【FM802 MINAMI WHEEL 2016】ライブレポ by FM802 DJ 鬼頭由芽 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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【FM802 MINAMI WHEEL 2016】ライブレポ by FM802 DJ 鬼頭由芽

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【FM802 MINAMI WHEEL 2016】ライブレポ by FM802 DJ 鬼頭由芽

【FM802 MINAMI WHEEL 2016】ライブレポ by FM802 DJ 鬼頭由芽

 FM802が毎年秋に行う【Play Station Music presents FM802 MINAMI WHEEL 2016】が今年も10月8日、9日、10日に開催された。
大阪の「ミナミ」と呼ばれる一帯に点在するライブハウス20ヶ所で合計400組を超えるアーティストが出演し、パスを持ったお客さんは自由に会場を行き来することができる。大阪の街を散策しながら新たな音楽との出会い楽しめるサーキットフェスとして今回で18回目を迎えた。

ミナホレポート第ニ弾はFM802 DJ 鬼頭由芽!
担当番組:『ROCK KIDS 802 FRIDAY』(FRI.21:00-23:48)
『ROCK KIDS 802 SATURDAY』(FRI.21:00-23:48)

<1日目>
今年はイベントスタートの14時より早くからミナミが騒然となった。
エリアの中心にあるアメリカ村の通称「三角公園」のリビアビジョンで、正午からグッドモーニングアメリカのゲリラライブが行われていたのだ。13時からは、ミナホ本編にも登場するアルカラが「勝手にミナホの開会宣言をします!」とHPで突如告知し、同じくリビアビジョンでゲリラライブを敢行。繁華街のど真ん中にある街頭ビジョンの裏側からステージが出現し、爆音がミナミの街に轟く。二組立て続けの嬉しいサプライズに街中のあちこちからは凄まじい歓声が。嵐のように二曲を演奏すると、稲村太佑(Vo,Gt)とお客さんによる「ミナミ!」「ホイール!」のコール&レスポンスで、華々しく三日間の幕が上がった。

初日、BIG CATのオープニングを飾ったのはsumika。「ミナホ初登場sumikaです!」と爽やかな笑顔でまず演奏するのは「Lovers」軽快なリズムで、瞬時に客席も笑顔が伝播していく。一番大きな会場のトップバッターということで相当なプレッシャーを感じていたという片岡健太(Vo,Gt)。「でもみんなの顔を見たら安心しました!」という言葉に温かな拍手が送られる。「ソーダ」で手拍子が起こると、「カルチャーショッカー」「ふっかつのじゅもん」と観客参加型のキラーチューンが続く。「48時間も大阪にいて演奏するのが35分なんて正直、割に合わない(笑)でもだからこそ、この35分間はご褒美みたいなもの。『今しかないからこそ伝えたい』という気持ちを込めて…」と最後は「伝言歌」を大合唱。ワンマンライブのような一体感で締めくくり、「一生忘れられないミナミホイールになりますように!」と、トップバッターとしてしっかりオープニングを彩った。

 この日、RIRIやAnlyなど女性ボーカリストファンにはたまらないラインナップとなったLive House Pangeaでは、フレッシュな女性アーティスト・ロザリーナも出演。金髪のショートヘアと大きな瞳がとても印象的。華奢な体に真っ白な衣装を纏い、少年みたいなピュアな歌声を披露する姿は妖精のよう。初めはちょっぴり緊張感を漂わせたアコースティックセットでその歌声を聞かせると、「モウマンタイ」で一気に空気を和らげる。「12月7日にミニアルバムを出すことが決まりました!」と嬉しそうに報告する様子も微笑ましい。ラストは「怪獣音頭」の、盆踊りを思わせるユニークなメロディで会場を躍らせ、なんともHAPPYなムードで包み込んでくれた。

