【米ビルボード年間ソング・チャート】ジャスティン・ビーバーが1&2位を制す、計5曲がエントリーし“今年の顔”に
【米ビルボード年間ソング・チャート】ジャスティン・ビーバーが1&2位を制す、計5曲がエントリーし“今年の顔”に

 米ビルボード・ソング・チャート、2016年の年間チャートは、ジャスティン・ビーバーの「ラブ・ユアセルフ」が首位に輝いた。

 2月17日付ソング・チャートでNo.1をマークし、首位獲得は1週のみだったものの、45週間ランクインし続ける、異例のロング・ヒットを記録したことが、年間首位に輝いた理由として挙げられる。また、2位には「ソーリー」が続いてランクインし、今年はジャスティン・ビーバーがワンツー・フィニッシュを飾る快挙を成し遂げた。この2曲の大ヒットは、ミュージック・ビデオの視聴回数が最大の要因といえる。「ラブ・ユアセルフ」は10億回、「ソーリー」は20億回という凄まじい視聴回数を記録していて、昨今のヒット曲の傾向は、やはりストリーミング・ポイントにあると言えるだろう。

 ジャスティン・ビーバーは、25位にメジャー・レイザーとの「コールド・ウォーター」、31位に「ホワット・ドゥ・ユー・ミーン」、47位にDJスネイクとの「レット・ミー・ラブ・ユー」の計5曲を年間チャートに送り込み、アルバム『パーパス』も、年間アルバム・チャートで3位にランクインする大ヒットを記録。まさに、今年の顔といえる大活躍をみせた。

 5月から通算10週のNo.1をマークした、ドレイクの「ワン・ダンス feat.ウィズキッド&カイラ」は、3位にランクイン。同曲が収録されたアルバム『ヴューズ』は、通算12週のNo.1をマークし、年間アルバム・チャートで2位にランクインしている。ジャスティン・ビーバーと共に、2016年を代表するアーティストとして大活躍したドレイクは、年間シングル・チャートTOP100位内、計8曲をランクインさせる大活躍をみせた。そのうちの2曲「ワーク」と「トゥ・グッド」は、復縁が囁かれたリアーナとのコラボレーションだ。

 そのリアーナは、4位に「ワーク」、13位の「ニーデド・ミー」、17位の「ディス・イズ・ホワット・ユー・ケイム・フォー」(カルヴィン・ハリス feat.リアーナ)、29位に「トゥ・グッド」(ドレイク feat.リアーナ)の4曲をランクインさせていて、1月にリリースしたアルバム『アンチ』も、年間アルバム・チャートで5位にランクインしている。

 2016年、大ブレイクを果たした、トゥエンティ・ワン・パイロッツは、5位に「ストレスド・アウト」、20位に「ライド」、21位に映画『スーサイド・スクワッド』に起用された、「ヒーサンズ」の3曲をランクインさせた。彼らの4thアルバム『ブラーリーフェイス』も、リアーナに続き、年間アルバム・チャート6位にランクインする大ヒットを記録している。

 今年、大ブレイクしたもう1組のアーティスト、ザ・チェインスモーカーズは、8位に「ドント・レット・ミー・ダウン feat. デイヤ」、10位には、通算12週のNo.1をマークした、「クローサー feat. ホールジー」の2曲がランクイン。「クローサー」は、ランクインしてから集計期間終了(11月最終週)まで、15週という短い期間だったにもかかわらず、10位にランクインしている。集計期間が2017年と分散しなければ、更に上位にランクインしていただろう。

 7位にランクインした、アデルの「ハロー」も、2015年の集計期間と割れてしまったため、予想よりはやや低い順位となってしまったが、本来は年間No.1獲得も期待できるほどの大ヒット(10週連続首位)を記録している。アデルは、アルバム『25』が年間チャート首位を獲得していて、2017年2月13日に開催される【第59回グラミー賞】では、主要部門を総ナメにするのではないかと、音楽評論家たちの間で囁かれている。

 新星ラッパー、デザイナーのデビュー曲「パンダ」(6位)、今年メジャー・デビューを果たした、ルーカス・グラハムの「7イヤーズ」(12位)、今年の夏、プロモーション来日で日本のファンを熱狂させた、ガールズ・グループ、フィフス・ハーモニーの「ワーク・フロム・ホーム」(16位)、ジョー・ジョナス率いる新人バンド、DNCEの「ケーキ・バイ・ザ・オーシャン」(18位)など、特に若手の勢いが凄まじかった、2016年のソング・チャート。TOP20以下でも、元ワン・ダイレクションのゼイン(22位)や、ショーン・メンデスが23位、28位に続けてランクインするなど、年間チャート上位にランクインしたのは、ここ2、3年の間にデビューしたア―ティストばかりだった。

 一方、ベテラン勢では、5月にNo.1デビューを果たした、ジャスティン・ティンバーレイクの「キャント・ストップ・ザ・フィーリング!」が9位にランクイン。2000年初頭に大ブレイクした、レゲエ界の貴公子こと、ショーン・ポールがゲスト参加した、シーアの「チープ・スリルズ」は11位に、14位には、ラッパー、フロー・ライダーの「マイ・ハウス」が、33位には、映画『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』の主題歌に起用された、ピンク(P!NK)の「ジャスト・ライク・ファイア」などがランクインした。しかし、若手の勢いに比べると、ベテラン勢のヒット曲は少なく、往年のスターたちのシングルがヒットしないのは、先述にもあった「ストリーミング・ポイント(視聴回数)」が獲得できないことが、理由として挙げられる。

 2016年のヒット曲の傾向としては、「ラブ・ユアセルフ」(1位)や「クローサー」(10位)、「7イヤーズ」(12位)、「アイ・トゥック・ア・ピル・イン・イビサ」(15位)など、テンポの速い楽曲よりも、ミッドテンポや、メロウ系のタイトルに人気が集まったこと。また、「ソーリー」(2位)や「ワン・ダンス」(3位)、「ワーク」(4位)など、アップテンポの楽曲は、ダンスホールやトロピカル・ハウスといった、南国っぽさを感じさせるナンバーが、今年の流行だったといえる。


Text:本家一成

◎【Billboard HOT 100】年間チャート2016 トップ10
1位「ラブ・ユアセルフ」ジャスティン・ビーバー
2位「ソーリー」ジャスティン・ビーバー
3位「ワン・ダンス feat.ウィズキッド&カイラ」ドレイク
4位「ワーク feat.ドレイク」リアーナ
5位「ストレスド・アウト」トゥエンティ・ワン・パイロッツ
6位「パンダ」デザイナー
7位「ハロー」アデル
8位「ドント・レット・ミー・ダウン feat.デイヤ」ザ・チェインスモーカーズ
9位「キャント・ストップ・ザ・フィーリング!」ジャスティン・ティンバーレイク
10位「クローサー feat.ホールジー」ザ・チェインスモーカーズ