上野の風物詩【東京・春・音楽祭】、デュリュフレ「レクイエム」で幕を閉じる
上野の風物詩【東京・春・音楽祭】、デュリュフレ「レクイエム」で幕を閉じる

 約1ヶ月にわたって開催された【東京・春・音楽祭】の最終公演【デュリュフレ<レクイエム>奇蹟の響きと荘厳な調べ-20世紀最高のレクイエム】が、4月17日に東京文化会館にて行われた。

 本音楽祭は今年で12年目を迎え、上野を中心に有料、無料あわせて約130公演を開催。今年は桜を長く楽しめたことも相まって、本音楽祭もクラシックファンや観光客らで華やかな賑わいを見せた。最終公演は、2014年から続く【合唱の芸術シリーズ】第三弾。今年は、20世紀の作曲家デュリュフレの「レクイエム」が演奏された。

 公演は、イギリスを代表する作曲家ヴォ―ン・ウィリアムズの「トマス・タリスの主題による幻想曲」で幕開け。弦楽アンサンブル、各パート2名ずつの小さな弦楽アンサンブル、弦楽四重奏の3組を合わせるという珍しい編成だ。オルガンに似た響きを作りだすよう緻密に作曲されており、全員で楽器を震わせるとホールの中は瞬く間に教会や大聖堂の中のような響きに包まれた。

 そして後半は、20世紀の作曲家デュリュフレの「レクイエム」。本作は、全編通じてグレゴリオ聖歌の旋律が用いられているのが特徴の1つだ。グレゴリオ聖歌が近代の和声で彩られ、ロクサーナ・コンスタンティネスク(メゾ・ソプラノ)、クリストファー・マルトマン(バリトン)、東京オペラシンガーズによって、死者を悼む祈りが穏やかに観客に染み込んでいくよう。最後の音が消え、心地よい静寂が訪れると一転、万雷の拍手が沸き盛況のうちに幕を閉じた。写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:堀田力丸

◎公演概要
【東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.3デュリュフレ《レクイエム》 ~奇蹟の響きと荘厳な調べ ― 20世紀最高のレクイエム】
日時:4月17日(日)15:00開演
会場:東京文化会館 大ホール
出演:指揮:レオ・フセイン
メゾ・ソプラノ:ロクサーナ・コンスタンティネスク
バリトン:クリストファー・マルトマン
オルガン:長井浩美
管弦楽:東京都交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:マティアス・ブラウアー、宮松重紀

曲目:
ヴォーン・ウィリアムズ「トマス・タリスの主題による幻想曲 」、「5つの神秘的な歌」
デュリュフレ「レクイエム op.9 」