 この日は個人的にBIG CATで気になるバンドが続いていたので少し会場が偏ってしまうが、続いてはヤバイTシャツ屋さんのステージへ。ライブが始まる前にまずはメンバー全員が登場し、模造紙を使って彼らの住む「喜志駅」という場所について説明を始める。そして一旦、はける。すでに他のバンドにはないヤバイ空気ムンムンである。そして開始時刻に改めて登場し直し、一曲目は「喜志駅周辺なんもない」。さっきのネタふりのおかげで初っ端から会場は見事、笑いの渦に。その後もトークで惹きつけては曲で盛り上げる…という彼ららしいペースでどんどんフロアを巻き込んでいく。最後は「スプラッピスプラッパ」。去年のミナミホイールから念願叶ってのBIG CATで、汗と笑いが噴き出すヤバTワールドをしっかり作って見せた。

 爆笑をかっさらったヤバTのライブから、ガラリと空気を変えたのはMy Hair Is Bad。彼らのロゴTシャツが客席に溢れかえっていたことからもが注目度の高さがわかる。「アフターアワー」に始まり、続く「彼氏として」では椎木知仁(Vo,Gt)が鬼気迫る様子で矢継ぎ早に言葉を繰り出し、会場を圧倒。「今日この時間をえらんだことを絶対に後悔させないので、楽しんでください!」という叫びにも大歓声があがる。最新アルバム「woman's」から「告白」で更に盛り上げると「フロムナウオン」で再びまくしたてるように客席へ言葉を放ち、熱量を上げていく。「ライブハウスへようこそ!ライブハウスで俺たちは頑張ってます!ライブハウスで…!」と何度も叫ぶ姿に、ライブバンドとしての誇りと想いがこれでもかというほど伝わってきた。

 初日のラストは南堀江knaveのアルカラへ。神戸でネコフェスを開催している彼らは、同じサーキットフェス主催者として「エリアの中心から外れた会場は客足も遠のきがち」という実感があり、敢えて今回はミナホ最西端のkneveを志願したそう。エリアの端でもしっかり満員に埋まった客席を前に「プレゼント持ってきたでー」と新曲も披露してくれた。豪快な銅鑼の音と共に響く「炒飯MUSIC」だ。中国語で歌われる呪文のようなフレーズたちが更に観客をハイにしていく。稲村太佑(Vo,Gt)が「knaveはやっぱり遠いなぁ」「あと30秒で着きますっていう看板からさらに二分半もかかったわ!笑」と軽口を叩きつつ、さすがの迫力満点な演奏で畳みかけ、この日のミナホ最西端は最後の最後まで大盛り上がりとなった。

<2日目>
次の日、今度はEAST AREAへ向かい、Music Club JANUSのSANABAGUN.へ。一曲目の「人間」から、ギター、ベース、ドラムにサックス、トランペット、キーボードが加わった分厚いサウンドで会場を震わせる。紫のライトに照らされたミラーボールが昼間と思えない夜遊び感を醸し出し、フロアの高揚感もMAX。岩間俊樹(MC)が痛快なラップを披露する「大渋滞」、高岩遼(Vo)が甘く低い歌声を響かせる「Stuck IN Traffic」という、対になる2曲で縦にも横にも客席を揺らした後は、ラストチューンの「Warning」。グルーヴィかつスピーディな演奏でこれでもかと会場を煽り、「撮影タイムだー!」と観客にカメラを向けさせたかと思えば、「俺らがSANABAGUN!」とバッチリきめて、圧倒的なバンドの勢いを見せつけた。

 去年47都道府県ツアーも敢行し、こちらも勢い抜群のセプテンバーミーは心斎橋SUN HALLに登場。開始時間になりライブスタートかと思いきや、メンバーは暗いステージの上で、時間が止まったように全く演奏を始めない。無音の時間が続く。客席がざわつきはじめるとようやく、ドイヒロト(Vo,Gt)が「ミナミホイール、色んなアーティストを見て、色んな音楽を聴いたと思います!が、今ので一旦全部忘れて、セプテンバーミーのライブを楽しんでください!」と演奏スタート。まず観客の感覚をリセットさせるという斬新な演出から「妖怪ダンス」「君と宇宙でスリーアウトチェンジ」と一気に加速していく。「アーティストが良い曲をやるのは当たり前、かっこいいライブをやるのも当たり前。その上でセプテンバーミーが特別だったって言わせたい」というのはこの日のドイのMC。これだけの出演アーティストがいるイベントだからこその闘志の籠もった言葉と演奏が熱く響いた。

