ももクロ 新作は“笑顔を届けること”をより広く繋げていこうとする究極のエンターテインメント(Single Review)
ももクロ 新作は“笑顔を届けること”をより広く繋げていこうとする究極のエンターテインメント(Single Review)

 単独名義では2016年 第1弾となるももいろクローバーZのニューシングル『ザ・ゴールデン・ヒストリー』。2月に同時リリースした傑作アルバム『AMARANTHUS』『白金の夜明け』以降の作品とあって、どのようなサウンドを聴かせてくれるのか非常に楽しみにしていたが、やはりというか当然というか、素晴らしい楽曲をまたしても用意してくれていた。

 表題曲は“さぁ 始めよう”と百田夏菜子がぶち上げる狼煙から、終始笑顔が弾け続けていく超ポジティブなアッパーチューンだ。日本のヒット・パレードを花咲かせて世界と踊ろうとグイグイあげていく展開は、彼女たちがこの秋に控える新たな挑戦、アメリカ横断ウルトラライブに向けてのものとも言えるが、その根底にあるのは根源的なポップミュージックの力。ももクロが結成当初から提唱してきた“笑顔を届けること”を、より広く繋げていこうとする究極のエンターテインメントの形だ。

 中でも最大のハイライトになっているのがラスサビ前のフックで、“いくつもの時代を 越えるたびに強くなる”という百田夏菜子のソロパートに始まり、玉井詩織、佐々木彩夏、有安杏果とバトンを繋いで高城れにのロングトーンに連なっていく展開は、神々しいほどの希望に充ち満ちている。常に先へ進もうとする意志が光に連なっていくのだと、ここまでストレートに力強く歌えるのが今のももクロであり、今の日本に最も求められているアイドルの姿と言えるのではないだろうか。

 なお、本作のカップリングには、『白金の夜明け』で存在感を示したinvisible mannersによるヒップなダンスナンバー「DECORATION」。さらには初回限定盤Aに自身らも出演したNHK BS時代劇『伝七捕物帳』主題歌「Hanabi」、初回限定盤Bには 柳田悠岐選手の登場曲に使用されている「伸ルカ反ルカ」をそれぞれ収録(通常盤は2曲とも収録)と、各クリエイターがとびっきりの手腕を振るっていて聴きどころは満載だ。


Text:杉岡祐樹

◎シングル『ザ・ゴールデン・ヒストリー』
2016/09/07 RELEASE
[初回限定盤A(CD+Blu-ray)]
KICM-91712 1,852円+税
[初回限定盤B(CD+Blu-ray)]
KICM-91713 1,852円+税
[通常盤(CD Only)]
KICM-1714 1,389円+税