【かわさきジャズ2016】アニソンとジャズの相乗効果が世代や国境を超える。プラチナ・ジャズ・オーケストラの川崎公演をレポート
【かわさきジャズ2016】アニソンとジャズの相乗効果が世代や国境を超える。プラチナ・ジャズ・オーケストラの川崎公演をレポート

 11月11日から11月20日までの10日間にわたって、川崎市内の複数会場で開催されるジャズフェスティバル【かわさきジャズ2016】。11月19日、ミューザ川崎シンフォニーホールにてプラチナ・ジャズ・オーケストラ presented by ラスマス・フェイバーの公演が行われた。

 本公演の会場は、約2,000人収容の大ホール。中央のステージを360度取り囲むワインヤード形式で、ステージは2部構成となっていた。会場には老若男女問わずアニソン・ジャズのファンが集まった。開演時間を迎えるとメンバーが登場し、お馴染みの「ハッピー☆マテリアル」からステージは幕を開けた。

 プラチナ・ジャズにとって欠かせない人物、プロデューサーのラスマス・フェイバーも初めて訪れる会場に驚きと感動を覚えた様子で、公演中には何度も「今日は川崎まで来てくれて、ありがとう。本当に嬉しいです。」と感謝を述べたり「360度どの方向にもお客さんがいるね!素晴らしい会場だよ。」と終始、嬉しそうな表情を浮かべていた。

 プラチナ・ジャズのステージはとてもピースフルで、くすっと笑いがこみ上げて来る場面もあれば、時にはしんみりとしたり、様々な感情を与えてくれる。エミリー・マクイーワンのスタイリッシュでさわやかな歌声が会場中に響き渡ったかと思えば、「オゲンキデスカ、カワサキー!」と元気いっぱいに登場したニクラス・ガブリエルソンの深みのある歌声とオーケストラのアレンジが絶妙に絡み合ったり、今回も観客を飽きさせないステージ構成となっていた。

 クラシック音楽を得意とする会場だけあって、それぞれの楽器が奏でる音がホール全体に柔らかく、そして滑かに響きわたる。中でも盛り上がりをみせたのは「タイガーマスク」だ。ダグラス・アンガーの緩急のある歌声と観客の手拍子、そしてオーケストラの演奏で瞬く間に会場は一つになった。そして「銀河鉄道999」では、ニクラスが観客席まで駆け上がり観客と握手を交わしたり、まるでミュージカルを観ているかのような躍動感に包まれた。アンコール曲「マクロス」では、パーカッション担当のトーマス・エビーがマイクを手に取り、クラシックホールでは珍しい観客総立ちで身体を揺らしノリノリな状態でステージの幕は閉じた。

 アニソンとジャズ。一見かけ離れているようにも思えるジャンルが国境を越えて融合され、世代を超えて楽しめる音楽になる。まさに音楽の相乗効果を目撃したステージだった。

Text:Ayaka Matsui
Photo:青柳聡

◎公演情報
【かわさきジャズ2016】
本会期:2016年11月11日(金)~20日(日)
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール、ラゾーナ川崎プラザソル、クラブチッタ、新百合トウェンティワンホール、昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ、洗足学園音楽大学ビッグマウス ほか川崎市内各所
有料公演: 12公演
無料公演: 25か所 約40公演
主催:かわさきジャズ2016実行委員会、川崎市
info:http://www.kawasakijazz.jp/