 そのままamericamura FANJ twiceのフレンズへ行くと、こちらは非常にアットホームで緩やかなムードが漂っていた。おかもとえみ(Vo / 科楽特奏隊、ex.THEラブ人間)、ひろせひろせ(Vo,Key / nicoten)、三浦太郎(G,Cho/ex.HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、長島涼平(B / the telephones)、SEKIGUCHI LOUIE(Dr / ex.The Mirraz)という、これまで別のバンドでキャリアを積んできた豪華メンバーによる新バンドだ。キュートでマイペースなおかもとえみの発言にひろせひろせがツッコミを入れ、終始笑いの絶えないMCタイム。バンド名の通り、メンバー間も客席とも、とてもフレンドリーな距離感でライブが進む。「Love,ya!」では「パラパーパーパーパー♪」というご機嫌なコーラスに合わせみんなで手を振り、カラフルなポップサウンドで楽しませてくれた。

 一方BIG CATでは雨のパレードが登場。まず一曲目は「new place」。透明感のあるサウンドに福永浩平(Vo)のファルセットボイスがよく映える。「Tokyo」を演奏する前には「上京して五年近く経ちましたが本当にまだまだで…色々と悔しい毎日を送っておりますが、本気で日本の音楽シーンを変えようと思っているのでついてきてください」と力強い言葉も。続けて披露された新曲ではその言葉を裏打ちするかのようにこれまで以上にパワフルな歌声を聞くこともできた。「音楽に助けられた時期があって、俺も音楽で助ける側になれたらなと思っていて…メジャー1stシングルのタイミングでそういう歌詞に挑戦してみようと思い、書いた曲です。僕なりに人の支えになればいいなと思って書きました」とラストに演奏されたのは「You」。雨パレと言えば涼しげで美しいメロディが印象的だが、この日はそれに加え、メンバーの強い想いや熱い言葉も存分に感じられるライブとなった。

<3日目>
 さて、初めの二日間は基本的に各時間、一つのアーティストをじっくり見るスタイルで参加していたが、気持ちの赴くままにひたすらライブハウスをハシゴしてみるのもミナミホイールの醍醐味の一つ。三日目は時間の許す限り、できるだけたくさんのアーティストを回ってみた。

まずはこの日、アメリカ村DROPのオープニングだったAge Factory。まるでミナホ最終日の始まりに気合いを入れ直してくれるかのように、清水エイスケ(Vo,Gt)が一曲目「Seventeen」から声を枯らさんばかりに歌い叫び、切れ味抜群の鋭いギターを轟かせる。タイトル通り黄色い光の中で歌われた「Yellow」、この季節によく似合う「金木犀」は激しくも哀愁たっぷり。ヒリヒリとした危うい切なさが、多くのロックファンの心を締め付けて掴んだはず。

 続いて心斎橋SUNHALLにて溺れたエビ!数年前、ミナホ開催中の街中で他の若手アーティストたちがビラやCDを配る中、発光しているエビ(のマスク)の大群がエレクトリカルパレードのように練り歩いていたことがあった。それが彼らとの出会いだった。個人的にかなり気になっていたバンドをようやくこの日初体験。会場に入るとすでにステージの上ではカラフルに光るエビたちがフロアを躍らせている。ファンクも取り入れた小気味の良いテクノミュージックで、みんな楽しそうにリズムを刻んでいるが、よく見るとステージ上のエビたちが一番気持ち良さそうに揺れている。耳からも目からもキョーレツなインパクトを感じるステージだった。

 LIVE HOUSE BRONZEではSTANCE PUNKSのライブが最高潮に達していた。まだまだお昼の2時30分。「パンクやる時間じゃねえぞ(笑)」とこぼしつつ、メンバーも観客もすでに汗だく。超満員のパンクキッズで熱気ムンムンの中、彼ららしいアグレッシブなサウンドを爆発させていく。曲間に息を切らしながら、ふと「ライブハウスはいいなぁ」とため息交じりにつぶやかれた言葉に胸が熱くなった。ラストは「モニー・モニー・モニー」をシンガロング!パンクで暴れる楽しさを刻み付けてくれた。

