・フォグで演奏した日々は、曲を生み出すにはいい環境だったとクリーガーは回想する。ライブに客が全く集まらなかったからだ。「“俺らはここをいっぱいにできる。友達がたくさんいるから”とかなんとかクラブの人を言いくるめてライブをさせてもらってた」と彼は明かす。「初日はUCLAの友達をみんな呼べたから100人以上はいたかな。クラブの人は大喜びしてた。でも当然ながら次の晩は誰も来なくてさ。2人くらいしか…とにかく、それから1、2週間はそんな調子だった。そんな状態が続いて落ち込んだけど、誰もいなければ、客が踊れるかとかどう思われるかとか悩まなくてもよかった。ただステージがあって、サンセット・ストリップで演奏できて、自分たちの音楽を追求できて楽しかった。ライブ・リハーサルみたいに捉えてたんだ」と話した。

 『ロンドン・フォグ1966』のリリースに続き、2017年にはデビュー・アルバム発売50周年を記念する計画も進行中だと彼は話す。まだ詰めてはいないものの、「アイデアはいくつかある。まだ話せないけど、ドアーズがらみでクールなことがきっと色々起こるよ」とクリーガーは明かした。自身もソロ・アルバムをリリースする予定だ。

 クリーガーは更に、ドアーズの大規模なトリビュート・フェスティバルがロンドンで計画されていることを認めた。また、2016年2月12日に開催されたマンザレクのトリビュート・ライブ『ア・セレブレーション・フォー・レイ・マンザレク』の映像をリリースしたいと考えているようだ。「LAでもきっと何かしらやると思う」と彼は話す。

 「50年経った感じが全然しないんだ。俺とジョンがレイのトリビュートで演奏した時も、まるで昨日のことように感じたし。ドアーズの曲は長い間演奏してきたし、好きでいてくれる人がたくさんいるから、俺には生き生きとして感じられるんだ」。