UK新鋭・ホンネのデビュー作はエキゾチックなロマンスを端正なエレクトロ・ソウルに昇華した一枚(Album Review)
UK新鋭・ホンネのデビュー作はエキゾチックなロマンスを端正なエレクトロ・ソウルに昇華した一枚(Album Review)

 7月にアルバム『Warm On A Cold Night』でデビューを果たしたロンドン出身のエレクトロ・ポップ・デュオ=ホンネ(HONNE)が、11/14に東京、11/16に大阪でそれぞれ2公演ずつのビルボードライブ出演を果たす。2016年末にかけて欧州諸国や北米を巡る大掛かりなワールドツアーの最中、バンド編成で充実のステージを繰り広げてくれそうだ。

 2014年に、大学の友人同士だったプロデューサーのジェイムス・ハッチャーとシンガーのアンディ・クラッターバックによって結成されたホンネは、日本語の“本音”をバンド名の由来としていることからも分かるように、日本文化を愛し、また作品のインスピレーションの源泉としているグループだ。半ば遊びのような感覚で始めたというバンド活動だったが、とても端正でロマンチックなエレクトロ・ポップ/ソウルを生み出している。

 例えば、アルバムのリード曲として気鋭女性シンガーのイジー・ビズ(こちらも来年1月にビルボードライブ来日が決定している)を招いた「Someone That Loves You」のMVでは、日本の街を背景にデートする風景と、美しい芸妓のイメージが交錯する。ホンネの作品は、エキゾチックなムードを媒介に官能性を増幅させる、という構造を持っているわけだ。

 英国にとって外来文化だったソウル・ミュージックは、ポップ・ミュージック史上のさまざまな場面で多くの才能と結びつき独自の進歩を見せてきたが、とりわけノーザン・ソウルとしてダンス・カルチャーと親和性をもった文化が、メインストリームとは異なる過程を踏んで若い才能を刺激し続けてきた。UKガラージやグライムの時代にもソウル・ミュージックは重要なエッセンスであり続け、多様な文化と共鳴しながら新たな息吹を育んできたのだ。

 ジェイムス・ブレイクの登場以降、UKソウルは大きな脚光を浴びることになったが、一時の流行り廃りではなく、若者の衝動や欲望の受け皿となってきた歴史に踏み込んでみると、その生命力の本質が浮かび上がってくる。1980年代ブラック・コンテンポラリーのナチュラルな陶酔感と、エキゾチックなロマンスに着想を得て楽曲を制作し、世界を股にかけて活躍するホンネの魅力も、そんなふうに読み取ってみると面白いのではないだろうか。

 アルバムの冒頭を飾るタイトル曲「Warm On Cold Night」は、もともと自主レーベルの<Tatemae(建前)Recordings>からリリースされたデビュー・シングル曲だったが、現在はメジャー契約を結び活動の場を広げているホンネ。彼ら自身も楽しみにしているはずの来日公演がどのようなものになるか、ぜひ見届けてほしい。〈Text:小池宏和〉

◎公演概要
【ホンネ】
ビルボードライブ東京
2016年11月14日(金)
1st 開場17:30/開演19:00
2nd 開場20:45/開演21:30

ビルボードライブ大阪
2016年11月16日(水)
1st 開場17:30/開演18:30
2nd 開場20:30/開演21:30

詳細:http://www.billboard-live.com/

◎リリース情報
『Warm On A ColdNight』
2016/07/22 RELEASE
輸入盤