ゲイリー・オールドマンの映画デビュー作『シド・アンド・ナンシー』30周年デジタル・リマスター版で上映
ゲイリー・オールドマンの映画デビュー作『シド・アンド・ナンシー』30周年デジタル・リマスター版で上映

 シド・ヴィシャスと恋人ナンシー・スパンゲンの愛と生涯を描いたドキュメンタリー映画『SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー』の公開に合わせ、ゲイリー・オールドマンがシド・ヴィシャスを演じた『シド・アンド・ナンシー』の30周年デジタル・リマスター版が上映される。

映画『シド・アンド・ナンシー』劇中カット

 アレックス・コックス監督による本作は、シド・ヴィシャスの死から7年経った1986年に公開され世界中で大ヒットを記録。イギリス国内に限らず世界中でセックス・ピストルズの人気を再浮上させた。ピストルズを知らない若い世代にもバンドは広く認知されるようになり、特にラブストーリーという側面においては、恋に身を焦がし薬に溺れていくシドとナンシーの姿が強烈な印象を与えた。

 シド・ヴィシャスを演じ映画デビューを果たしたゲイリー・オールドマンは、細身のシドに似ている様に見せるため大幅な減量を行い、シドの実の母親に何度も会いに行くなど、徹底した役作りで撮影に臨んだ。本作でオールドマンが魅せた演技はファンからも高く評価され、完成した映画を見たシドの母親に「息子が蘇った」と言わしめる程のものだった。

 セックス・ピストルズ、また、シド・ヴィシャスにとって有名すぎるシーンの再現は大きな見どころであり、『my way』のプロモーションビデオやテムズ川のボートでのゲリラライブ、剃刀で胸に刻んだメッセージなど、ファンには嬉しい映像が続々登場。オールドマン以外にも、ザ・ストゥージズのイギー・ポップや、カート・コバーンの妻であるコートニー・ラブなど、豪華キャストが脇役として顔をそろえ、さらには音楽をザ・クラッシュ」のジョー・ストラマーが担当しており、音楽ファン必見の作品となっている。

 しかし一方で、シドとナンシーの死を美化した内容に、セックス・ピストルズのメンバーであったジョニー・ロットンやニューヨーク・ドールズのジョニー・サンダースら、実際にシドと交流があったアーティストたちが、辛辣で批判的なコメントを残しており、大きな波紋を呼んだ作品でもある。

 なお、本作は、映画『SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー』と同じく、2016年12月17日より新宿K's cinemaほかで全国公開となる。


◎映画『SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー』
2016年12月17日(土)より新宿K's cinema、渋谷ユーロスペースほか公開
監督:ダニー・ガルシア
脚本:ダニー・ガルシア、ブレット・ダンフォード
出演:シド・ヴィシャス(Sex Pistols)、ナンシー・スパンゲン、シルヴェイン・シルヴェイン(New York Dolls)、リー・ブラック・チルダース、ボブ・グルーエン(写真家)、マルコム・マクラーレンほか
配給:キュリオ・スコープ
宣伝:アンプラグド
2016年/スペイン/英語/94分/16:9HD/DCP/PG12(C)2016 Chip Baker Films