悩めるイーサン・ホークに寄り添った、ピアノ教師とレッスン『シーモアさんと、大人のための人生入門』 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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悩めるイーサン・ホークに寄り添った、ピアノ教師とレッスン『シーモアさんと、大人のための人生入門』

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悩めるイーサン・ホークに寄り添った、ピアノ教師とレッスン『シーモアさんと、大人のための人生入門』

悩めるイーサン・ホークに寄り添った、ピアノ教師とレッスン『シーモアさんと、大人のための人生入門』

 俳優、脚本家、映画監督、演出家、小説家として活躍するイーサン・ホーク初の監督映画、89歳のピアノ教師シーモア・バーンスタインのドキュメンタリー『シーモアさんと、大人のための人生入門』が10月1日から公開される。


 オトナであれば誰しも感じたことのある行き詰まり。人生そのものを包み込むようなシーモアのレッスンは、不思議な優しさに満ちている。一人の人間として行き詰まりを感じていたイーサン・ホークが、ある夕食会でたちまち魅了されたピアノ教師の人生は、しかし決して平坦なものではなく、かつ意志に満ちたものだ。


 若くして得たピアニストとしての名声、朝鮮戦争従軍中の仲間を喪う悲しさと、極限状態の中決行したコンサートツアー、演奏すること、教えること、創り出すことを手にしたシーモアが、賞賛される中で選択した演奏家としての終止符。


 映画の中で語られるシーモア・バーンスタインの言葉は、決して「やわらかい」ものではない。同時代のレジェンドである音楽家たちに対する評、演奏家として、音楽家として生きること、社会との折り合い、パートナーを持たず独りでいること。ハッとするような鋭さは、しかし、静かにたたえた澄んだ水のように、じわりと心に届く。


 「じぶんの心と向き合うこと、シンプルに生きること、積み重ねることで、人生は充実する」というシーモア先生のレッスンは、本人の生き様を重ねてみることで、音楽のレッスンをしているはずなのに、確かな「何か」を自分の中に握りしめるための時間をくれるだろう。


 クラシック・ファンとしても、音への向き合い方、作曲と演奏の狭間でどう生きるか選択する音楽家としての姿、教師としてのレッスン風景、そしてスタインウェイのピアノセレクションルームでのピアノを選ぶシーン、そして今は無きスタインウェイ・ホールでのコンサートの様子など、見所は満載だ。


 9月1日にスタインウェイ・ジャパンのセレクションルームで行われた公開記念スペシャル・イベントには、音楽評論家の小沼純一氏、そしてシーモア先生同様スタインウェイ・アーティストである金子三勇士氏がゲストとして招かれ、シーモア先生について語りあった。


 小沼氏が「原題は『An Introduction』だが、邦題は『大人のための』と付いていて、これはとても良い題。まさにこれは子供のための映画ではなく、いろいろな仕事や人生経験をして、何かひっかかりを感じる中で、改めて人生を考える、そこへのイントロダクションとなっている映画だと思っている」と紹介し、金子氏も「さすがイーサン・ホークが描く作品で、クラシック音楽関係のドキュメンタリーではあるが、そこに留まっていない。シーモア先生の言葉を通して愛と優しさを伝えようという気持ちが、ストレートに伝わってくる、心に響く映画。あまり涙脆い方では無いのだが、何度も感情の波が襲ってくる場面があった」と語った。


 『シーモアさんと、大人のための人生入門』は、2016年10月1日、シネスイッチ銀座、渋谷アップリンク全国順次ロードショーtext:yokano


◎公開情報
監督:イーサン・ホーク
出演:シーモア・バーンスタイン、イーサン・ホーク、マイケル・キンメルマン、アンドリュー・ハーヴェイ、ジョセフ・スミス、キンポール・ギャラハー、市川純子ほか


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