 その後、心斎橋AtlantiQsに登場したのはシンガーソングライターの金木和也。弾き語りで「不幸だった」からの「No Rain, No Rainbow」でまずはその真っ直ぐな優しい歌声を聞かせると、MCで「この三人でやる時が一番CDと違うって言われます(笑)」と笑顔をこぼす。彼のライブ編成の中では「一番やんちゃな三人」というメンバーでのこの日のライブは、確かにCDで聞く印象よりどの曲もかなりロックテイスト。「ラッキー」も心なしかテンポ早めで「ラッキーなくらいさ、ちくしょう!」のシャウトが冴えわたる。ストリートライブもこなす彼ならではの近い距離感でしっかり客席を温めてくれた。

 ここでLIVE HOUSE BRONZEに戻り、続いては大阪の女子3人組バウンダリー。関西の音楽ファンとしては、今年3月、BIG MAMAの10代限定ツアー大阪公演の対バン相手の座を見事射止めたことも記憶に新しく、今まさに注目度急上昇中のバンドの一つだ。会場はもちろん満員御礼。ゆき(Vo,Gt)は、「さっきお昼ご飯食べてる時はネガティブなことばっかり考えちゃってたんですけど…」と初のミナホ出演に不安だった気持ちを覗かせつつ、「でもここに立ってそんなこと関係ないなって思えました!」と満面の笑み。初々しくも元気いっぱいのMCに客席も自然と笑顔が溢れる。関西弁炸裂のキュートなトーク部分とは打って変わって、演奏ではビシっと刺激たっぷりのロックをお見舞いし、甘×辛なガールズパワーを炸裂させた。

 そのまま東へ移動し、今度はOSAKA MUSEの赤色のグリッター。会場に入るとまず、佐藤リョウスケ(Vo,Gt)の赤い髪と赤いチェックのシャツが目に飛び込む。「海より」のコーラスをみんなで振り付きで歌い、一体感もばっちり。しかしそんなポップな曲で盛り上げたかと思えば、お次は「愛の舌打ち」を切り付けるように激しく切なく歌い上げ、見ている私たちの感情を揺さぶる。「ただ楽しく踊ってるだけじゃ意味がないと思うので、今一番伝えたいことを歌います」と最後に演奏したのは「泣くなよ」。「楽しい!」だけじゃない、様々な気持ちを引き出すライブを見せてくれた。

 と、3日目はこれだけのアーティストを見て、ここまででたった3時間!
こんな風に気になるライブをどんどん渡り歩いてみるのもこのイベントの贅沢な楽しみ方かも。

なんせ今年もたくさんのアーティストが出演していたため、私がここでレポートできたのは本当にほんの一部だけ。会場数は20ヶ所。出演アーティストは400組以上。楽しみ方は無限大。こんなごく一部のライブレポートだけじゃ物足りない!というあなたは是非、来年こそ自分の目と耳と足で、新しい音楽との出会いを果たしていただきたい。今年は天気にも恵まれ、お散歩気分でライブもご飯もショッピングも満喫することができ、音楽はもちろん「ミナミ」という街全体を味わい尽くせた人も多かったはず。また来年も、ここミナミの街で、お待ちしています!

Text by FM802 DJ 鬼頭由芽

◎イベント概要
【Play Station Music presents FM802 MINAMI WHEEL 2016】
開催日:2016年10月8日(土)・10月9日(日)・10月10日(月・祝)
会場: knave / club vijon / hills パン工場 / AtlantiQs / KINGCOBRA / DROP / americamura FANJ twice / BIG CAT / SUN HALL / BRONZE / CLAPPER / Pangea / VARON / OSAKA RUIDO / OSAKA MUSE /CONPASS /FootRock&BEERS / FANJ / JANUS / soma
主催:FM802 / MINAMI WHEEL2016 事務局
(事務局構成団体 = FM802 / 大阪ウドー音楽事務所 / キョードー大阪 / GREENS CORPORATION / サウンドクリエーター / 清水音泉 / スマッシュウエスト / ソーゴー大阪 / ページ・ワン / 夢番地)
イベントHP:http://minamiwheel.jp/
Twitter:@minamiwheel(#ミナホ #MW16)
Facebook:https://www.facebook.com/minami.wheel/
お問い合わせ(一般):FM802 リスナーセンター info@funky802.com


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