デヴィッド・ボウイのお蔵入りだった『The Gouster』、42年ぶりに日の目
デヴィッド・ボウイのお蔵入りだった『The Gouster』、42年ぶりに日の目

 デヴィッド・ボウイの長らくお蔵入りとなっていた『ザ・ガウスター(The Gouster)』が、彼の死から8か月、ようやく日の目を見た。1974年のスタジオセッションでレコーディングされた同作は、9月23日にリリース(日本では10月19日)されたアルバム12枚組のコンピレーション・ボックスセット『フー・キャン・アイ・ビー・ナウ? 1974-1976(Who Can I Be Now? [1974 - 1976])』に収録されている。

 各曲は後に別バージョンでリリースされているが、オリジナル・バージョンで聴かれるサウンドはファンクとソウルに強い影響を受けている。これらの曲はアルバム『アラジン・セイン』後のツアーの合間にフィラデルフィアで録音されたもので、1975年リリースのアルバム『ヤング・アメリカン』の基盤となった。

 計7曲からなる『ザ・ガウスター』は、「ジョン、アイム・オンリー・ダンシング(アゲイン)」で幕を開け、「幸運の神(Somebody Up There Likes Me)」や「イッツ・ゴナ・ビー・ミー」などが収録されている。

 なお、プロデューサーのトニー・ヴィスコンティはライナーノーツにて、このタイトルについて次のように解説している。

 「“Gouster(ガウスター)”は私には馴染みのない言葉だったが、デヴィッドはそれが60年代シカゴのアフリカ系アメリカ人のティーンたちが使っていたドレスコードの1種だと知っていた。だが、このアルバムではアティテュードとして、プライドやオシャレへの考え方としての意味合いを持っているんだ。我々はこのアティテュードを描くアルバム用に選んだ全曲を気に入り、レコーディングしたのさ」

 「デヴィッドは私と同じく、長い間ソウルに夢中だった。2人ともテレビ番組『ソウル・トレイン』のファンだったよ。我々は“若くて才能ある黒人”ではなかったが、何としても飛びっきりのソウル・アルバムを作りたかった。正気とは思えない話だがね。でも我々がやる前にライチャス・ブラザーズみたいなパイオニアがいたのさ」

 同ボックスセット『フー・キャン・アイ・ビー・ナウ? 1974-1976』はSpotifyとApple Musicでも聴くことができ、『ザ・ガウスター』は作品上の50曲目(ディスク4)からとなっている。